アニメ「ソマリと森の神様 他3本」 ~感想

録り貯めしていたアニメを一気観しました。


以下、多少のネタバレを含む感想となります。

基本的には、可もなく不可もなくという様な作品ばかりの感想となります。

 

波よ聞いてくれ
なんの前知識もなく視聴を始めて1話観終わって思ったのは、この作品は主人公がラジオDJでラジオ番組を舞台にしたお仕事系アニメなのかぁ、でした。

へぇ~新鮮で面白いかも、と観進めていたのですが、なかなかラジオ番組メインの話に入っていきません。3話4話でもバイトしているカレー屋周りの話でウロウロしています。


ラジオ番組が本格的に始まってからも話は変な方向に…。6,7話辺りでは隣人が殺人犯だった?という現場に遭遇しその隣人が逮捕されるという展開に「え?なんだこの作品、どういう方向性なんだ??なんちゃって~な展開だよね…」と思っていたら(思いの外引っぱりましたが)やはり勘違いだったというオチでした…。警察も「つい逮捕しちゃった…」とか言ってるのを聞いて、なぁんだぁこの作品はギャグ作品なんだな、とそこで「お仕事アニメ」という認識を改めたのでした。

 

…今の時代、隣人を殺人犯呼ばわりした(しかも真犯人?は主人公だった)なんて事になったら炎上してすぐ降板でしょうね。。。が、ギャグ作品ならまぁ許容できます。

 

原作漫画は読んだ事ありませんが、キャラクターは良く描けているので漫画として読めば面白いのかなと感じます(それなりに多くキャラが出ていましたがどのキャラも個性的で面白く印象に残っています。他のアニメではキャラが無駄に多く印象に残らないのが多い中、キャラクター描きが巧いなと感じました)。


が、お仕事系の作品と思ったらギャグ作品で、かと思ったらギャグとしてはちょっと中途半端で、終盤やっぱりお仕事系(シリアス)の作品に戻ったりと、13話のアニメとして纏まっているかというと。う~~ん、という感じの作品でした。
ジャンルなに???

 

(作品の評価とは関係ないところで一つ。主人公ミナレの声優さん、台詞多くて大変だったろうけどこの作品で確実に声覚えられたよね、と思います。
乱造されている美少女アニメなんかで主役やるよりよっぽど良い経験で良いプロモーションになったんじゃないでしょうか)

 

 

「球詠」
しっかりと野球を描いていて普通に楽しめた作品でした。
話の終わりも1クールなら全トーナメントは当然無理なので、優勝候補の強豪校との試合まで、と切りが良いといえます。

 

まぁ作画でちょこちょこ、女子なのに男のガタイみたいになるところがあって気になりましたが…。
あとはCGの使いどころがようわからんですね。試合はフルでCGで描いているという事でもなくちょこちょこCGがなんだか実験的に入ってくる感じで気になりました。

 

キャラでは監督のキャラクターの描き方が微妙でした。試合中の監督…置物でしたよ。生徒の自主性を重んじるといえば聞こえは良いですが本当に動きません。マネージャーの双子ちゃんが、自分の采配がすべて裏目に出ると感じ悩んでいる場面でも、生徒を見守るといったシーンもアドバイスを掛けるという事も一切なく全くの置物に徹しています。
もう少し監督の・大人としての仕事をさせてあげてと感じました(原作漫画ではフォローしているのでしょうか?)。

 

 

鬼滅の刃
作画、演出は凄いと思いました。しかしそれ以外は、キャラクターや設定、物語その構成等に惹かれるところはありませんでした。
全然悪くはなく、決してマイナス評価の作品ではないのですが、画以外は取り立てて語るべきは何もない可もなく不可もなくの作品でした。

 

 

「ソマリと森の神様」
1話を観てそして番組CMでの「私の寿命はあと1年」みたいな台詞を聞いてこの作品の方向性がわかりますね。あぁこれは泣かせにくる作品だなぁ、と。

 

ソマリの可愛さとその方向性からこの作品にかなり期待していたのですが、中盤以降は失速しました。
自分が期待していたストーリーとしては、物語中盤でソマリがゴーレムの寿命・父との別れの宿命に気付き号泣し、その後丸々1話を使っての立ち直りエピソード、そして終盤ではゴーレムの寿命を延ばす・父を助けるための物語となる、と想像していました。


しかし、最終話を終えてもソマリがゴーレムの寿命を知る事はありませんでした。寿命…避けられない確実な別れの事は言わずに、今ここで別れた方がソマリのためだという直接的表現を避けたエピソードでした。


おそらく原作漫画でもソマリが寿命の事を未だ知らない状態だと思われ、そのためアニメでも描くわけにはいかなった・出来なかったのではと考えています。それが失速の原因ですね。

 

あともう1点苦言を呈するなら、終盤に登場する「悪人」キャラですね。物語序盤~中盤でソマリが旅先で出会う人達(人ではありませんが)は「善人」でした。

 

ソマリが居る世界は、亜人や魔女が普通に暮らしている世界であり人間も居るのですが、人間は異物を徹底的に排斥するその習性から、以前亜人たちを迫害した過去があり、人間は野蛮な種族だと忌避されていました。
。。。その様な世界観から、「人間」は「悪人」であり「人間以外の種族」は「善人」であるという認識でした。ところが終盤、明確な悪意・害意を以て人間であるソマリに迫る「悪人」キャラが登場します。ここが残念なんですね。


「悪人」は「人間」、他は基本的に「善人」という世界観を貫いて欲しかった…。過去の人間の行いから敵意・害意を持っているのでしょうが、それだと他の種族も結局は「人間」と同じ(怖いから異物を排除する・自分達を守るために・自分達は間違っていない正しい、という思考で他者を暴力的に排除する)になってしまうのです。
「人間以外の種族」は「人間」とは異なる価値観を持っている「善人」であるという世界観を描いてほしかったと残念に思いました…。

 

上記、1,2点ほどのマイナス評価はありますが、「可もなく不可もなく」という作品でした。

2期があるなら次はしっかり最後まで描き切って欲しいですね。


(2020年07月25日00:53mixi日記投稿分)