アニメ「RE-MAIN」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「RE-MAIN」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

TIGER & BUNNY」の西田征史さん脚本の本作。
良い脚本書くんだね、西田征史さんて。納得ある脚本でしたよ…基本的には。

 

まず第1話を観て思ったのが、母親が事故を起こしそれが原因で主人公が半年間昏睡状態となる設定…、
これは母親が相当強く責任を、負い目を感じる事になるだろう、と感じたのですが、そこをしっかり描いているのにまず納得があります。
当たり前の様に感じる事なのですが、昨今の大量生産されるアニメの脚本にはその当たり前、「納得」がない物が多いんですよね。

 

自らの運転する車で事故を起こし、息子は半年間目を覚まさない…、そして同乗していた主人公の妹も事故のトラウマを抱えていて半年経った今でも悪夢に苛まれ夜中に目を覚ます事がある様子(母親はエアバッグで助かったのでしょうね)、と
これは母親は相当きついだろうなと想像され、観ている側はその描写が必要だろうと感じるのですよ。

 

「納得」のない脚本の場合は、この負い目を感じている描写がそもそもなかったり、あったとしても最初(第1話)だけでサラっと流して終わる程度であったりします。
しかしこの作品での母親の描写は第1話の描写に限らず終わりまで始終ずっと描かれているのです。物語中笑顔を見せる母親の画にも心の底から笑っていない、息子、娘に対する負い目を感じているという画で描かれているのです。
そういう描き方に「納得」があり良いのです。

 

そこで疑問に思うのが何故母親にそんな責任、負い目を感じさせる様な「設定」にしたのか、ですが多分、事故が原因で主人公だけではなく母親や妹も「RE-MAIN」している…、
その状態から新しく歩み始めるための家族の物語という事なんでしょうね。

(もっと言うなら、各々の理由で「RE-MAIN」しているチームメイトの歩みの物語でもあると思います)

 


あと他に、物語最終盤での日本一になった中学校の元チームメイトの居る高校との試合での話について。
この話の前段として、主人公・みなとは元チームメイトの居る高校への編入を監督に訴えますが、「半年間眠っていたお前に居場所はない」と言われ、
みなとは「これから追いつく」と食い下がるが監督は更に「その間もメンバーは実力を磨くのでその差は埋まらない」と言い放つという「遣り取り」があります。

 

そして、いざ試合が始まってみると日本一のチーム相手に1ピリオドを0対0で凌ぐという展開となります。
「納得」のない脚本の場合、上述した「遣り取り」を忘れたかの様な気合と根性だけで互角の戦いを繰り広げる展開となるのですが、
この作品にはやはりしっかり「納得」があります。…そんな短期間で筋力が全盛期に戻る事などあるはずもなく、互角の戦いが出来ていた理由は実は、
中学の元チームメイトがあまりにも弱くなった(筋肉なくなりヒョロヒョロになった)主人公に同情してを抜いていた、という事でした。

 

前段での監督の言葉通り、埋まる事がない大きな差があったという敗けるべくして敗けた試合の描き方に納得があり良いのです。

 


他にも、あぁこのキャラの返しは良いな、納得があるなと感じる所がちょろちょろとありストレスなく観れる良い脚本でした。

 


ただ、1点…、冒頭でも述べていたのですが「基本的には」良いのですが、1点気に入らないのが「記憶喪失」から「記憶が戻る」展開なのです。
以前「かくしごとの感想」でも書きましたが、自分は「都合よく一度失われた記憶が戻る話」に納得が行かないのです。
これさえ無ければ…、と思うのですが、しかし…記憶が戻った後の話の構成も巧くも面白かったんですよね。


でもやはり「都合よく一度失われた記憶が戻る」展開が好きくないんですよ。。。

 

自分としては、記憶が戻らないまま「小6みなと」のまま進む物語が見たかったなという思いがあったのですよ。

 

まぁしかし記憶が戻って「中3みなと」になる事で生まれる展開、その面白さも(西田脚本の巧さもあり)分かったので、個人的な好き嫌い(都合よく一度失われた記憶が戻る展開)を抜きにすると、良脚本、良構成でしたよ。

 

 

ただ残念なのは(脚本、物語構成についてではなく)、1クールだった事。この作品、2クール必要だったと思いますね。
「小6みなと」が消えて「中3みなと」となり、主人公の現チームメイトが「小6みなと」の喪失感を味わう話…、これは1クールではチームメイトと「小6みなと」の絆の深さが足りてないのです。これがもし2クールあれば、「小6みなと」を13~15話くらいまで出して、その間にチームメイトとの絆を充分に深める話を描く事ができ、その悲しみ・喪失感をより強く描く事が出来たと思うのですが、1クールしかなかったために「小6みなと」との絆がちょっと薄いのよね…。ホント2クールあれば、と残念でならない。。。


また、2クールあれば元競泳選手のチームメイト・アミアミの深掘りも出来たと思われます…アミアミは「小6みなと」が消えて「中3みなと」が水球やらない、となった時も
冷静にじゃあ代わりの人を…アッサリしてたもんね。2クールあってキャラ深掘り、絆を深め合う話が描けていればアミアミの反応も変わっていただろうなと思われるのですよ。。。


2クールあれば…という残念さや都合よく一度失われた記憶が戻る好きくない展開はありますが、納得のある良脚本、良構成の「良作品」でした。

続きがあれば楽しみに待っていたいです。


以上