アニメ「オーバーロードⅣ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「オーバーロードⅣ」を一気観しました。
(嘘です、「オーバーロードⅣ」は毎週毎週観ていました)
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


「オーバーロード 14巻 滅国の魔女」の感想でも語っている様に原作小説既読であり、今回のアニメ「オーバーロードⅣ」は先の展開を知っている状態での初のアニメ「オーバーロード」視聴となります。
そこで感じたのは、やはり色々とカットされてるなぁでした。話の大筋はもちろん変わりありませんが、設定周り・設定関連の話がカットされてると感じましたね。
オーバーロードの面白さの真骨頂は設定の細かさ(世界観、魔法やアイテム、強さ設定、キャラクター…etc)にあるのですが、その設定周りの語りがカットされているのが分かるのが残念なのですよね。


1クール(13話)という尺の都合上カットせざるを得ないのも理解するのですが…いやね、今回のアニメ4期は原作小説10巻、11巻の内容をアニメ化するものと思っていたので、これまでのアニメ1~3期(原作小説3巻分で1クール分制作)と違い、原作小説2巻分で13話分のお話が作られ、その分これまで(アニメ1~3期)以上に細かく設定周りが語られるものと考えて期待していたのですよ。
それが第2話でのOP映像を観ていたら、、、あれ?アズスやリクが居る…まさか14巻の内容もやるつもりかと驚いたと同時にまーたオーバーロードの面白さの真骨頂を理解せずにカットするのか、と制作スタッフにガッカリしたものですよ。


しかしまぁ、全話観終わってみて切りが良い所で終わったかなぁとは感じましたね…カットされた部分は気になりましたが。。。
あと最終話(13話)の構成について少々…あの最後のラナー関連の過去の映像の振り返りや歌は要らんだろ、、、そこに尺使うのであればリクとの戦闘部分をもう少し尺取って描くようにすれば良いのに、と感じましたよ。
それか、あんな露骨な尺調整よりかは劇場版や5期の匂わせみたいな感じで、「顔なし」や「エルフ王」、「番外席次」のカットでも入れた方が良かったんじゃないのと考えましたけどね。

 


アニメでのカット部分や尺調整についての不満は以上で、次にアニメの内容自体についてですが…原作小説既読なので内容についてはそう語る事はないんですよね。。。
まぁ一つ語るとしたら第10話「最後の王」が良かった事ですね。原作小説を読んでいた時は14巻の見所としてはやはり「vsツアー(リク)戦」だと感じていたのですが、アニメ4期として観た場合「ザナック編」が一番面白かったですね。
(もちろん原作小説を読んでいた時もザナック編は面白い部分ではあったのですが映像として観るとより一層面白くなっていましたね…ザナックの最期のシーンにしても原作小説とアニメではザナックのモノローグがカットされてたり若干違いがありますね)

 

ザナック編として第10話は綺麗に纏まっていて面白かったですね。
この面白さもザナックというキャラクターを事細かに設定し丁寧に(アニメ2期の頃から)描写しているからなんですよね。
別にザナックがどういうキャラクター・立ち位置に居たとしてもアインズやナザリックの趨勢に大きく関わる事はないのですが、そんなキャラクターまでも細かく設定し丁寧に描いているからこそ物語に深みが増す結果になっているんですよね(もちろんこれはザナックだけではなくリザードマン達や王国貴族、帝国、冒険者・ワーカー諸々そうですね)

 

ザナックは「良い奴」ではなかったと思いますが、正しく王としてあろうとした・王国民のトップであろうとした本当の最後の「王」でしたね。
(ランポッサⅢ世の場合は、自らの死と共に王としての責務を放棄しようとしていたし(自らの死後の後釜が居るとは言え)、
もしバルブロが生きていたとしたらアレは確実に貴族達とともに王国民を捨てて逃げ出していたでしょうし(逃げ切れないでしょうが)、
ラナーに至っては王族の地位どころか王国民の命も魔導国に捧げてますからね…)

 


オーバーロードⅣ」が放送期間中、話題になっていたのは知っていたのですが、その中に「2期3期は面白くなかった・微妙・人気が落ち込んでいたけど、4期で面白くなった、盛り返した」みたいな感想を見たのですが、いやいやいやオーバーロードは1期から4期まで変わらず面白いですよ!と言いたいね。。

小説「オーバーロード 16巻 半森妖精の神人 下」 ~感想でも書きましたが、オーバーロードの話の展開について「退屈だ、つまらない、面白くない、必要ない話だろ…」などと言ってる読者/視聴者は分かってないのですよね…。
オーバーロードの面白さの本質・真骨頂は微に入り細を穿った設定の作り込みなんですよね。
キャラクターに留まらず、世界観設定、魔法、アイテム、強さ設定…etcがしっかり作り込まれており、その設定に則った上で物語が展開するから納得・説得力が生まれる訳なんですよね。


オーバーロードⅣ」のジルクニフやザナック関連の話の面白さは、(ナザリック以外の人物も)丁寧に背景(設定)を描いてきているからこそバトル展開がなくとも内政ものだけでも充分に面白くなる訳ですよ。
また、200年以上前に転送されたモモンガと同格のプレイヤー達(十三英雄、八欲王、六大神…)の見せ方(チラつかせ方)やユグドラシルからプレイヤーを呼び寄せたと思われる竜帝の存在、そしてそのプレイヤー達の事を知る真なる竜王などの見せ方・設定の見せ方、情報のばら撒き方が巧いんですよね。また他にも強さ設定(レベル差によるダメージ減衰やスキルによる物理攻撃無効化等)、異世界特有のタレントという能力、ワールドアイテムや始原の魔法…etc、この辺りの設定の作り込み、見せ方の巧さ…等々、、、設定が作り込まれているからこそその物語展開(キャラクターの思考やバトルの勝敗など)に説得力が生まれ、自分が物語構成・設定に一番重要と考える「納得」が出来てくる訳なのでそこがオーバーロードの面白さに繋がってくるのですよ。
全ては丸山くがねちゃんの事細かな設定の作り込み、見せ方(チラつかせ方)の巧さがオーバーロードの面白さの醍醐味・真髄だと自分は考えています。

 


この設定周りの話で自分が個人的に地味に素晴らしい設定だと感じているのが、
モモンガが異世界転移してからの精神がアンデッドのそれになっているという設定が秀逸ですね。
おそらく元々は人間が人間の精神のままアンデッドになったら飲まず食わず不眠不休不老不死に精神が耐えられないだろうという発想からのアンデッドの精神化設定が作られたのだと考えるのですが…、
この設定(精神変異・変遷)が、「アンデッドだから人の死や不幸に忌避感や嫌悪感がない」という設定にもなっていて「納得」を与えているのですよね。

 

たまにねオーバーロードの面白さを語る感想の中に「主人公が『悪』であるのが他の異世界転移・転生モノと異質でそれが面白い」というものを見るのですが、面白さの本質はその奥にあるんですよね。
もし主人公がただ人間を虐殺するだけの『悪』であったなら胸糞悪いだけでそこ(主人公の行動)に理解や納得はなかった訳なのですよ。
それは例えば少し前に語った「異世界迷宮でハーレムを」や「骸骨騎士様、只今異世界へお出掛け中」等の主人公が人間を相手にして躊躇いもなくぶった切っているシーンを観ると、どういう精神をしてんだ?現代日本から転移されたのよね?日常が戦場の国から転移してきた訳じゃないよね?サイコパスなのか?と納得がないのです(さらに「骸骨騎士~」に関していえば骸骨でありながら飲み食い、睡眠などもするという全くの納得のなさ)。
翻ってオーバーロードでは、そこに納得を与えるのが「アンデッドの精神変異」となるのですよね。人の死や不幸に忌避感を覚えない「アンデッドの精神」というのがアインズ(モモンガ)の悪行に納得を与える事になっている~そこに納得があるから~こそ
胸糞悪い主人公とならず面白さが生まれていると考えています…これも「設定」が納得を・面白さを作っているという訳ですね。

 

 

 

と、原作小説のオーバーロードの面白さの魅力について語りましたが(アニメの感想としては纏まりない感じですが)、
アニメ「オーバーロードⅣ」作品の評価としては、原作ファンという事で多少甘めの評価で「良」寄りの可もなく不可もなくとなります。


以上