アニメ「虫かぶり姫」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「虫かぶり姫」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


タイトルを見て最初は「虫めづる姫君」の様な主人公を想像していたのですが…、「本の虫」という事でしたね。
読書好きの主人公が書物から得た知識を基に、文化、医学、外交等様々な分野で助言を行なって慕われていく、そしてそれと共に王子との恋物語が描かれている作品になります。

まぁやりたい事は分かりますが、あまり納得がないのですよね。いくら限られた者しか閲覧できない王宮の図書室で読んだ書物で得た知識であったとしても所詮は誰かが体系的に文章に纏めただけでしょ…服飾にしても医学にしてもその道のプロが居るわけでその人たちが現場で学んだ、実戦から得た知識、(口伝で)受け継がれてきた技というものが書物を読んだだけの姫さんに軽く超えられる様な描き方に納得がないのですよね。文字で読んだだけでは分からない、体験して初めてわかる事もある、みたいな描き方が欲しかったなと思うのですよ。

 

 

あと、上記に関連して1点気なる点があります。
姫さんの助言による政策で、一方が良くなった半面もう一方で悪くなった面があるという旨のいちゃもんを付けられるエピソードがあるのですが、
何だろこれ?王子たちは臣下や国民に逐一あの政策を考えたのは姫だったと公表してんのかね?それ必要ある?
姫から助言を受けたとはいえ最終的に決めるのは王子や国王なんじゃないの?それを「あの件は実は姫が…」なんて責任転嫁する様な事を喧伝してるのかと疑問なのですよ。
いやね、国政なんかに関わらない服飾関係の案件なんかであれば全然公表しても問題ないと思うのですが未だ花嫁候補というだけの姫さんの助言・案を姫の成果だと王子が喧伝するのはどうかと思うのですよ。。。
だから姫さんがいちゃもん付けられる事になるんだろ、と王子の浅慮に疑問だし常識的に考えて有り得ないような王子の行動に納得がないのです。

 


またこの作品の別問題点として、シリーズ構成というか原作の構成なのか話が単調というか盛り上がりがほぼないのですよね。
「王子の周りに女の影がちらつき姫さんが不安になる→なんやかんやあって解決する」基本はこの繰り返しなんですよね…。
そして姫さんが感情表現に乏しいのが余計に単調につまらなく感じさせるのですよ。これが姫さんが感情豊かに笑ったり泣いたり怒ったりすればその変化を楽しめたりもすると思うのですが、毎パターンほぼマイペースで感情をほぼほぼ表に出さない(泣くとき・悩むときも一人で閉じ籠る感じで感情を露わにしない)のが観てるこちらも感情移入できないというか観ていて一緒に盛り上がれないんですよね…。
姫さんのキャラ設定で損してると思いますよ(読書好きの属性は別に良いと思いますがね)。キャラとしては終盤に登場した他国のあのちびっこ姫様のキャラ(怒ったり泣いたりが良く出るキャラ)の方がよっぽど良いキャラになってますよ。

 


あと細かい所ですが、姫さんのキャラに関してちょっとちぐはぐに感じた個所がありますね。
それは姫さんが提案した服飾のアイデアを盗用されたエピソードについて。盗用されたアイデアのドレスを見た姫さんの反応の予想として俺は「あらまぁ、たまたま偶然にも私と同じ発想のドレスを考えた方がいらしたのね」みたいなものを考えていました。
それが…自分のアイデアが盗用されたものだと確信している姫さんのキャラにちょっとちぐはくさを感じたのです。

いやね、ちょっと前の回でどう考えても怪しい嘘に騙されてノコノコ一人で廃墟まで連れ出され閉じ込められるというアホっぷり・人を疑わない天然っぷりな所を見せられていたからね、今回のドレスの件も気付かないものだと思っていた訳なのよ。
そこにちぐはぐさを感じたのです…姫さんのキャラしっかり統一されてる?と。。。

 


物語の起伏の弱さ、姫さんのキャラの弱さと特に惹かれる所はない作品でした。
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上