アニメ「リコリス・リコイル」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「リコリス・リコイル」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。
(「カウボーイビバップ」のネタバレも多少含みます)


最初の印象は、「GUNSLINGER GIRL」(ガンスリンガー・ガール)かな?でしたね。
それから次第に「カウボーイビバップ」かな?へと変わりました。喫茶リコリコの面々がビバップ号の面々よろしくわちゃわちゃバカやってる感じがそう思えましたよ。
第8話9話以降辺りからは終局へ向けたその展開も「カウボーイビバップ」めいた感じでちょっと鬱というか寂寥感を覚える展開を想像していました。


カウボーイビバップ」の話ですが、基本的には「良作」といって良いのですが…、あの最終盤の展開が好きくないのよね…。一人また一人とビバップ号を去って行く仲間達、そして最終話でもう二度と元には戻らない事が決定的となる終わり方になるのですが、、、自分の「エンタメ」作品の考えとしては、基本的にはハッピーエンドというか一度見終わった後でもまた何度も観たくなる…そんな作品が真の「エンタメ」作品だと考えていて、「カウボーイビバップ」は基本的には面白いですけどやはり最終盤の鬱へ向かっていく展開のために何度も観たいという感じにはならんのが残念なのですよね。

 

第9話以降の、喫茶リコリコから一人また一人と仲間が居なくなる展開に「カウボーイビバップ」の最終盤の展開が思い出されたのよね。
(~ビバップで言えば、千束がスパイク、たきながジェット、ミズキがフェイ(結構無理くりですが)、クルミエド、先生はジェット枠になるかな)
まぁ「リコリス・リコイル」は同じ展開を辿らなくて良かったですよ(2期3期と続編を考えているのであれば商業的理由・展望からハードボイルド的な終わり方は出来なかったのかな、と邪推するのですが)

 

「~ビバップ」へと少し脱線したので「リコリス・リコイル」の話に戻しますね。
放送期間中話題になっていた作品、という認識があった今作。
しかし、全話観終わってもなぜ話題になっていたのか、話題になるほどの作品か?と疑問でしたね。
いやね、別に悪い訳ではないのですよ。作画も安定して良かったし、主人公の千束は元気っ娘で可愛いし…と、
しかし、それ以外に特に褒める所もないという可もなく不可もなくな作品なのですよ。

 

キャラも千束以外は弱い、表面的なキャラ付け・属性付けのみのキャラばかりなんですよね…キャラに深みがない。
もっと言えば最終盤の展開がなければ千束も弱いキャラのままでしたよ。元気っ娘という表面的なキャラ付けだけでは弱い…喜怒哀楽の「楽」しかない様なキャラの描き方では弱かったのですが、最終盤のヨシさん関連の話で「哀」が描かれた事で多少はキャラとして多少深みが増したかな?という感じ。

 

さらに言えばもう少しキャラが生きている・深みを感じる脚本が描かれていれば千束-たきなのバディ物としても観る事が出来たのですがね…。

バディ物として描くなら千束のたきなに対する感情を、もう少し特別感のある風に描かないとね。
「たきな→千束」の特別感は描かれていたと感じるけど、「千束→たきな」の特別感が足らない…、別に千束は相棒がたきなでなくとも誰とでもそれなりに上手くやって行けそう感がある描き方なのよ。
千束のキャラがもう少し人間味ある風?深みのある描き方がされていればまた感じ方も違っただろうに…と残念なのですよ。

 

そして他のキャラも弱いのよ…、
たきなは最初、真面目というか融通の利かない合理主義者という感じで描かれていますが、次第に千束に影響され喫茶リコリコに染まって行くというかデレていく感じになるのですが、最初から最後まで変わらず一本筋の通った性格・たきなのキャラというものが見えない事になっているんですよね。


クルミにしても、あんな幼女風の容姿で伝説のスーパーハカーという設定なんて色々とバックボーンの説明要るやろ…なのに説明なんもなしだし。。。


ミカの同性愛者設定にしても取って付けた様な設定で、ヨシさんと深い仲にするためだけの設定に感じられるのよ(ミカのキャラを深める様な設定ではないと感じる)。
ヨシさんと深い仲(秘密を共有する様な仲)という設定だけ必要なのであれば別にかつてのバディ・相棒という設定でも良いと感じるし、また仮にヨシさんの性別が女性であったならミカの同性愛者設定はなくなってたんじゃないか?と感じるのよ(ミカのキャラを深める様な設定ではない、ミカ-ヨシの深い仲をセッティングするためだけの設定だと感じるから)。

 

あとは敵キャラの真島のキャラが色々とショボい…。
結構序盤で登場した事、そしてあのいかにも小物っぽいビジュアル、街のチンピラっぽい言動から中ボス的な存在だと思っていたのですが、まさかラスボスとは…。
そして真島ことバランス大事マンのいう事もよう分からんし納得がないし、悪なら悪の矜持持てよと悪としての魅力も全く感じないラスボスとして全く相応しくない薄っぺらいキャラなのですよ。
また真島の能力にしてもるろ剣の宇水で目新しい物ではないし(さらに言えば千束の弾丸の軌道を予測して避けるも、るろ剣の剣心でありコロサズの誓いも剣心のそれだね)それだけの能力でラスボス気取られちゃってもねぇ…。で、結局生き延びるからね。。。
なんだなんだ、続編があるとすれば、眼が良い、耳が良い、の次は嗅覚が良いか?触覚が良いか?(エアマスターの様に空気の流れを感じるとか)、、、色々出尽くしちゃった感あるのでなんかもう一捻り欲しいよね、今の時代。。。

 

ついでに真島関連のストーリーで気になったところ。

11話か12話だったかで一度真島を拘束してたけどさぁ…ワイヤーでの拘束だけで満足すんなよ、と感じるのよ。敵の攻撃力・機動力、逃亡能力を封じるためにも手や足の骨でも折っときゃ良いのに縛っただけで放置なのよね…敵の手や足の骨を折る・砕くくらいなら千束の信条にも反しないだろうから出来ると思うけどそれをやらない、そしてやるべき事をやらないでその結果13話で真島が復活して襲ってくる展開になるという納得のなさ…その展開が残念なのですよね。

 

 


続いて設定面について。
まず、真島のポジションがよう分からん。真島は自身が組織したテロリストのリーダーなの?それとも上にはより巨大な組織があって真島はその巨大組織の一構成員or幹部という位置にいるのかよう分からんのよね。
おそらく上位組織は居ないっぽい、ただの一テロ組織(小組織)のリーダーって感じだけど…だとすると、次の疑問…「リコリス/DA」という組織の無能っぷり問題が出てきます。

 

リコリス/DA」って国の組織という設定なのよね?それが真島という一テロリストにやられ過ぎじゃね?とその無能っぷりに呆れるのよ。何度も何度も真島の罠にハマってアホしかおらん組織なのかと、
国の秩序を守るために選りすぐられた人材が集められた組織であるはずなのにアホばかりと説得力・納得がない造りになってるのよね。
サード・リコリスが4人もやられているのに、クルミがその理由・共通点を指摘するまで何も分からずってDAはアホの集まりか…、二人目の時点で気付けよ…無能の集まりか、と。
なんだろ?あの楠木司令がその場の思い付きで一人で作戦とか決めてんのかね?と感じるほど「組織」としての描き方が全くできてないのよね。

 

さらに言えば、リコリスという設定・存在が成り立たんでしょ…という問題。

一億総監視社会ともいえるそこら中全ての人が携帯端末でカメラ持っている今の時代に

あんな街中で銃をぶっ放したりしてたら揉み消せんだろ、と感じるのですが。。。

 

 

あとアラン機関もよう分からん。
ランドセル寄付する伊達直人のすっごい豪華版の組織という認識だけど、なにが目的なのかよう分からんね。
ヨシさんもその一員らしいけど、劇中でのヨシさんの言動はアラン機関としてのモノなのかヨシさん個人の見解なのかもよう分からんのよね…、アラン機関の目的というものが描かれていないから。。。
続編があるなら続編でアラン機関の事が描かれるのかも知れませんが、変にストーリーに絡めない方が良い気がします…場合によっては支離滅裂な組織・設定という事になりそう…。

また上記アラン機関に関連して最終盤の展開について。
アラン機関より提供された(アランチルドレンが開発した)人工心臓を巡る展開になるのですが、「人工」という事は人が作れるんだよね?別に秘密裏に開発された技術ではないのよね?アランチルドレンの成果として世界に公表されているものではないの?
公表されている技術であるならそんなにシリアス展開(千束の寿命が残り僅か)になる意味が分からん…、新しい人工心臓を造ればいいんじゃないの?という事になるんだけど…、なんかどこか見落としてる情報があるかね?(人工心臓は最先端機器らしいのでお金の問題は出てくるかも知れんけどそこは国家機関のDAが千束の能力と天秤に掛ければ…)

 

 

と色々と気になるところはあり、放送期間中話題になっていた作品、今夏ナンバー1だとか覇権だとかという事で勝手に期待値が上がっていた分ちょっとガッカリした作品でしたかね(作画は文句なく良いけど)。
途中でも述べていましたが、作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

以上