アニメ「彼女、お借りします(第2期)」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「彼女、お借りします(第2期)」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


第1期から引き続き「納得」がない作品。
まず2期の初っ端の第13話について。
次の舞台が成功すれば(大物演出家から認められれば)、女優一本で食べて行けるようになるから「レンタル彼女」を卒業するという話の流れが語られます。
しかし結果は、大物演出家と縁故のある女優が選ばれてヒロインは酷く落ち込む事となります…。

その事を知った主人公はヒロインを元気づけようとしますが、ここに1期で描かれたクズな主人公の性格とちぐはぐさを感じる部分があるのです。
それは主人公のモノローグでまず「最低だ、(ヒロインが)選ばれなかった事(ヒロインがレンタル彼女を卒業しない事)に喜んでいる自分が居る」旨の胸中が語られますが、
その後すぐに「(ヒロインの)演技が一番良かった、(女優の)夢をあきらめるな」という旨の励まし発言を雑踏の中(駅前?)大声で叫ぶのですが…。
この主人公の行動に気持ち悪さを感じるのです。

 

第1期から引き続き主人公を同じクズとして描くのなら上述したモノローグ部分「~喜んでいる自分が居る~」旨の胸中も声に発するべきなのです。
それならクズな主人公という性格設定に一貫性が生まれ「納得」したのですが、
ノローグ部分はヒロインに聞かせない方が良いだろうと打算的に考え、励まし部分だけを聞かせてヒロインの心をときめかせてやろう・キュンとさせてやろうという主人公の考えが(それはそれでクズですが、モノローグにはそんな思考の流れは一切ない…心からヒロインを想っている風の脚本となっているのが)、ちぐはぐで気持ち悪く感じるのです。
このちぐはぐさが生まれる原因は原作者、脚本家が主人公のクズな性格をしっかり設定できておらず(原作者のキャラクター設定・構成が雑、メチャクチャだから支離滅裂になる)、
ストーリーの展開ありきで物語を進めようとするから起こるんですよね。。。

 

・1期から一貫してクズな性格の主人公を描くならモノローグ部分も声に出してヒロインに聞かせるべきだし、
・主人公が本当に心からヒロインの事を想って街中で大声を上げて励ますのであればモノローグの部分を丸々削るべきだし…
(もしくはクズ性格の一貫性を通すのであれば、上述した~励まし部分だけを聞かせてヒロインの心をときめかせてやろう~のクズな思考の流れを説明するべきだし…)
と主人公の思考・言動にちぐはぐさを感じる結果になってしまっているのです。
まぁ全ては原作者が主人公の性格設定、自然な会話の流れ・物語展開・構成を深く考えていないが故のちぐはぐさなのです。

 


また、主人公はヒロインの女優の夢を支えるために毎回ヒロインを指名して貢いで支えるみたいな事を言うのですが、
これも会話がおかしい・違うよな…と感じますね。
この関係は一見、地下アイドルの推しメンとファンの関係の様に見えますが、この作品のヒロインと主人公の関係は推しメンとファンほど尊いものではないのですよね…。
「推し」と「ファン」の関係は無償の愛というか親目線的な庇護欲の様な感情だと思うのですが、この「かのかり」のヒロインと主人公の関係は、主人公がヒロインと付き合いたいと思っている下心丸出しの感情なのですよね。
「推し」と「ファン」の関係のほど清く尊いものではない・及ぶべくもない、下衆で下品な感情なのです(まぁ一部の「推し」と「ファン」の関係には行き過ぎた、ストーカーみたいな感情もあるでしょうが…)。
主人公のこれまでの言動とこれらの発言(貢いでヒロインの夢を支える)から、決して本心からヒロインの夢を応援しているのではなく下心を含んだ打算的な考えが読み取られて、一見すると激情家で熱い男の様に見えますがその実は酷く汚い気持ち悪い主人公が描かれているのです(ここに原作者が考える主人公象「熱い男」と読者・視聴者(俺)が感じる「汚い・気持ち悪い男」のちぐはぐさがあるのです)。

 

やはり1期から引き続きこの作品(主人公の性格設定、自然な会話の流れ・先を見据えた物語構成がろくにの出来ないこの原作者の作品)は嫌いですね。。。
(原作者は上述した様な点が気にならんのかな…気にならない・おかしいと思わないというのならやはりそこからしてセンスがないのよね)

 


他にも、台風?大雨?での第2ヒロインが主人公の部屋にお泊りする回についても納得のない構成が…。
なんだろうね?「手を出さなかったのが一途だ、素晴らしい」みたいな話にしたかったのかね?
いやいやいや主人公のヒロインに対する一途さを本当に見せるのなら、台風/大雨で家へ帰すに帰せないという事情を正直にお隣さんである(第1)ヒロインに話してヒロインの部屋に第2ヒロインを泊めてもらう様お願いするのが筋だろうと観ていて感じたのですが…。。。
その方が後で変に言い訳もする必要もなく主人公の誠意・誠実さも伝わると思うけど…ホント納得がない話しか作れない作者よね。。。

 

 

1話1話ツッコめば切りがないので…、物語展開・構成面については最終回のお話を語って終わりにしたいと思います。
女優を目指すヒロインの夢を叶えるためにクラウドファンディングで映画を自主制作して主演女優とする…って本当にそれで良いの?
そんなんで夢叶えた事になるの?そんなんで満足・妥協できるというのならヒロインの夢が一気にチープになるよ?それで良いの?
いくらばあさんの寿命の件があるといってもそれはないんじゃない?その選択はないんじゃない?と感じるのよ。
そもそも女優になりたいというヒロインの夢は本当に自分自身の夢なの?ばあさんのための夢なの?ばあさんが亡くなったら女優目指す事を辞めるの?
と物語も(おそらく)中盤を過ぎたココへきてヒロインの性格というか夢というか一本筋の通った行動というものがブレてしまうその設定で良いの?
とやはりキャラクター設定、納得のある自然な流れ、先を見据えた物語構成がろくにの出来ないこの原作者に呆れるのですよね。。。

(主人公がヒロインの女優の夢を支えるためにレンカノでヒロインを指名して貢ぐと言ったり、女優にするためにクラファンでお金を集めようとしたり…とこの作品のテーマって「全てはお金で買える」って事を言いたいの?とさえ思うよ。。。ホントこの作者の何も考えてない感が随所に滲み出てるよね)

 

 

最後に、ストーリー面以外(原作問題ではなく、アニメーションの問題)について語ります。
映像に文字を出す演出がものすっごくダサい、酷い、センスの欠片も感じられない。
いやね、文字をそのまま画面に出す演出も此処ぞという時に使えば効果的に映えると思いますが、この作品ではそういう効果的な使い方をしているという事はなく日常会話(ポップな会話)シーンで当たり前の様に多用しているんですよね…。
ダッサイねぇ、酷いねぇ、、、漫画のコマを見せられてるの俺は?アニメーション作品を観ていたのではなかったのかね…、
原作者だけでなく監督もセンスが無いようだわね。。。

 

 

キャラクター設定、納得のあるストーリー構成も出来ていないだけでも落第点ですが、そこへ演出のダサさも加わり、
作品の評価としては、「不可」となります。


以上