アニメ「Sonny Boy -サニーボーイ-」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「Sonny Boy -サニーボーイ-」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

物語全体がちょっと観念的すぎるかな、と感じました。
物語の序盤(1~3話ほど)を観て思ったのは、この作品はいじめや引き籠り、自らが内に抱える不安や不満、他者とのちょっとした対立など思春期真っ只中なモラトリアムの少年少女達の不安定な心の問題、自我等の心象風景・心象世界での出来事を描いた物語…
その問題の解決が物語の終局へ向かう、心の解放、精神的成長、みたいな物を描いた物語かなと感じました。

 

放送前の特番で当作品の観た抱いた印象は、不思議な空間に迷い込んだ生徒達が突如手にした超能力で問題を起こしたりそれを解決したり…という様な「能力」を前面に押し出した能力物と思っていましたが…、
能力ほぼ意味ないですね。。。基本、他者との心の問題に関した観念的な話が展開される事となります。能力はほぼオマケといっても良いです。
(「能力」を前面に押し出した能力物ではないならば、生徒達自身に逃避能力やにゃまぞん等の個々の能力を持たせる意味・必然性はなく、個々の生徒達の悩みや不安etcといったものに反応し、その心象世界が具現化する「世界」という主人公達が迷い込んだ「空間」に能力を・不思議ぱわーを持たせればよい訳で…と考えるのです)

 

まぁしかし、序盤を観て自分が感じたこの作品がやりたい事というのは
ワンダーエッグプライオリティ」でやろうとしていた事に近いのではないのかなと考えました。
(「ワンダーエッグプライオリティ」は「少女、自殺」の括りがありましたが、どちらの作品も心象世界?での物語が展開されています)
どちらも同じ様な方向性の作品ですが、「ワンダーエッグ~」と比べるとこちら(「Sonny Boy」)の作品の方がよりアニメ的・エンタメ化が出来てる作品であると感じます。
まぁ野島伸司がアニメに向いていないのが良く分かる…というお話。。。)

 


しかし中盤以降は自分が想像していたストーリーからはちょっとずつ外れて行きます。
物語中盤は中だるみと言っても良い様な本筋とは関係様な話がいくつか展開されます。先輩漂流者の話要らないでしょ…。無くても全然成立しますよ。。。
もしこの作品が2時間の劇場映画作品であったならば、先輩漂流者編は多分ない方が綺麗にまとまる…、
そう感じるくらい余計な展開だし設定もブレるし(漂流のキッカケってにゃまぞんじゃなかったけ?)、無駄に風呂敷を拡げる事になるし…とホント余計な尺稼ぎ的展開にしか感じないのですよ。。。

 

中盤以降の展開は、なんかもう最初に感じた心象世界での物語?とは外れた展開となって行きました…そして終盤の展開はちょっと…、理解ができませんでしたね。。。

 


中盤以降の展開(中盤の意味の分からなさ・必然性のなさ、終盤の納得・説得力に欠けた展開)の問題はあるのですが、全部観終わってから思うと最初の構想から失敗してると思われますね…。

 

まず、夏休みの登校日に投稿していたクラスメイト?全員を巻き込む必要があったのか???
クラスメイト個々の悩みや不安、不満などの心の問題を扱うのであればクラスメイト全員を転移させて物語を展開する意味も分かるのですが
クラスメイト一人ひとりに焦点が当たる(所謂当番回みたいな)話はほぼなく(心が読める女生徒の話くらい?)、基本的には主要キャラ(4~5人)の話のみです(あとは先輩漂流者話で無駄に話数使うし…)。
序盤いかにも黒幕的な感じに思われた神の声が聞える少年の意味(物語展開的な役割・配置)やエースな少年なんかが中盤以降全く物語に関わってこないし…と、
クラスメイトを物語に絡ませないのならば、何故クラスメイト全員を転移させる必要があったのか?「主人公やにゃまぞんとたまたま一緒に教室に居残っていた数名の生徒」=主要キャラだけで良かったのでは?
と、先の物語展開を見据えた最初の構想段階での設定が成されていない部分に問題を感じます。

 

さらに言うなら、終盤の急展開も納得がない…。

メインヒロインと思われる女生徒の死(静止した世界ではなかったのか?バベルの塔?みたいな話では死んだ先輩漂流者が何事もない様に生き返ってたけど…)や
その後急に元の世界に戻る方法が判ったりしたみたいだけどその展開・理屈に納得がないのよね…。

 

中盤の先輩漂流者の話や先生キャラ、戦争などは設定をブレさせ無駄に風呂敷を拡げ、終盤の納得ない展開での無理やり物語を畳もうとしている感じ…う~ん、
もっと考えて綺麗に構成された物語であればもう少し納得のある構成になるはずなんですがね…。

なんか適当に「いかにも」な「思わせ」な要素を取り敢えず詰め込んで、何か考えさせる物語風にした様な感じの作品にしか思えず
最初から最後まで綺麗に計算されて構築された物語に見えないのよ…。

 

主人公のキャラもよう分からんし…元の性格は明るく活発だったりしたの?それがなにか家庭の事情で変化したの?主人公のキャラクターがあまり説得力のある描かれ方がしてないから共感や納得がないのよね。。。
短髪ヒロインにしてもそう。表面的なキャラだけ、深みがないキャラ。。。

 

もう少し納得を伴ったストーリー、キャラクターを構成して欲しかったかな…。


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上