漫画「アクタージュ12巻」 ~感想~羅刹女編完結

アクタージュ12巻を読みました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

羅刹女編の完結(おそらくあと1話くらいエピローグがあると思われますが…)となる巻のお話でした。
前巻(11巻)で台本無視となる行動を取ってしまったためサイド甲の負けが決まりサイド乙の消化試合になる、12巻はそんな感じでサイド乙はわりとあっさりと描かれて終わる、と想像していたのですが、なるほどそうきたかという今後の、千世子・王賀美との再共演を予感させる展開に面白く、燃えましたね。

 

アクタージュという漫画的には、サイド乙で百城千世子以上に真の主役だったのは黒山墨字でした。
これまで物語的には裏方的な役割でしか出番はありませんでしたが、なるほど今回はサイド乙の演出という事でガッツリ物語に関わってきます。


千世子は夜凪の圧巻の芝居を観て勝てないと思ってしまい、しかしそれでもサイド甲の台本無視の芝居という相手の失敗によって勝ちが転がり込んでくる事に半ば自暴自棄になってしまう。。。、
王賀美は台本無視の行動でサイド甲の公演を失敗させ「また王賀美がやらかした」と世間の非難を浴びる事となる。。。

という状況から脱却するために・黒山はサイド乙の演出家として千世子をサポートし、自らの野望のために王賀美を救うためにとこれまでの裏方的な役割とは異なり大きく動きます。
黒山による台本変更は「孫悟空ならそうする」というのもあるとは思いますがやはり自らの野望のための打算もあった(だからこその詫びであった)と思っています。

 

夜凪、王賀美、千世子、黒山(+その他)というキャラクター達を描いた羅刹女編は見所の多い面白いシリーズでした。

 

その中でもやはり(2020年3月28日の日記でも書きましたが)自分は王賀美のキャラクターが一番好きですね。
10巻での自らの矜持を貫きつつ(途中誰もその真意を理解しないまま、王賀美ただ一人が観客の心情を理解しそして誘導し)状況をひっくり返し周りを黙らせる・納得させるシーンであったり、
11巻の夜凪の芝居を止めるシーンにしても、傍若無人という世間のイメージの自分がやった方が共演者へのダメージが少なくなる事を冷静に考えていて敢えて泥をかぶるという大人な対応の漢っぷりが堪りませんぜ。

 

(人気投票では王賀美は7位以下の様ですが投票時期のタイミングが悪かったのかな?そう考えないとおかしすぎるでしょう、羅刹女完結時にやってれば3位イケたんじゃないかと思ってます)

 

そんな王賀美の漢っぷりに夜凪も惚れちゃったのかなと考えています。
…こんな事を言うのは妄想や願望からではなく根拠もあり今後の展開予想も含めての事です。

 

9巻P135「結婚しようと思ったけど相手がいない」という事を夜凪は語っていますが、
12巻P154「熱愛しとくか」という王賀美に対し「失恋しなきゃならない、間に合わない」と夜凪は返します。

 

まぁ結婚と恋愛は違いますが、(好きでもない相手と結婚はできない)→「相手がいない」と考えていた夜凪が王賀美の熱愛体験提案に対し「好きでもない相手と恋愛できない」ではなく「失恋しなきゃならない、間に合わない」と答えているのです(…これも「そんな短期間で別れられる自信がない」、たとえ王賀美に別れを告げられたとしてもすぐに受け入れられる状態になるとは思えないという意味にも取れます)。
また、12巻P187では夜凪が「誰にもまねできないから王賀美さんなのよ」とページの4分の1くらいのコマを使って意味あり気に語っています(まあここはもしかしたら大した意味はなく次ページへのただの振りのコマなのかもしれませんが…)。

 

上記のような事からおそらく夜凪自身は無自覚ではあると思いますが王賀美に惹かれているのではないかと考えています。そしてこの恋愛の経験、そして失恋の経験(これは別に夜凪の成長ために王賀美が敢えて振るという事ではなく王賀美には既に海外で知り合った恋人が居たり、もしかしたら既婚という事も…という事による失恋と考えています)が、恋愛・失恋を想像で演技するよりも、経験を武器に芝居をするメソッド演技に・夜凪の更なる成長につながる必要な要素である、そんな展開があるのではと想像しています。

 

あぁ~もう、羅刹女編の次はどんな話になるのか、どんなキャラクターが出てくるのか…(王賀美以上に良いキャラクター・面白いキャラクターが出てくるのか…)、
自分はコミックス派で2ヶ月間隔で読んでいますがいいかげん続きが気になるので週間に追いつこうかとも考えています…。

 

感想、終わり

 

 

以下、雑感

今巻の宇佐崎さん絵で気になった点
山野上花子の瞳について、
サイド甲初日公演の夜凪羅刹女の瞳が同じ描かれ方をしていた事から
あのぐるぐる眼(瞳)は「怒りの眼」だと考えていました。
しかし、花子が炎を描けなくなった後も花子の瞳は「怒りの眼」のままでした。
そこがどういう事だろ?ってちょっと思った。解釈間違ってたかな?


(2020年07月08日03:09mixi日記投稿分)