アニメ「バビロン」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「バビロン」を一気観しました。

 

一気観と書きましたが正確には8話まで一気観、以降は毎週視聴していました。

基本的には放送終了した作品を一気観するスタイルなのですが、この作品は放送形態が特殊で1クールで8話までが放送され、以降はリピート放送を挟んで2クール目の期間に入ったところで残り4話が放送されるという形でした。
2話視聴時点でこの作品にイライラを感じていたのでこんな作品のために少しでもHDDを圧迫するのが許せずで2クール目の期間に入ってからは毎週観てはすぐに削除していました。

原作は小説(ラノベ?)の様ですが未読です。以下多少のネタバレを含む感想となります。

ストーリーは、検事である主人公の正崎 善が自殺法という国が自殺を認めるかどうかという問題に関わっていく事から始まります。そして曲世 愛という女が裏で糸を引いている事がわかりその女との戦い?が話の主な軸となります。
その自殺法の是非に関する問題は日本国内に留まらず物語の後半では世界にまで波及してゆきます。
自殺法の是非について議論紛糾するという設定も納得できないのですが、この作者はそれを世界にまで話を拡げ、どう話をたたむのかと思ったら投げっぱなしで、結果がどうなったのか判らないままで終わってしまい、話をきれいにたたむ能力もないのになぜ拡げた?日本国内だけで充分だったろう、世界規模の話へ持っていく必然性があったのか?とイライラをさらに募らせました。
(また第11話を丸々使っての善悪とはなにかの議論についての回も全く共感する点や納得する様な内容もなく何を訴えたいんだろうこの作者は、とイライラが増すばかりでした)

結局、最後まで曲世 愛は何がやりたかったのかわからないままでした。曲世 愛は主人公の正崎 善に執拗に絡んできますが正崎 善を「壊す」ことが目的の様には思えず、とすると8話辺りのあのグロシーンは物語的必然性のない無意味なものとなります。あの行為が曲世 愛の目的を達成するために必要な事であるなら納得しますがただ意味もなくグロシーンを入れるだけという話の作りに反吐が出る思いです。
(おそらく曲世 愛の異常性、狂気性、凶悪性を示す以外の意味はないのでしょう。それでももし、このアニメが第1話からスプラッタシーンがバンバン出る様な、これはグロアニメですよ~と示していた作品ならまだ納得というか我慢できたのですが…このアニメの第1話の構成は…以下で述べます。。。)


そして何より問題なのが、曲世 愛が使う催眠術?というか魔法ともいっていい様な訳の分からない能力です。
その能力というのは、曲世 愛の言葉を一言でも聞くと死にたくなる・死が甘美なものと感じる様になり自殺したくなるという、それなんてギアスだよという様な能力で全くのオカルト・ファンタジーの類なのです。その上、化粧や変装というレベルを超えている(と思われる)変身みたいな能力まで持っていて、曲世 愛は人間ではないという様な描かれ方がされています(急に差し込まれる大淫婦バビロンの話等も含めて)。


この作品の一番の問題は、冒頭にも少し書いていますが、第1話そして続く第2話のその構成が最悪なのです。
全く前知識がない状態で、このアニメはどういったジャンルの作品だろうかと、第1話を観て思ったのは、あーこの話はやり手の検事である主人公とちょっと抜けてる若手の相棒との凸凹コンビが巨悪を暴く社会派アニメかな?でした。
それが1話の終わりでその相棒があっけなく退場してしまい、あれ?ミステリーサスペンスが主軸の作品なのかなと思い第2話を観ていたら上記で述べた様な変身能力の話が(自殺させる能力についても匂わせる感じでほんの少し)出てきて、え?なんだこれ?これは現実社会を舞台にしたミステリーや社会派なんかではなくオカルト、ファンタジーの作品だったのか?というクソ構成になっているのです。
物語の「第1話」というは、その作品がどういったジャンル・作風の物であるか、どの様な方向性の作品なのかを示すための始まりの大事な回であるべきです。それを第1話ではオカルト・ファンタジー要素は欠片も見せず、話数を跨いで第2話でいきなり脈絡もなくオカルト要素を出すというアホ構成に、何だよそれは!ともう第2話の時点でイライラしながら観ていました(自分の場合は一気観ですが、何の前知識もない状態でリアルタイムで視聴していた人は1週間勘違いさせられ、期待を裏切られる展開となります)。以降の話も、曲世 愛というたった一人の女が世界を混乱に陥れるとかそんなの現実的にあり得るわけねえじゃんと呆れながら観ていましたが、それもこれも1話の時点で現実社会を舞台にした物語であるかの様に見せオカルト・ファンタジーである事を示していない事が原因なのです。
こういった第1話と第2話で全くジャンルが異なる様に見える馬鹿な構成をやっちゃいかんと何故わからないのかが全く理解できません。オカルト・ファンタジー物であるならば第1話からそういう作品だと示しておけばここまでイライラする事もなかったと思うのですが本当にアホの所業ですわ。

物語の始まりの構成を変える事の意味を(このバビロンという作品がどんなアホな構成をしているかというのを)、「デスノート」を例にして示してみると、
第1話で、数々の難事件を解決してきた探偵「L」という人物を中心に物語を描き、そのLがキラという大量殺人犯を、手口は全く不明ながらも関東圏に居る事を特定し追い詰めていくミステリーサスペンス物と期待させた上で、翌週の第2話で「夜神 月」側を描きデスノートというファンタジーアイテムをいきなり登場させ、本格ミステリーサスペンス物なんかではなくファンタジー系サスペンス物であったという、デスノートなんていうトンデモ設定アイテムを後出しする様なもので、第1話で本格ミステリー物を期待させておいて第2話で唐突にオカルト・ファンタジー色を出してその期待を裏切るみたいなそんなアホな事をやってるのと同じな訳でそれはなんじゃそりゃって話になりますよ。

曲世 愛のオカルト・ファンタジー要素がなければ、自殺や善悪について問う社会派アニメでも通ったと思うのですが(必然性のない話の構成、共感や納得のない話の内容等の問題があり物語が面白いかどうかは全く別の話ですが)。。。

物語の第1話の重要性を理解しないまま作品作りしていてイライラさせ、物語自体の面白さもなく最後までイライラが解消される事なく終わった残念なアニメでした。

 

(2020年02月06日22:36mixi日記投稿分)