アニメ「ヒーラー・ガール」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ヒーラー・ガール」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


全体的にかなりレベルの高い良かった作品。
会話の流れ・テンポに納得があり、キャラクターもしっかり描こうとしているのが感じられ、また絵コンテ・演出も巧く観ていて楽しい作品でした。
EDクレジット見てたらコンテは監督の入江さんが全話書いてたみたいね。
キャラクター同士の会話の流れやテンポ、それに伴う絵コンテも小気味良く、おそらく監督の中でしっかりとキャラクターが出来上がっているからこそそれが脚本や作画にも表れているんだろうなと感じます。
決してヌルヌル動く・美麗な作画、という作画ではないのですが、しっかりと魅せるべき所、キャラクターの良さ・らしさを見せている良い画なのですよ。

 


基本的にはキャラクターをしっかり描こうとしているのが感じられ好感が持てるのですが、一部不満というか疑問に思う点もあります。
メインキャラクターを髪の色「性格(ざっくりな)」でいうと…赤髪「元気」、黄「お嬢様」、(薄)緑「おっとり」に加えライバル的立ち位置の銀髪「天才」の4人になりますが、
黄「お嬢様」と銀髪「天才」のキャラがちょっと被っているというか、「言いたい事をズバズバ云う、タカビーキャラ」な感じが似たキャラになってしまっているんですよね。
それに銀髪「天才」の登場が第2話となっており、黄「お嬢様」の紹介回・当番回が行われる前~黄と銀髪の差別化が行われる前~というのが余計にこんがらがる要因になっているんですよね。
(あと、黄「お嬢様」に関してはメイド姉さんとの深掘りエピソードよりも前にヒーラーを目指すきっかけのエピソードをまずしっかり描いて欲しかったかな、と感じています)
お嬢様キャラと天才キャラって往々にして一緒にされる(一つのセット・家柄の良い天才お嬢様な一人のキャラクターとして描かれる)事が多いのになぜ分けて描いたのか、そしてなぜどちらも「言いたい事をズバズバ云う」キャラにしたのかちょっと疑問ですね。

 

まぁこの辺りの二人のキャラの差別化は話数が充分にあれば(例えば2クール以上あれば)問題なく行えた事かも…とは感じるのですがね。。。
(もし充分な話数があれば他のメインキャラの更なる深掘り・他のキャラとの絡み/関係性を深める話を描けたであろうなとも感じますね)

 


あと、もう1点脚本についてというかシリーズ構成について残念な点があります。
それは、終盤の展開・シリーズの締めとしての物語が弱い…と感じてしまう点。。。
冒頭でも述べた通り1話1話の中での会話の流れ・テンポの良さには良い脚本だと感じるのですが、シリーズ構成として見たときちょっと弱い・綺麗には纏まっていないかなと感じてしまうのです。
決して大きくマイナスになる事はない内容なのですが、プラスにもならない…というか、
その結果、最終的な作品の評価としては、限りなく「良」寄りの可もなく不可もなくとなってしまうのです(今一歩「良」作品になり得ない、シリーズ構成さえ綺麗にできていれば(もしくは2クールあれば)「良」作品評価であったと思いますよ)。
1話1話の脚本、キャラクター、画(絵コンテ・演出)のレベルは高く、2022年春アニメの中では唯一と言ってイイ「良」評価作品になり得る作品でした。もう1クールあれば…な勿体ない・惜しい作品。

 


最後に雑感で、これは評価が難しい…評価が分かれるところだと思うのですが(だから評価対象にしていない)、
この作品は音声治療という性質上「歌」が前面に押し出されているのですが…それはまぁ良いです、そういう設定・導入という事で全然受け入れます。
しかし、気になる(気に障る?は言い過ぎか)のは、診療以外での「歌」シーン…ミュージカルシーンが入る演出。。。
ほぼ毎回、ノルマの様にミュージカルシーンを入れてくるのよね…(入らなかったのはおそらく文化祭回と最終話とラス前の3回のみだと思う)。
このミュージカルシーンは賛否あるんじゃない?というか結構な人数がふるいに掛けられる事になると思うの。。。
ミュージカルシーン必須だったのかな?


以上