アニメ「デカダンス」 他3本~感想

録り貯めしていた夏アニメを一気観しました。
・異常生物見聞録
・Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)
モンスター娘のお医者さん
デカダンス

以下、多少のネタバレを含む感想となります。

「異常生物見聞録」

中国のアニメ。なるほど、エフェクト・演出の古臭さ、作画の荒れ様は20年30年前の日本のアニメを思わせる出来です。まだまだ発展途上という事なのでしょう。
映像面についてはまだ途上だと許容できるのですが、お話・物語、キャラ構成の出来の悪さについては映像面・技術的な拙さの言い訳は通用しません。
1クール作品として話がまとまっていない事や、キャラクターを生かす・深堀りして魅力を引き出す様なエピソードの構成が出来ていないのが問題です。
(以前観た中国アニメ「悪偶 -天才人形-」のときも酷い物語構成、キャラ構成でした。「悪偶」という設定自体は面白いのに、その物語の構成や魅力的に描かなくてはいけないはずの主人公側のキャラの構成・描き方に問題ありで残念な仕上がりになっていました)
まぁおそらく、元々が1クールではない(それこそ昔の日本のアニメの様な1年間の放送を想定した)アニメ作品なのでしょうね。放送時間ももしかしたら日本の30分番組とは違うのかも…、中国では1話が45分~1時間くらいあるのかもしれません。。。(そう思えるほど、1話1話が妙なところでが終わるのよ…)
それでもキャラを生かす物語が描けていない事の理由にはなりませんけどね。…しかし日本で放送する以上、全話を放送する気がないのなら尚更、編集してある程度形あるものに出来なかったのでしょうかね。物語の構成さえシッカリしていれば映像はともかく面白い作品になり得るんですけどね、う~ん…。

キャラでいえばデータ(端末)が一番キャラ立ちしてましたね。…それにしても檜山修之さんと玄田哲章さん、中堅、ベテランクラスがいると安心・安定しますね。
莉莉は可愛かった。キャラクターと絡めた構成が出来ていない事とは別の話としてね…

以上


「Lapis Re:LiGHTs(ラピスリライツ)」

可もなく不可もなくの作品、だけど難点は多い。
まずキャラが多すぎる…。第1話の最後にOPの映像が流れそこで登場キャラのカットが次々と映し出されるのですが、そのキャラの多さに「うわぁああ…」いったい何人出てくるんだよと恐怖を覚える映像でした。
プリコネみたいに主要キャラは4~5人に絞って、主要キャラを深堀するエピソードの方が絶対良いのにね。。。
あとは設定についていくつか。
主人公の姉が所属していたアイドルユニットが伝説と呼ばれているって…。伝説が近すぎるだろ。。。伝説になるほど時も経っていないだろうに…伝説ってそんなに軽くて良いの?
次に、物語最終話を盛り上げるための魔獣というシリアス設定。この設定が「アイドル」という設定と全くマッチしていない。この世界の住人はどんな気持ちでアイドル応援してんだろ。魔獣を掃討するためのシステムらしいのですが、アイドル応援する事より他にもっとやりようあるだろうに…。
という「納得」の無さがあります。

作画は良かったですね。シリアス設定をなくし主要キャラ数を減らしキャラの魅力を追求した作品にすれば作画が普通に良かっただけにもっと面白いアニメになったと思います。


モンスター娘のお医者さん

医者要素が生かせていない物語。各話ごとに入れ替わり立ち替わりするモンスター娘キャラと医者の主人公がイチャイチャするだけの作品。
異世界」+「医者・医療モノ」の作品とするならば・「医療」を軸とするならば、命の重さや倫理を問う話・物語にしないとその意義がありませんよ。
ブラックジャックみたいな作品にしろとまでは言いませんが、異種族ゆえの特殊な倫理観を描くなどしないと「異世界」+「医者・医療モノ」の意味がなく、
様々な種族のモンスター娘キャラとイチャイチャするだけの作品にしかできないなら、内容的には「異種族レビュアーズ」と変わりませんよ。
異世界+○○系で「医者・医療モノ」をやろうと決めただけで、特に深く構成もせずに見切り発車みたいに作った作品だなと感じました。


デカダンス

良作、面白かった作品。
二者の視点で描かれる物語・その構成が良いですね。ダブル主人公という程ではなく基本はカブラギの物語ですが、ナツメを通して描かれる「人間側」の物語構成が巧いですね。
第1話で、ナツメを主人公にした近未来SFと思わせる物語で始まり、続く第2話でカブラギ側からの視点で視聴者に対し世界の真実…ナツメたち「人間」の住む世界は、カブラギ達「サイボーグ」のゲーム場でしかなかった、という真実が描かれるという展開には驚かされました。

第1話でまず、ナツメ側の視点で始めたのが良いですね。そうする事でナツメ側に感情移入しちゃう訳で、だからこそ第2話の「世界の真実」に大きく驚かされる事になります。
これがカブラギ側の視点から第1話を始めてたら全く印象違っただろうなと感じられます(監督と脚本家のインタビュー記事を読んだのですが、最初は「世界の真実」を明かすのは4話くらいだったそうです。いやぁ~第2話で「世界の真実」を明かすこの構成の方が断然良いですね)。
視聴者が1話でナツメ側に感情移入できてるからこそ、その後の展開~ゲームの負けイベントと分かっているカブラギ(サイボーグ側は死んでも素体(アバター)を失うだけ)とそんな理由を知るはずもないナツメが世界のために・皆のためにと作戦(イベント)に参加しようとする、そしてそれを何とか止めようとするカブラギ~カブラギ側とナツメ側どちらの感情も理解できた上で話が進む・展開されるのが面白いですね。

物語全体の構成としても、2部構成みたいになってるのも良いですね。出会いと別れ編の~6話までとカブラギとナツメの再始動編の7話~、と1クール(13話)の中で波を二つ持ってくる(ネスト攻略戦、そして終盤のナツメが世界の真実を知る)展開も良い構成ですね。
細かい所ではまぁ勢いに任せた流れ・展開はありますが面白かったです。今のとこ夏アニメ筆頭じゃないかなぁ。
リミッター解除という伏線・ギミックの使い方も巧いですね…ちゃんと「納得」を作ってある良い作品です。

良作品である事は間違いないですが、気になるところはあります。
・マスコット的なキャラのパイプはGGSで死んだのか?再登場するかと思ってたけど…
GGSで最期を迎えたのならその最期を・消えるところをしっかり描くべきだろう…と感じました。(溶けて?消えた)結果だけ描かれても…序盤、結構動いていたのでそれなりに活躍があるだろうと…なんか通常とは違うガドル=バグとしてGGSの対象外となって生き残り物語に絡んでくるのかな…と考えていたのですがあっけなく退場したようですね。

・物語の「最後」がちょっと疑問
バックアップから再生・復活って…それで良いの?同じ構成だけど(同じ記憶・情報を保有していたとしても)、前のカブラギとは別人じゃないの?
マイトガインの最終回思い出したわ。それはちょっと違うんじゃない…と。
あとはジョジョ6部のF・F(フー・ファイターズ)を思い出す「それはきっと別のフー・ファイターズ、あたしじゃあないと思う」

・ゲームを運営するソリッドクエイク社自体は何も変わってない!?
「世界の真実」がみんな(ナツメ以外の人間)にも明かされたのか?どうか分かりませんがサイボーグが素体(アバター)を使ってログインできるという事は、「人間は本当に命を落とすがサイボーグはやり直しが利く」と命の重さが違う訳です。ソリッドクエイク社自体の「人間」に対する支配・管理体制は変わっていない訳で、それが色々問題(ソリッドクエイク社ヘテロの発生等)がありそうな気がします。

…などが気になったところですね。

1クールアニメとして良く纏まっていた作品で面白かったのですが、2期はやらない方が良いかな、と考えています。
それは、上で述べた「最後に出てきたカブラギは同じカブラギか?」の問題や「命の重さが違う」という気になる点が続編をやった場合に物語が重く、鬱な展開になるのではないかと危惧しているからです。好きだからこそ、やらないでいてくれた方が…という感情です。

以上


以下、雑感

デカダンスキャノン…初めて観たとき、「ガオガイガー」のヘルアンドヘブンを思い出しましたよ。発想の元ネタに「ガオガイガー」へのオマージュがあると考えると他にも共通点あるかも…
EDで流れる映像が実は最終回後のシーンであったという仕掛けや、
「バグ」と呼ばれていたカブラギやナツメは「抗体」であり「システム」を正常化する・免疫を勝ち取るための戦いであった等。。。

 

(2020年10月03日23:38mixi日記投稿分)