アニメ「転生したらスライムだった件」「盾の勇者の成り上がり」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「転生したらスライムだった件」、「盾の勇者の成り上がり」を一気観しました。

 

原作はライトノベルの様ですが未読です。以下多少のネタバレを含む感想となります。

 

まずは「転生したらスライムだった件」の感想からです。
何年も前からネットニュースでこの小説の名前を見かける事があったのでタイトルだけは知っていました。余程面白い作品なんだろうその作品が満を持してのアニメ化か、と期待していました。が、それがいけなかったのだと思います。期待値が上がり過ぎていたのでしょうね。いつ面白くなるんだろうとずっと観続けていましたが最後まで面白くなる事なく終わってしましました。決してマイナス評価になる様な作品ではなかったとは思いますが自分の中でこの作品に対して期待していた面白さのハードルが上がっていたため相対的な感覚としてつまらなく・ガッカリした感じを抱いてしまったのかなと考えています。

 

しかし、その期待値の分を差し引いても不満点はあります。
まずOPアニメーションについてです。OPアニメーションはその作品の方向性を示す物であったり今後の展開を想起させる様な映像であるべきだと思っています。この「転スラ」のOPですが、主人公のスライムが人間の姿になる事や、忍者みたい奴や刀を使う爺さん、大剣の女戦士、炎を使う鬼が仲間になるといった様な映像となっています。このOP映像と異世界転生最強主人公物という内容から小さい村々を救う事から始まり少しずつ仲間を増やしてゆき巨悪を討つ・世界を救うという様なファンタジー作品であると想像しました。

 

基本的にはOPの映像からの想像通りの内容となりますが、そのテンポが悪すぎると感じました。主人公のスライムが人間の姿になってはじめて話が進んでゆくのだと思っていたので、人間の姿になるのは2~3話くらいだと想像していました。しかし実際は7~8話辺りまでかかりました。しかもこの時点で先述したOPに出ていた連中は一人も仲間になっていません登場すらしていません。1クール(12~13話)の作品だと思っていたので半分の話数(6、7話~)を過ぎてなかなか人間の姿にならない事や仲間が増えない事に、まだ成らないのか?まだ出ないのか?大丈夫なのかこの作品は?この先本当に面白くなるのかと不安になりました。原作を読んだ事はありませんがおそらく原作に忠実な作りをしているのだと思います。

 

しかし、OPで主人公スライムが人間の姿になる事や仲間が増える事を見せている以上、視聴者の意識とOPの映像を剥離させないためにも序盤のペースをもっと早くした方が良いんじゃないかと感じました。実際3~6話辺りはテンポが悪く、なんか今週全然話が進んでいないな(これはこの先の話数でもずっと感じる事ではあるのですが)正直つまらなかったですね。原作の問題というよりアニメ化するにあたりその1話の中での見どころ、盛り上がりを創りきれていない制作側の問題だと思います。内容の薄い序盤の話なんかはもっと内容を詰め込み話の密度を濃くしてテンポよく次の章へ話を進めるべきだったと思います。ただ原作を忠実に同じペースで進めるのではなく(例えば小説の1巻の内容をただ単純に等分して1~100頁までを1話、101~200頁を2話等の様な作り方をするのではなく)その話の内での見どころ見せ場というものを計算し、時には原作の話を思い切り端折ってテンポを変え、視聴者につまらなく感じさせない、飽きさせない工夫が必要であったと感じます(もしくはその努力が感じられなかった)。

 

OPアニメーションについてもう2点ほどあります。まずOPに出ていた忍者や爺さんや大剣女戦士、炎使い、これらが一気に仲間になった事。先述した様にOPの仲間たちは少しずつ増えていく仲間だと思っていたのですがオーガという種族で一気に仲間になった事にガッカリしました。もうこれから先仲間が増えていく事はないんだなというガッカリ感です。次に、OP終盤の映像に出てくる主人公と剣を交えている敵の剣士についてですが、OPが変わる1クールまでの間に(2クールまで観終えてもですが)本編に登場し主人公と戦う事はありませんでした。誰だよという感じで終わってしまいこれはOPアニメーションとしてダメだろ、なんでこんな映像で作ったんだろう下手か!って感じですよ。

 

あとは内容についても不満があります。この作品は異世界転生最強系主人公物だと思っています。転生時に様々なチート能力を授けられたりと最強系主人公物のお定まりですがそこは別に最強系主人公物というのはそういう物なので構いません。しかしこの主人公の強さが微妙に最強じゃないというのが納得できないのです。転生先の異世界には魔王と呼ばれる者が複数居て主人公の強さは転生先の異世界で中の上といったところではないでしょうか。雑魚相手にはその能力で圧倒するのですが魔王には敵わない様で最強系主人公物にそんな展開は求めていないのです。

 

努力型・成長型の主人公物ならそういった展開でも別に良いのですが最強系主人公物(転生時にチートみたいな能力を与えられて物語が始まる様な最強系主人公物)であれば主人公は最強であるという前提のはずで、「実はその転生先に主人公より強い敵が存在していました~」というのでは納得できないのです。この事は以前のブログ『「オーバーロード」の感想』で語っていますが、「オーバーロード」という作品には存在してる、強敵の登場のさせ方 の『納得』がこの「転スラ」には無いのです。(この『納得』が作れていないのはアニメ制作陣ではなく原作側の問題ですね)

 

他にも序盤、主人公の目的がないまま話がダラダラと進むというのが観ていて苦痛でした。人間の姿になれる様になって一応目的は出来ますが、8~9話辺りまで目的もなく行き当たりばったり・済し崩し的に話が進むみたいな展開は観ていてキツいです。せめて2~3話の内に主人公の目的をハッキリ示すべきですね。取り敢えずは何でも良いのです、ひとつなぎの秘宝を求めるでも世界征服でも魔王を倒すでも…。主人公が何を求めて行動しているのか?目的に近づくための行動をしているのか?何も分からないでは観ていて退屈でした。こういったところは本当にさっさとペースを上げて早い内に目的をハッキリさせるべきですね。

 

2クールありましたがどこが話のピークだったんだろうと思い返してみても分からない程、盛り上がりを感じられない作品でした。ただ単に原作小説を「映像化」するというだけの作業だけしか出来ていなくて、話のテンポ、密度、見どころを考えて1話1話を作るというTVの向こう側の視聴者を想像して本当の意味での「アニメ化」が出来ていない作品だったのではないでしょうか。2期も決定している様ですが今度こそ面白くなる展開が待っているのか、同じスタッフで作って大丈夫なのか不安な作品です。
ビッグタイトル?で期待が高まっていた分ガッカリ感じたのだと思います。2期の期待値はだいぶ下がっているのでもしかしたら次は楽しめるかもしれませんね。

 

 


転生したらスライムだった件」をガッカリした感じで観終わった後に観たのが「盾の勇者の成り上がり」でした。
「転スラ」と比べると知名度は低いのかな?と思いますが自分としてはこの「盾の~」の方が全然楽しめました。

 

主人公である「盾の勇者」尚文が陥れられ追い詰められ、四聖勇者の仲間から、また王をはじめ城や街の人すべてから嫌悪され蔑まれ、という理不尽な仕打ちを受ける展開にこちらも憤懣が溜まるという思いで観ていた分、4~5話辺りでラフタリアに救われる話にはカタルシスを感じこれから後の話の展開にも期待が膨らみ面白く感じました。

 

ただちょっと残念なのが、このラフタリアに救われるという話が作品のピークだったかなという事ですかね。この話の後で仲間になる鳥はかわいいかったですが、鳥カワイイと話が面白いは別の話なので。


あと、尚文の使う盾の種類や盾の技(スキル)について、不満というか疑問があります。この原作者の方はあまりゲームをやらない人なのか分かりませんが、ゲームによく登場する様な盾の種類や技がなぜ出てこないのかが気になりました。以下よくある盾の種類、技を列挙します。


・ノックバック(タクティクスオウガなんかに出てくる盾で相手を吹っ飛ばす技ですが、相手を強制移動させる技として戦略も増えて面白いと思うのですが…)

 

・スパイクシールド(前面にトゲ付きの盾。ただ序盤で習得させる訳にはいかないと思います。盾に攻撃力を持たせてしまうので尚文が仲間(ラフタリア)を求める事をしなくなるので…)

 

・物理反射盾(物理攻撃に限り倍カウンター)

 

・魔法反射盾(魔法攻撃に限り倍カウンター)
(反射角や反射のタイミングを変える事で仲間との連携でわざと仲間に攻撃させ倍化させて敵にぶつけるなどの戦略も有りかと。また反射盾で敵を挟み2枚3枚重ねる事で2倍4倍8倍化して攻撃などの戦法も)

 

・物理+魔法反射盾

 

・超重量の盾(分厚く重く硬い盾で移動不可。その場に踏み止まる為や、チェンジシールドのスキルと併用し高所から落下しその重量で押し潰しに利用したりと応用)
等々、、、

 

ゲームに登場する様な盾や技は敢えて外したという事も考えられますが、しかしあのアイアンメイデン、あれを盾の技として出すくらいならメジャーでもありきたりでも上で列挙した様な盾を出した方が良いんじゃないかと思いました。。。最初アイアンメイデンを観た時、これが盾の技として有りなら何でも出せるんじゃないかと。あんな訳の分からん変なもん召喚するよりシールドプリズンで相手を捕らえた上でチェンジシールドのスキルで上の例で挙げたスパイクシールドに変化させる事で同じ事が出来ると思うのですが。。。その方がアイアンメイデンよりよっぽど盾の技として納得できます。

 

あともう1点気になるのが、他の四聖勇者の強さについてです。中盤以降ほとんど活躍がなく尚文の引き立て役となりますが、勇者としての意味があるのか疑問です。戦力的にはラフタリアやフィーロの方が強い気がして別に武器の勇者が居なくても波を撃退できるのでは?という感じです。おそらく勇者にしか、異世界から召喚された者にしか使えない武器でしかできない事があるのでしょうが今のところ武器の勇者が居なくても波に対応できているのでその必要性を感じません。もう少し勇者にしかできない事というのを描いた方が良いんじゃないかなと…少し気になりました。

 

尚文がラフタリアに救われる話以降、それを超えるまたは同じくらい盛り上がるという様な話はありませんでしたが(鳥は可愛い)、決してつまらないという事はなく、色々と書きはしましたが面白く楽しめた作品でした。2期があるのなら楽しみに待ちたいです。


(2019年07月25日02:37mixi日記投稿分)