漫画「舞姫 テレプシコーラ」 ~感想

漫画「舞姫 テレプシコーラ」を読みしました。
以下、ネタバレを含む感想となります。


…結構ズッシリと重い、悲しく辛い想いが心にズーンと重く残る物語でしたね。
いやね、最終10巻のあの展開…決して「物語展開/構成的」に『納得』がない訳ではないのです。。。伏線、フラグは以前からあったので、
もしかしたらそういう展開になるかも…と予想はしていたのですが(どちらかというと『納得』はあった描き方なのですが)、そうなって欲しくはなかった、千花のバレエ復帰を期待していたのですが…、最も悲しい結末になってしまいましたね。

「物語展開/構成的」には『納得』がある造りなのですが、一読者としては認めたくはないという心情的に『納得』できないというか、したくない、受け入れがたい展開でした。。。

 

 

悲し過ぎる結末でしたが、山岸さんの物語展開の巧さには舌を巻くばかりですよね。直前に主人公・六花の祖母が倒れ入院する話があったから六花と同様に祖母の話が展開されるのかと思ったら…の衝撃の展開でしたからね。。。
今回、山岸凉子さんの作品を初めて読みましたが、山岸さんはもの凄く丁寧にキャラクター(内面/性格)を描き、もの凄く丁寧に納得のある話の流れを作り物語を展開される方なんですよね。
キャラクターが何をどの様に考え、その結果としての言動がつぶさに描かれているから納得がある話の流れになっているんですよね(もちろん、主人公以外のキャラについては今後の展開を見据えて敢えて語られていない部分もありますが)。

 

そのあまりに丁寧過ぎる物語展開に、最初は(というか最後まで)物語が/主人公・六花がどこに向かうのかが分からず(全10巻というのは分かっているのですが、5巻まで読んでも6、7、8巻まで読んでも最終的なゴールが見えず)、
この作品ホントに10巻で終わるのか?とずっと不安なまま読んでいました。それがあんな結末になるとは…(いやね、第2部がある事は知っていたので第1部は投げっ放しというかコンクールやってひと区切り終わる程度で第2部に続くような形で終わるのかなと思っていたのですよ)。

 

 

お話は間違いなく面白いんですよね。キャラクター、話の流れが丁寧で思わず引き込まれてしまう面白さなのです…だからそこ物語がどこに向かうのか分からない/見当がつかない構成でも最終10巻まで読ませる魅力があるんですよね。
(最初こそ/取っ掛かりこそ、特徴的な絵や登場キャラ・空美のエグい・ドギツイ設定なんかで敬遠しそうになりますが)
丁寧に内面が描かれるキャラ、そのキャラによって紡がれる物語に引き込まれていくんですよね…。
それ故に…、キャラの魅力を深く感じるが故に千花の喪失は読者の心に深く重く残るものとなるのですよね…。

 

千花にとってはいじめは大した問題ではなかったと思っています。バレエさえできればバレエさえあれば問題ないと考えていたのだと。。。
しかし、手術、再手術、再手術…とバレエを支えにしてきた千花の心を2度も3度もへし折りに来る。。。
強い心を持っていた千花も次第次第に弱って行く…そして、、、と千花のその選択に納得はありますがその選択はして欲しくなった。。。

千花というキャラを丁寧描いているから・魅力あるキャラとして描いているから、本当にこういう子が知り合いに居るみたいに感じそれ故に10巻のあの衝撃に展開に心が深く沈む気持ちになるのですよね…。

 


まぁ今から思えば、山岸さんの中で10巻のこの結末は最初から決まっていた構成なのでしょうね。「舞姫 テレプシコーラ」(第1部)のお話は六花、千花の物語だった訳ですね。
「物語構成」として千花の運命が決まっていた事は納得・理解はしますが、千花はホント良い子で強い子で何も悪い事・責められる様な事はしていないのに物語構成都合上、不孝不幸不幸に見舞われる千花が不憫でなりません。

 

キャラクターの見せ方、話の流れ、物語構成には納得があり巧い面白いのは間違いなく、さすがベテランと感じるのですが、
個人的に千花にはバレエ復帰して欲しかったという想いがあり漫画はやはりエンタメ、ハッピーエンドであるべきと考えているので
(フラグはあったが結末があまりに悲し過ぎたので)、点数で言うなら79点というところでしょうか。


第2部があるのは知っていますが、10巻のあまりのダウナー展開に続きを読む気になれないんですよね…。
第2部よりも、もし千花がバレエ復帰するifルートがあるのならそちらの方をぜひ読みたいですね。


以上