アニメ「ブルーピリオド」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ブルーピリオド」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

普通に楽しめた作品。
原作の地力を感じますね。主人公をはじめ各キャラの言動とその物語展開に納得・説得力があります。

 

まず、芸術・アートを分析・解説するという着眼点が面白い。
アートなんて感性のもので心で感じるものであり、分析・解説みたいなものからは程遠いと考えていたのでそこが面白いですね。

そして、そういう分析・解説が出来る人が創る物語なので、論理的に組み立てられた物語展開に納得・説得があるのですよ。

印象的なセリフ、そしてそこへもって行くための物語の展開のさせ方がシッカリ考えられていて納得があり上手いと感じますね。


着眼点の面白さ、物語展開の上手いのは実はアニメを観る前から分かってはいたんですね。。。

以前(アニメ「アルテ」の感想)の日記でも書いた様に、実は今から1~2年ほど前にコミックスの1、2巻だけ買って読んでいたのですよ。

 

…これは原作を知っているから感じた事なのかも知れませんが、第1話を観たとき、
ちょっとペースが速いな、と感じました。

 

主人公が芸術、アートにハマるまでの時間をもう少しゆっくり丁寧に描いても良かったのではと感じたのです。
自分の考えるペースでいうと、第1話のAパートまでの話…これを1話のAパートで描くのではなく、1話丸々使って描いて良いのでは…。
そして第1話Bパートを第2話丸々使って…
と、それくらいゆっくり丁寧に主人公の心情の変遷を、アートの深みを描いても良かったのでは、と感じられたのです。

まぁこれは、自分が原作を知っているからというよりも、
自分のペースで・自分の心情に合わせてページをめくれる・自分の「間」で物語を展開できる【漫画】という媒体と
他者に決められた「間」・スピードで否応なく次の映像が流れ込んでくる【アニメ】という媒体の違いもあるのかも知れません。


あと、細かい所で気になったのが、
主人公の親との大学進学についての話でのシーン、
母親とのシーンは描かれていましたが、父親とのシーンや母親の「パート増やさないと…」のシーンがカットしてありましたね。
もう少しアニメ序盤をゆっくり丁寧に描いてカットして欲しくはない所ではありましたね…。
(しかし1クールで形あるもの収めるのならカットされるべき所かな、とも納得できますが、ね)

他に「東大より入るのが難しい」みたいなこの作品の売りにもなっていた?キャッチ―な言葉・シーンがなくなってたのはなにか訳あるのかね?誤解を生む?表現が避けられたとか?

と、原作既読(1、2巻のみ)な自分が気になるところがちょこちょこあったのでした。

 


着眼点も面白く、物語展開も上手いのですが、ちょっと主人公のキャラが弱いんですよね。

ちょっと涙もろい(感受性豊かな)主人公、基本善人な主人公で好感は持てるのですが、共感が少ないというか親近感が薄いというかあまり深みを感じるキャラになっていない問題がありますね。
なので、そこまで深く物語には入っていけない…、造りは「上手い」とは思うけど…深く熱く物語に入ってワクワクドキドキを感じる事がない・弱いという点があります。

 

いや、「ブルーピリオド」良いですよ、面白いか面白くないかで言えば間違いなく「面白い」作品になります。
大きくマイナス評価になる所はなく、物語展開も納得があり上手いのですが…物語に熱く入っていけない、、、
主人公が基本的に頭が良く冷静で常に論理的に思考しているから~感情ではなく理性で行動している様に見えるから~熱く入っていけないのかも知れませんね。。。

 

物語設定・導入の面白さや展開の上手さはあるのですが、作品への没入感という意味では少し弱く感じたため、

作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上