アニメ「最果てのパラディン」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「最果てのパラディン」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

なろう系の一大ジャンルである「異世界転生」モノの「転生」についてをシリアスに描いた物語となっている様ですね。
序盤は、父、母、祖父の役割を持つアンデッドの3人に育てられる転生主人公、そして主人公が父役、母役の二人を輪廻の輪から解放する物語が描かれています。
今度こそちゃんと生きる、という「無職転生異世界行ったら本気だす」で聞いたようなセリフを主人公が述べるのですが
この作品「最果てのパラディン」の方が「無職転生」なんかよりも全然キャッチコピー合ってるよな、「今度こそちゃんと生きてちゃんと死ぬ」という「転生」のテーマがシッカリしているなと感じます。
キャッチコピーのマッチ度合いにしても作品の構成、魅せ方にしても、世間の評価は知らんけど明らかに「無職転生」よりこの作品の方が良作ですよ。

 

無職転生が勝っているとしたらそれは作画・演出面のみですよ…。以前別の日記でも語っていますが、自分の中では画は二の次三の次なんですよね。
いくら作画・演出のレベルが高かったとしても、物語の構成・展開、魅せ方、キャラクター造形等が巧くなければ良作にはなり得ないんですよね。
もっと言うなら自分の中では「良作画(鬼滅、呪術、無職転生レベルの作画・演出)+標準レベルのお話」よりも「標準レベルの作画+良物語構成」の方が評価が上になるのですよ。

 

この「最果てのパラディン」は明らかに、「無職転生」より「転生」というテーマがしっかり作られていて物語の展開・構成も考えられています。
まぁ全体的にシリアス多めであり、話が重い感じはあるのですがね…。
しかし、下品とポップを 履き違えている「無職転生」よりこの「最果てのパラディン」の方が断然が好感持てますね。

 

1~5話で物語の導入、世界観・設定説明、主人公の成長、別れと旅立ちまでを描き、6話からは新たな出会いや冒険が始まるという物語構成はシリーズ構成としても良いですね。
6話くらいから新章が始まるという展開は1クールのシリーズ構成としては最適だと思いますよ。あまり長いこと大した変化も起きないアンデッドとの家族話を長々とやられても…というのがありますからね。
自分としてはやはり新たな出逢いがあり物語動き始めた感がある6話以降が面白く感じましたね。

 

いやね、「蜘蛛ですが、なにか?」という作品では洞窟編で1クール使ってたからね…仲間や他のキャラとの絡みという絡みもなく主人公独りで洞窟の中で強くなるだけの話で1クール使うって…、
いくら2クール作品だからってその内の半分(1クール)を洞窟編で使うなんてどう考えてもおかし過ぎるシリーズ構成だわ。。。
そんなおかしな事やる「蜘蛛ですが、なにか?」のシリーズ構成と比べるとやはり断然良い構成なのですよ(「最果て~」の1~5話が「蜘蛛ですが、なにか?」で言えば洞窟編に当たりますが、
残り7話を(導入編で使った以上の話数を)友との出会いや新たな物語展開が成される事に使うという構成が良いのですよ)。

 

テーマもしっかりしていて、物語の構成も上手いのですが…
しかし、まぁ色々と気になる点はあります。

 

まず、第5話。
主人公が「神」を倒すのですが、良いの?大丈夫なの?神って絶対的な力持ってんじゃないの?頂点の存在じゃないの?
そんな存在の敵を主人公が序盤でもう倒しちゃって、後から出てくる敵がショボく見えない?今後の物語展開的にショボくならない?と気になるのでした。
作中最強?頂点の存在?の「神」を倒した主人公(三英雄をはじめ色々とサポートあっての事ではあります)が、この先他の敵にやられるような展開になった場合、納得がないお話になるんじゃない?と気掛かりです。

 

また、6話で新たな出逢いを求めて旅立つ主人公ですが、ハッキリとした目的がないのですよね。世界を救うために魔王を倒すや伝説の宝を探すといった分り易い目標が示されていないのですよね。
主人公の行動が自分のやりたい事のための行動なのか、それともただ周りに流されての済し崩し的に話が進んでいるだけなのか分からんのです。

 

あと、主人公の強さがよう分からんのよね。
物理(魔法)的な強さが一般人と比べてどのくらいなのか?主人公は別に転生時に特別な力を授かった訳ではなく、ただ幼少の頃から英才教育を受けただけであるので
一般人でもある程度は追い付ける、一般人が逆立ちしても勝てない存在ではない、のですよね…。
特別な存在ではない・ちょっと(かなり?)強いだけのあくまで一般人な主人公、そんな主人公に倒される「神」が創造した世界…よう分からん強さ設定よ。。。

 

他には、大賢者である祖父さんから魔法を習う場面において、
主人公は前世の記憶がある故に?幼いながらも魔法を早く深く理解していき、その様子を見て祖父さんは天才だと驚く展開となります。
が、これは「前世の記憶がある故に」だよね?子供にしては、という事だよね?それとも主人公が特別優秀だという事なのかね?よう分からんのよ。

 

…もし、自分が「名探偵コナン」の様に今の知識を持ったまま小学生に戻ったならば天才・神童と呼ばれる様な無双する自信はありますが、
小学生、中学生くらいまでかなと考えるのですよ。あくまで小学生・中学生にしては凄い!レベルであり高校生、大学生になったら普通の人…「十で神童十五で才子二十過ぎれば只の人」になる自信があります。。。

 

賢者の祖父さんが天才だ!と言っているのは未だ年端もいかないのに凄い!という事なのか、それとも本当に地頭が良いという事なのかよう分からんのですわ。

(子供にしては凄い賢かったけど、加齢とともに年相応…みたいになってるのでは?と思われるのですよ)

 

等々、ちょろちょろっと気になる部分はありますね。

…主人公の精神面が弱いのはまぁご愛敬かな。

 


最後に、物語全体的に残念な点として、
ワクワクドキドキ感が足りない、熱く物語に入って行けない点があります。
構成自体は全く悪くないのですが、ちょっと主人公のキャラが弱い、物語的に起伏・メリハリが弱い部分があるのですよね。

 

しかし、貶めすほど悪い所は全く無いので、
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


もう少し熱く物語に入っていけるお話であったなら良作になり得たのですがね…残念。


以上