アニメ「チェンソーマン」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「チェンソーマン」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


「漫画 SPY×FAMILY 感想」でも語っていますが、この漫画の存在自体は以前から知っていました。

上記感想を書いた当時(2020年)から既に話題作だった「チェンソーマン」のアニメ化作品という事で期待していたのですが、期待はずれな作品でした。


第1話の終わり際こそ少年漫画的な始まり方(第2話以降への導入)・少年ジャンプ感がありますが、以降の話はずっと少年漫画らしくない・バトル漫画らしくない展開が続く事になりますね。
バトル漫画はバトルがメインで話が進展(主人公の成長を描いたり、目的・夢へ近づいたり)しますが、この作品はバトルがメインとしては描かれず物語の進展という進展もありません。
(一応、銃の悪魔を倒すという主人公が所属する組織の目的はありますが主人公自身の目的ではありません。主人公の目的・夢は人として最低限の生活・「今」を護る事くらいで物語の指針となる夢・目的という程のものではありません)

 

バトルというバトルが観られず(一応バトルはあるのですが少年漫画的バトルではない(後述))、物語の進展(大目標へ向かって進展)もなく、
描かれるのは登場キャラクター同士の内面の・関係性の変化という少女漫画的アプローチで描かれている作品だなぁと感じました。

 

上記の事から作者はもしかして女性か?と考えてwikiを見たのですがどうやら男性の様ですね…。
で、wikiに書いてあったのが作者は佐村沙村広明のファンらしい…なるほど沙村広明ね、作品の雰囲気からなんか納得を感じるわ(以前、アニメ「波よ聞いてくれ」を観た後、沙村広明作品を読んでみようと思い「ハルシオン・ランチ」を読んだ事があったのでした…感想としては沙村広明作品はもう読まなくてイイかな、でした)。。。

 

最初(第1話)こそ少年漫画っぽさを出してましたが、なるほどなるほどこの作品の内容、雰囲気は少年漫画ではなく青年漫画、しかも集英社(ヤンジャン)ではなく講談社アフタヌーン系の感じがありますね。
少年漫画、ジャンプ漫画、バトル漫画を期待しているとガッカリ感が凄まじいですね。

 

 

まぁ青年漫画としてとらえても漫画的に物語構成、設定的にダメな部分が多いんですけどね。

 

まず、キャラクター。主人公のキャラが分からない。
アニメ全話を観終わっても主人公のキャラというのが良く分からないのです。なんか街の人々に被害を出さない様な振る舞いを見せ一応の倫理観、良心を持っているというを見せている感じなのですが、
片や仲間が死んでも涙を流さないだろう的な事を言っていて主人公の心、キャラクターというのがよう分からんのですよね。
また上記は自分が身も心も悪魔になりつつある的な話の流れでしたが、その変化が悪魔になりつつあるからなのか元から(幼少期の人並以下の過酷な環境を生きて来た事・人との関係が希薄だった事からくるもの)なのか、その辺りの主人公の描き方も上手くないのがダメなのよね。

 

他のキャラクター達も同様で一本筋の通った性格というのが見えないのです。あ~このキャラならこの場面ならこういう反応するだろう、と思わせられる様なキャラ造りが出来ていないのですよね。
また、ろくにキャラを描かない内に殺して退場させちゃうし…ホントキャラ造形・設定、構成が上手くない。。。

 

 

次に強さ設定について。
強さ設定が出来ていない典型の作品だと感じる。強さの数値化が出来ていない、なぜ敵に勝ったのか、なぜ敗けたのかに納得がない。
作者がバトルというバトルを描こうとしていない(描くつもりがない?)からこういう事になるのだろうね。

 

物語終盤、少年漫画・バトル漫画お決まりの修業回があるのですが、修業により何が強くなったのか(何か得る物があったのか)・意味があったのかまったく納得がないのです。
その納得のなさ・最初から納得を描こうとしていないかの様な、なんかバトル漫画のお決まり事だからやってみました感(何も深く考えてないけど取り敢えずやってみました感)が凄まじいのよね。
あの師匠キャラの紹介以上の意味はない修業回でしたよ。
またこの師匠は最強っぽいのですが、この作品は強さ設定がなってないからね、果たしてその最強設定にどれほどの意味があんのか。。。

 

基本的に悪魔と契約してる人間って悪魔の特殊能力を使えるだけで身体能力的にはただの人間なのよね?
例えばライフによる長距離射撃(気配を察知できない範囲からの攻撃+普通の人間の身体能力では躱せない銃弾の速度)などの不意打ちが決まりさえすれば最強と言われてるこの師匠でも一発で倒せるという設定の理解なんだけど…、それで最強設定意味あんの?って。。。

 


そして悪魔の特殊能力もよう分からん…。悪魔同士で序列・上下関係があるのか(上位の悪魔には下位の悪魔の能力は効かない等)、それとも攻撃が決まりさえすればどんな悪魔に対しても能力が効果あるのか、そこら辺もよう分からん。

 


また主人公の不死身設定もよう分からんし、これも強さ設定をわやくちゃにしてる一因にもなってる。
これは主人公だけでなく同じタイプの敵悪魔も同様ですが、体を真っ二つにされても脳や心臓が斬られても再生する様でなんかバトルに緊張感もなくなるというかどうやったら死ぬのか・どうなれば終わるのか謎ですわ。
バトルがバトルとして成立しなくなっている、ただグロ描写が展開されるだけ、そしてなんやかんや頑張ってよう分からん理屈で最後は勝つという納得が足りない戦いが描かれるだけとなってしまっているのです。

 

キャラ造形・設定の拙さ、そのキャラを活かせていない物語構成、納得のない強さ設定等々、期待していた分ガッカリな内容作品でした。


あと、お話の内容については以上で作画面についてちょろっと。
作画は呪術廻戦と同じMAPPAですが「チェンソーマン」は「呪術廻戦」の様な美麗作画よりも演出表現の方に注力しているみたいですね。
同じMAPPA制作だけど作品によりスタイルを変えてくる、好感持てるよね、イイね。

 

 

作画面は良いですが、内容面で色々と気になるところがあり
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

以上