アニメ「サマータイムレンダ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「サマータイムレンダ」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


姿かたちだけでなく記憶なども引き継いで知らぬ間に中身が別のなにかに入れ替わっている、という影のコピー設定を観たときジャック・フィニイの小説「盗まれた街」を思い出しました。ま、展開は全然違うんですけどね…。

 

で、そのあと思ったのは「死に戻り」の設定から「リゼロ」を思い出し、それから島(一つの村)という閉鎖的な空間で起こる惨劇という点で「ひぐらしのなく頃に」感も感じました(アニメ「ひぐらし~」初期は物語のリセット、繰り返し感もあるのでね)。
物語が中盤へ進むにつれ(実は)事件に深く関わっていたという登場人物達の設定が明かされたり、島の(村の)神様を崇め奉っていたりという点なんかもひぐらし感を強めていますね。


そんな序盤から中盤にかけてはミステリーサスペンス的な感じがあったのですが、中盤以降はシデという影とのバトル展開メインになって行きましたね。

う~ん、このバトル展開は正直如何なんだろうね、バトルは必要最低限に留めといた方が良かった様に思うのだけどねぇ…。


(まぁ序盤~中盤までの展開でもウシオの記憶共有能力とかは都合良過ぎと感じてちょっとノレないんだけどねぇ…(ウシオが主人公と共にタイムリープするのはまだ許容できるけどさぁ…)。

いやね、この記憶共有の能力のおかげで話が早くなる(便利)・テンポが良くなるのは分かんだけどさぁ、それありきの設定という感じでどうしてもご都合感があんのよねぇ…もう少しうまくやって欲しいなぁと思う訳ですよね。

 

あと物語終盤での主人公が死に戻り地点を認識できる様になる展開にもご都合感があるのよね)

 

 

シデとのバトル展開にシフトするからタイムリープ以外は普通の人間であるはずの主人公とシデと戦うわせるためにリュウノスケを憑依させたりしてるんだけど…バトル展開のためのその身体強化を全面に出す事になって序盤のやたら俯瞰俯瞰って言ってた主人公の設定の意味は薄くなっちゃうし、とバトルメインはちょっとどうかと思うのよ。。。主人公にはもっと知略で影と闘って欲しかったかな。まぁそのためには影にも少し弱点設定しないととは思うけど…例えばある一定期間はオリジナルを消せない・人間の様な複雑な物を(記憶まで含めて)コピーしたら情報が定着する前にオリジナルを消した場合は影も消滅してしまうとかの弱点・足枷になる様な設定があっても良かったんじゃないかと思うのだけど…。攻撃力、スピードも人間以上の物を相手にするならもう少し弱点設定が欲しいね、そしてその弱点を突いた主人公の知略みたいなものが観たいと感じたのよさ。


あと、上記と逆の事を述べますが影の強みが活かせてないと感じた点・疑問点があります。それは肉体ではなく地面に落ちる「影が本体」という設定…これって日中であれば影を狙って攻撃する事も容易いのでしょうが夜・暗闇または大きな建造物の日陰の内に居た場合、影の形を自由に変えられる「影の本体」を狙って攻撃する事の難易度が激上がりするのですが、本編中ではそんな暗闇の「影」の優位性みたいなものは描かれませんでしたね…あれば夜の恐怖というサスペンス感も増したかなと思ったのですが。

 

 

そしてシデとのバトル展開の一番の問題点は、シデの不死身みたいな設定に納得がない事。本体が影とのハイブリッドである事は明かされますがそれがなぜ・その理由でなぜ他の影とは違う事が出来る(影を纏って戦う、影が弱点とならない)のか納得がないんですよね。
影を操っている以上は影とリンクしている訳でその影のダメージが本体に全く影響しないのはちょっと納得できないのですよね(せめて影の損傷分のスペアがやられるというのならばまだ分かりますが…)。
(バトル要素とは関係ないですが、シデの目的についてもあまり納得がないというか何かで同じ様な目的の奴いたな…と感じ、あー「刻刻」の教祖と同じ様な目的なのかと思い出しましたよ)

 


で、物語の結末ですが…ハッピーエンドは良いのですが、、、何百年も前からの影に関する事が全部なにからなにまでなかった事になってめでたしめでたしは如何だろうね。
ハッピーエンドは好きなので良いのですが、もうちょっと納得を作って欲しかったかなぁと感じる訳なのですよ。
何百年も前からのやり直しはちょっと無理がある・さすがに色々と歴史も変わってくるのでは?とも感じますし…もう少し伏線を張りつつ綺麗に収めて欲しかったかなと。。。

 


上述の様に物語設定や構成についてはちょこちょこ気になる点はありますが、
キャラクターに関しては魅力的に描けていて良かったと思います(主人公のキャラは「俯瞰」設定も含めて微妙ですが)…が、バトル展開メインになってからはほぼメインキャラ(主人公、ヒロイン以外の主人公チームのメンバー)が活きて(描かれて)ないんですけどね(これもバトル展開の弊害…、つくづくバトルは必要最低限に留めといた方が…と感じる訳です)。
メインキャラ達が描けているだけに勿体ないと感じますが、まぁキャラが魅力的にしっかり描かれているからこそ最後のハッピーエンドがやはり良かったと思える訳なんですよね。

 

 

全体的な作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上