アニメ「月とライカと吸血姫」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「月とライカと吸血姫」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


視聴前は正直、そのタイトルからは特に興味を惹かれる事はなく、また第1話を観終わった時点でもこの物語は、この設定で果たして面白くなるのか?と不安でした。

 

宇宙飛行士+吸血鬼(オカルト)要素??なんだその組み合わせ…、
吸血鬼という設定の娘が宇宙へ行くという目的が最初に・物語の導入として示されるのは良いのですが、
宇宙飛行士として宇宙へ行ったとしてその先に吸血姫に自由や勝利や栄光といったものがあると思えず物語として面白くなるのか疑問でした。。。

 

しかし、2話3話と観進めていくと、物語の展開や主人公と吸血姫の二人の関係性の変化などが丁寧に綺麗に描かれていて段々とハマって観ていました。
物語中で特に大きな変化や動き・展開がある訳ではないのですが、各キャラの心情描写や話の展開が、一つの物語として綺麗に丁寧に納得がある形で描かれているので、
大きな事件などが起きなくとも観ていて充分に面白く感じるのです。

 

最近のアニメのなろう系原作・ラノベ原作には、納得のないキャラ造形、物語構成・綺麗くない物語展開が多いのですが、
そんな中にあってこの「月とライカと吸血姫」はガガガ文庫ラノベ原作の様ですが、、、これはそんじょそこらのラノベ作家じゃねえぞ…。

 

俺は綺麗に構築された物語が好きなのよね。。。
分り易い大きな変化や大きな争いが起こる訳でもなく、またキャッチ―な設定・展開がある訳でもない本作に自分がこれほど惹かれるのは、
やはりキャラクターの魅せ方や物語の展開の巧さ、綺麗な物語、丁寧に描かれる物語に他なりません。
小説読んでも充分に面白いだろうなと感じる構成、描写がこの作品にはあるのです。

 

目を引くような派手なドンパチやったりする作品、まったりスローライフな何の益体も無いアニメ作品もあるなか、
この作品は話が急展開する様な大きな事件が起こる事もなく静かな物語が展開されますが、それは決して話が盛り上がらないという事ではなく、
最初から最後まで綺麗に構成されたストーリーが納得を伴って丁寧に描かれる巧い造りに唸らされるのです。
特に11話での、主人公が宇宙から地球を観た感想を全世界へ向けて述べる場面で、非公式ではあるが先に宇宙へ飛んでいたイリナ(吸血姫)の言葉を借りて話すシーンは痺れましたね。
原作を書かれてる牧野圭祐さんて方は、ちょっとこれから作品を追ってみたいかも…と思ってますよ。
ホント、主人公と吸血姫の二人の関係性や先の展開を見据えての物語の構成が巧いなと感じますね。

(前回の日記の話ですが、スタジオバインドにはこういう作品こそを選んでアニメを作って欲しいのよ…、前評判や知名度の高さに頼るのでなく、しっかりと自らが原作に目を通し、本当に面白いと思った作品に心血注いでほしいのよね)

 


最初こそ期待していなかったのですが、「月とライカと吸血姫」、
作品の評価としては、「良」作品ですね。面白かったです。

 


以下、雑感。

 

しかし…、11話まで観ても1話で感じた「この物語どう決着するんだろう?」はずっと気になってましたね。
もしかしたらバッドエンドも有り得るかもなと不安だったのですが…、
最後はまぁ無難なところで終わったかなという感想です。
(バッドエンドではなくて良かったよ)

あと、チーフ役の土師さんが良いですね。物語に重厚さを与える。林原閣下も同じく作品に重厚さを与えるね、イリナは難しい役どころだし(ツンデレと一言で表される様な単純なキャラクターではない)良いキャスティングじゃないかね。

 

最後に、やはり気になるのは「吸血鬼」というオカルト設定。
「吸血鬼」とは言うけれど、オカルト・ファンタジー作品に出てくる「吸血鬼」設定とはどうやら違うようですね。。。
あくまで「吸血鬼」というのは同じ国の辺境に住まう異なる文化、異なる宗教を持つ少数異民族の蔑称の様ですね(血を吸う儀式はある、という設定の様ですが)。

 

なので「吸血鬼」だからといって、不死であったり再生能力を持っていたり蝙蝠に変身したり噛んだ人間を眷属にしたりという様な人間にはない超常の能力を持っている設定などはありません。
人間とほぼ変わらない「吸血鬼」の設定…。作者が描きたかったのはオカルト・ファンタジー要素ではなく少数異民族に対する差別・弾圧を描きたかったのでしょうね。
…タイトルにまでなってる「吸血鬼(姫)」、、、まぁ勝手な憶測ですが、ガガガ文庫というラノベレーベルで出版するにあたりオカルト・ファンタジー要素が必要?だったので
異民族に対する差別を比喩的に「吸血鬼」として表現しラノベタイトルの体裁を整えたのかなと想像してます。。。


以上