映画の未来について~VRとの親和性

新型コロナの影響で、外出自粛・休業要請が求められエンタメ産業は軒並み打撃を受けています(こういったパンデミック、または戦時の様な異常状況下においてまず規制されるのはエンタメ産業ですからね)。

 

テレビのバラエティー番組やドラマは、収録・撮影が行えず、総集編や過去作品の再放送などが行なわれている状況です。

 

そんな中でも、映画興行のダメージは深刻であると考えています。本来は3月4月の春公開予定であった既に撮影済みの、あとは公開を待つだけだった作品が延期を余儀なくされていますが、本当に延期で済むのか、このまま日の目を見る事がないまま埋もれてしまう作品があるのではないかと危惧されます。

 

それは、たとえこのコロナ禍がある程度終息して映画興行が行える様になったとしても本当に、延期された分の作品が、今後公開予定の作品も含めてその公開スケジュールの全てをシフトして公開する事が可能かのか疑問なのです。

 

もし作品が公開されたとしても、延期作品の中に大作が2本3本とあれば、映画館側もその大作を興行の柱と考える事からその大作に挟まれた小作品達は割を食って公開期間が短縮されたりする事も考えられるのではないでしょうか。下手すれば公開そのものがなくなる作品もあるかも知れないと考えています。

 

また、映画館が幾つもある大都市圏内と違い、地方の映画館はその数自体が少なく、ちょっとマイナーな映画を観ようと思ったら大都市圏内の映画館へ行くしかありません。しかし映画興行が何とか許される様な状況下では遊興目的の越境は認められないでしょう(あくまで自粛要請だとは思いますが…)。

 

その様ないつになったら普通に映画が楽しめる状況に戻るのか分からない中で、どの様にして安心安全のもと映画鑑賞できるかを考えるとやはり、ネット・オンライン+VR(仮想現実)の技術を用いた映画鑑賞でしょう。

 

今現在、ネットで映画配信(旧作の配信ではなく新作の劇場公開同時配信)が行われない理由は、映像をパソコンに配信してしまうと、料金を支払った一人の端末から不特定多数でも視聴できてしまう環境を与える事になるからでしょう。

 

個人のパソコンへ配信してしまうと録画や二次配信等もやりたい放題でしょうから、新作映画でそんな事をやられた日には興行が成り立ちません。

 

その問題を解決するのが、VR(仮想現実)技術だと考えています。
VR空間で映画館を造り、その中(VRゴーグル内)でスクリーンを見て映画鑑賞する事で多人数視聴を制限します。もちろん今流通しているVRゴーグルでは不正防止対策に問題があると考えられるので、映画業界の認可を受けた新たな規格の映画配信専用のVRゴーグルを作る必要があるでしょう。

 

ゴーグル内の映像を外部出力する様な仕様は厳禁で、コピー等を防ぐために余計な機器を経由させる事の制限も必要でしょう。ルータやVR端末のMACアドレス確認による個人認証も必要でしょう。

 

そういった不正防止対策がある一定レベルまで達しさえすれば、特に革新的な技術が必要な訳でもなくVR(仮想現実)技術を用いたオンライン映画配信はすぐにでも実現可能であると考えています(完全な不正防止対策はおそらく不可能でしょう。こういった事は往々にしてイタチごっことなります)。

 

認可を受けた専用ゴーグルさえあれば、家に居ながらどんなマイナーな映画であろうとも製作元から直接映像配信を受け映画鑑賞する事が可能になり、またどんな大作映画であろうと混雑や周りの迷惑客にも悩まされず快適に鑑賞できる空間が提供される事になります。

 

当然、既得権益者からは渋る声が出てくるでしょうが、社会が閉塞感で覆われている今の様な状況だからこそ、この閉塞感からの脱却を訴え世間を味方につけ新規事業として立ち上げるときだと考えます。

 

そしてこの新規事業には、既存の大手の映画配給会社等が事業主となる事は望んでいません。昨年の消費増税に合わせて人件費高騰の名目で映画料金を値上げする様な既得権益者には任せてはダメだと考えています。

 

このVR映画鑑賞の実現は、劇場を持たず土地・建物・テナント料等が必要なく、そこで働く人達の人件費も要らなくなり映画鑑賞料金を大幅に引き下げる事が可能になると思っています。最初の内はゴーグル開発等の初期投資回収分として映画鑑賞料金1300円前後を設定したとして、事業が軌道に乗ればゆくゆくは1000円程度で映画を提供できるのではと想像しています。

 

もちろんこの料金設定について劇場を持っている配給会社は良しとしないであろう事は想像に難くなく、もし既存の大手映画配給会社がこの新規事業主になった場合、現状と変わらない料金か下手すると今より高い2000円などという料金設定もあり得るかもしれません。

 

なので、この新規事業主には、たとえば昔のホリ〇モンの様な時代の寵児と呼ばれる様な既得権益者から煙たがられる事も厭わない怖いもの知らずの新進気鋭のIT起業家がなる事を望んでいます。

 

現状の映画料金(1900円)はやはり割高だと感じるので、もしこのVR映画鑑賞の新規事業が成ったら、劇場を持つ映画配給会社は今一度料金設定を考え直してはどうでしょうか。
別に自分は今の映画館が潰れれて全てVR映画鑑賞になれば良いと思っている訳ではありません。映画館の役割として、VR映画鑑賞では決して体感できない様な視覚・聴覚以外の刺激であったり、劇場でしか味わえない様な感覚、大勢で同時に鑑賞する事への付加価値(※)を提供する事がその意義になると思っています。

 

劇場提供されるその付加価値に世間が満足・納得すればVR映画鑑賞料金より割高(1500円前後?)であったとしても映画館が存続していく事は可能だと考えます。


なかなか出口が見えない状況でただただ塞ぎ込んでいても詰まりません。こういう時だからこそエンタメは必要だと思います。
作り上げた作品を観てもらいたいと思っている人、観たいと思っている人達がいる中で作品が公開されないのは哀しくまた勿体ない事です。

 

VR映画鑑賞は技術的にはそう難しい事ではないと考えています。もしかしたら今まさにどこかでその技術が開発されているのかもしれません。
あとは業界団体さえ協力的であればそれほどの時間を要さずに実現可能なサービスであると思っています。

 

エンタメを提供する新たな道を模索し提案しエンタメの力で社会が少しでも明るくなれば、エンタメの持つ力を社会に示す事がエンタメ業界にとって最良最善であると考えます。

 

※映画館、VR映画鑑賞技術でのそれぞれが提供できる付加価値のついて
映画館が提供できる付加価値としては、先に述べた様な視覚・聴覚以外の刺激(4DX等)であったり、大勢と一緒に鑑賞する事に意味のある応援上映といったものになるかと思います。

 

VR映画鑑賞技術が提供できる付加価値としては、時と場所を選ばずに鑑賞できる事の他に、映画館での多人数との同時鑑賞では不可能な「一時停止」や「巻き戻し」が許される事でしょう。もちろん無制限に許されるはずもないので、例えば2時間の映画の場合、視聴開始から3時間(上映時間の1.5倍程度の時間)内であれば、ちょっとした離席の為の「一時停止」が行えたり、見逃してしまった場面やもう一度あの場面を観たいというときに鑑賞可能にするための「巻き戻し」操作が可能となるサービス提供が考えられます。

 

また、VR空間内の映画館で席に座ってスクリーンを見て映画鑑賞するという設定を利用し、たとえばホラー映画鑑賞の場合に、緊張状態を最高潮まで高め、ふと隣を見ると得体のしれない何かが居るという映画のストーリーと絡めた恐怖演出サービスも考えられます。


(2020年05月06日03:03 mixi日記投稿分)