アニメ「スーパーカブ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「スーパーカブ」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


女子高生+趣味系の作品。
作品全体の評価としては可もなく不可もなくとなります。

 

可もなく不可もなくの評価ですが、色々とダメな点があります。

それはやはり、主人公のキャラの問題。
大人しいキャラ、無口なキャラ、ほとんど無表情な(感情表現に乏しい)キャラでは、物語の主人公として好感、共感、興味が持てないのよ。
いや、正確に言うと、無口キャラでも別に構わないのですが、以前別の日記にも書きましたが、
「無口・クールキャラであっても何も考えてない訳ではない」のです。言葉や表情には出さなくとも心の中で色々な感情が渦巻いているはずなのです。

 

無口・クールキャラでも良いのですが、「表には出さなくとも何を考えているのか」をモノローグでしっかりその感情を語れば良いのです。
それがない(心の機微の描写がない)から主人公に対し全く好感、共感、興味が持てないのよ…。

もちろん「心の機微の描写」方法はモノローグだけではありません。映像・アニメーションで魅せる事も可能です。
唇を噛んだり、拳を強く握ったり、微妙な眼の動き、眉の動き…etc、で表す事も可能ですが、この作品ではそういう映像表現で主人公の心の機微が詳しく描写されるという事もありませんでした(何に対し怒り、何に対し喜び、何に対し涙するのか…等を言葉で語らないのならば、そういう事を映像で描かないといけないのです)。
これでは主人公のキャラに対し好感、共感、興味が持てないのです。

 

主人公以外のキャラも問題で、カブ仲間のキャラにも全く好感、共感、興味が持てません。
富士山をカブで登ろうとするエピソードが語られますが、そんな特殊過ぎる夢、恐ろしいほど共感、興味が持てないです。
それと主人公やカブ仲間のクラスでの立ち位置が語られてなくてよう分からんのよね。
主人公はクラスでどういう扱いなの?腫れ物に触るような扱い?主人公はクラスメイトや学校に対しどういうスタンスなの?
カブ仲間子の方はクラスメイトからも積極的に話しかけられて憧れの存在?みたいな扱いだけど、主人公は?そこら辺が詳しく語られんのよね。まぁ本題と関係ないから何でしょうけど
学校を舞台に描くならそこら辺を説明しといた方が…とは思うのです(これが大学が舞台(大学生設定)ならクラスメイトという関係も薄れるのですがね、高校を舞台に描くならそこら辺も描くべきでしょうと感じるのです)。

 

あと、主人公の両親いない設定もどうだろ?と思うのです。お金に余裕ないのにカブ(バイク)なんて金の掛かる趣味はどうだろ、と疑問に感じます。
こういう「女子高生+趣味系の作品」では珍しいですが、高校生が主役のバトル物なんかによくある設定…両親と離れて独り暮らししてる設定・生活感を排除する設定を
採用するためだけの設定の様な気がします(カブ仲間の独り暮らし設定からもね)。
そういう浅い設定も好きくないです。

一番キャラ立ちしてたのは、三人目子ちゃんだと感じるほど、主人公やカブ仲間子にキャラを感じないのよね…、
とキャラや設定の好きくないところが目立った作品でした。

 

また、原作・脚本についても問題が…。

11話での三人目子ちゃんがチャリですっ転んで怪我する話、なぜ三人目子ちゃんは親よりも先に主人公に電話したんだろ?(もしかしたら描かれてないだけで、親やカブ仲間子に繋がらず2番手3番手だったのかも知れませんが)

さらに救助後の行動についても、救急車はともかく親に連絡せんのがよう分からん。カブで運ぶより親に車で迎えに来てもらえば良かろう、と疑問なのです。その辺り何の説明もされません。親も昼に買い物に出た娘がいつまでも帰ってこないのを心配してるだろうにねぇ、全く「納得」がないのよ。

そして、最終話(12話)、鹿児島まで桜を観に行く話。「納得」がないのもそうですが、それより問題なのは話の構成とその見せ方…。ただただ名古屋通過しました~兵庫通過しました~鳥取通過しました~関門海峡通過しました~等々、特に何のトラブルもなく通過地点が流れるだけの映像…え?これ何が面白いの?何この構成?原作・脚本時点で面白くもなんともないのだけど…と意味分からん話の構成でした。これ、桜前線が本州まで上がってきてたら九州まで行く必要なかったって事だよね?鹿児島という必然性ないのよね?三人目子ちゃんと旅するだけなら桜前線設定を上昇させもう少し近場でよかったんじゃないの?特にトラブルなく鹿児島に到着し無意味な映像流すだけなら創作する意味が理解できない「納得」がないのよ、と問題なのです。

 

 

演出についても…、カブに乗って主人公の見ている世界が変わる、色が付くという演出…これ1話だけの演出、またはカブ仲間・友達が出来たという主人公の世界が「大きく」変わったところでの演出というのなら良いのですが、2話3話以降もちょくちょく多用されんのよね…それじゃ演出効果薄れるよ、と気になったのでした。


あと驚いたのはこの作品、原作はスニーカー文庫…小説なのね。映像だからまだ見れたけど、小説でこれ読んで面白いのかと感じる話の内容でした。
話の起伏という起伏がなく、キャラにも魅力がなく、これで読ませるだけの小説が描けてるのかとちょっと驚きなのです。
アニメを観た限りでは原作に興味持てなかったので読もうとは思いませんが…。


以上