アニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」を一気観しました。
…嘘です、毎週毎週楽しみに観てました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


以前、「天晴爛漫!」の感想の中で少し語った様に(原作漫画について)
ダイの大冒険」は「ポップの成長物語」として見ると最高に燃えるカッコいい物語になるんですよね。

30年近く前に作られた物語ですが、今の時代にアニメ化しても充分面白いと感じる、時を経ても色褪せる事のない面白さのある作品なんですよね。

 

特に大魔道士に覚醒してからのポップはもう燃える展開、カッコいいシーンしかないですよね。
いくつか例を挙げると、
全編通した中でもベストバウトの呼び声が高い「vsシグマ戦」。
バトルの展開ももちろん面白いのですが、自分がこのシグマ戦で一番燃えたのは「~大魔道士とでも呼んでくれ」のシーンですね。
これは原作漫画での話ですが、この「~大魔道士とでも呼んでくれ」の話(「驚異の騎士・シグマの巻」)は19頁で構成されたお話になるんですよね。
19頁という限られた紙面において騎士然としたシグマというキャラを見せ、ポップの奥の手(ブラックロッド)を見せ、シグマの奥の手を見せ、と優勢・劣勢とその逆転、
そしてマトリフの回想というお話の構成の巧さ、構図のカッコよさとお話もキャラも面白カッコいい燃える回なんですよね。


続いて、「vs真・バーン戦」。
ダイも含め皆が絶望している中ポップが
「おまえを倒せばココの結界が消える~(中略)~順番通りじゃねえか、なにがおかしい?」
と大魔王相手に啖呵を切るシーンは燃えるよね。

 

そして、なんと言っても…、
大魔王バーンの放ったカイザーフェニックスをポップが掻き消すシーン、ですね。
天地魔闘の構えにも組み込むほど絶対の自信を持つバーンの最強技(呪文)の一つ「カイザーフェニックス」。
そんなカイザーフェニックスを(いくら何度も食らったとはいえ)真正面から受け止めノーダメージでかき消してしまうポップ(のセンス(発想、潜在能力、魔法力)やその胆力)。
天才大魔道士ポップが、いや武器屋の息子が・一人の人間が、魔界の神とまで呼ばれた男を震撼させるシーン…、カッコ良いですね、しびれますね、燃えますよね。
(このかき消しシーン、アニメではちょっと仰々しい演出が成されていましたが、漫画では5コマほど描かれているのがまたアッサリやってのけた感がありポップがよりカッコよく見えるんですよね)

(あと、このカイザーフェニックスかき消しについて、自分なりの考察をば。
ポップって初登場時からメラゾーマが使えたり、フレイザードのフィンガーフレアボムズを見様見真似で(不完全ながら)使えたり、またメドローアの修行中でもポップはメラ系が得意といわれてたりと、ポップはメラ系呪文との相性が良いと考えられるんですよね。
そんなメラ系が得意なポップだからこそ、指先にメラ系魔力を一点集中させる事で(バーンがカイザーフェニックスに注いだ魔力と同程度の魔力を集中させる必要があると考えますが)、いなす様な感じでかき消す事が出来たのでは?と考えています。だからこれは大魔王バーンの超必殺技・得意とする魔法系統がメラ系以外だった場合はポップはかき消しが出来なかったorかき消し時にいくらかダメージを負っていたのではないかと思っています)

 


ホント、全話観て改めて三条陸さんの構成の巧さに舌を巻いてしまいますね。
ポップの大魔道士覚醒の話も巧いですよね。どこかのインタビューで、ポップの光こそが実は「勇気」だったという設定について、三条さんはこの展開は透かしの常套であるという旨の発言をされていたのですが…、
いやね、ポップに足りないものが「勇気」であるという事に強く【納得】があるんですよね。物語序盤での臆病・弱さゆえのポップの言動や想い人・マァムに対して言動…、、、アバンのしるしの輝聖石の設定なんてどう考えても序盤には存在しなかったであろう後付け設定なのですが、しっかり【納得】を感じる造りになっているのが巧いんですよね。

 


あと、三条さんの設定の巧さで言えば、、、
攻撃呪文や戦闘補助呪文以外の呪文の設定・見せ方・物語中での登場のさせ方の巧さがありますね。
凍れる時の秘宝のミストバーンを「アストロン」がかかったままの襲い掛かってくる敵と表現に使ったり、
RPG(ゲーム)としては有用ではあるが物語/ストーリー物としては登場させること自体が難しい呪文「トラマナ」や「アバカム」を破邪の秘宝との組み合わせ技でキルバーンの罠を解除したり、バーンパレスの門を開くのに使ったりとドラクエユーザにも【納得】があり面白い・なるほどと感じる展開になっているという造り・設定がホント巧いと感じるんですよね。

 


原作の完全アニメ化…、30年近く経っても変わらぬ面白さ、作品に対する制作陣の熱い想いも感じられて最後まで観れてホント良かったですよ(途中、不正アクセス問題でヒヤヒヤしましたが)。

 


あと…最近知ったのですが、魔界編の構想があったとかなんとか。。。観たい様な、もう今のままで終わっても良い様な、複雑な感情。
しかし、続編をやるとしてバーンを倒したダイ達の敵となり得るキャラが出せるのか…バーン以上の敵を出すとなると強さのインフレが起きてしまう恐れが…。


そうさせないためには逆にダイ達を弱体化させないといけませんね。
まずポップについてはメドローアを封じるためにDQMでいう所の「常にマホカンタ」をしている様な敵を登場させるとか…。
あと、ダイについてはバーンとの最終決戦の影響で竜の騎士の力が半減・減退してしまったとか…。
(話は若干逸れてしまいますが、上記「竜の騎士の力の半減・減退」について少々語りたい事があります。
ダイ大の本編での強さ設定としてファンの間で度々議論・考察の対象となるバランの強さについて。
バランはその昔、冥竜王ヴェルザーを倒しているんですよね。ヴェルザーの強さはバーンも認めている事から両者の力はほぼ互角と考えて問題ないと思われます。
しかし、そうすると竜魔人バランが結構初期・中盤のダイと引き分けていたり(息子相手に全力ではなかったとしても)、ダイがその後双竜紋でパワーアップしても(非竜魔人形態)まだ(真)バーンの方が上だったり、という事を考えるとバランの強さがとてもではないがバーンと同格のヴェルザーを倒せたようには思えない問題が出てくるんですよね。


このバランの強さ設定のちぐはぐさについて俺的に【納得】できる様に考えるなら、ヴェルザー戦(魔界での戦い)の影響でバランは弱体化した~本来の竜の騎士の力から大きく減退した状態で地上へ戻った~のではと考えています。
マザードラゴンが「バーンの力は神をも上回る」と言っていましたがバーンと同格と思われるヴェルザーを倒すためバランは当時持てる力以上のものを引き出した代償で(ハンターハンターのゴンさん的な制約と誓約~今後十数年先までの力の前借り的な~の結果)弱体化したという設定
(それか一緒にヴェルザーと戦ったと思われる不思議な力を使う天界の精霊達と契約的な物を行った結果とか…)を妄想しています。
そして、ダイも同じ様にバーンを倒すため持てる力以上のものを引き出した代償で弱体化したという設定の方が物語的には面白くなるというかインフレ防止になるかなと考えています)

 

 

アニメの感想というよりかは原作漫画中心に語ってしまいましたが、

お話自体は文句なく面白く、アニメーションとしても決して悪くない作品で、ホント土曜日はダイの大冒険ロスを感じるほど毎週楽しみにしていた良い作品でしたよ。


作品の評価としては、思い出補正もありちょい甘いかも知れませんが「良」評価となります。


以上