出演俳優の不祥事による作品への対応~ガイドライン策定について

今回の件については、つい先日の日記で語ったまんまの事がいえるのでリンクを張っておきます。

「打ち切り・販売停止について~著作物販売に関わる業界全体で考えるべき事」

 

上記、日記内では主に「漫画、出版物」の『作品に対する封印・抹消』について語っていますが、日記タイトルにもある様に出版業界に限らず「著作物販売に関わる業界全体」で考えるべきと感じています。

 

先日の日記で(出版以外での関係業界として)想定し語っていたのはCD・音楽業界の事で映画業界ではなかったのですが…、作品を実写化した場合、出演俳優の不祥事による『作品封印・抹消』が起こり得るテレビ・映画業界も不祥事発生時の指針・ガイドラインについて考えるべきですね。

 

おそらく今回の件も、配給会社やスポンサー等の当該作品関係者のみで作品公開に対する判断を行う事になるかと思いますが、関係者独自の判断、そしてその判断の負担を軽減するためにも業界全体で対応を考えるべきではないでしょうか。

 

ここでは先日語った内容に加え、今回の件を例にして、少し具体的に考えていきたいと思います。


今回の件(出演俳優の不祥事による作品対応)について、ガイドラインを作成するならば、
まず、不祥事を起こした俳優が主演/助演で対応が分けられるべきでしょう。また助演の場合だとその出演度合い・出演料で、ピンキリで対応が分かれるでしょう。
そしてその起こした不祥事での被害者の有無によっても対応が変わってくるでしょう。
主演/助演、被害者の有/無のパターンによって予め対応を決めておくのは如何でしょうか。

 

今回の件についての作品公開に対する判断としては、個人的には「助演で被害者無し」のパターンで2ヶ月程度の公開延期等で良いのではと考えます。


上記判断の是非についてはともかく、対応を予め決めておく事で「作品のお蔵入り・抹消」などに気を病む必要がなくなり作品関係者、作品ファンともに負担が軽くなるはずです。


(もちろん、事によっては…主演俳優による重罪事件などは「作品のお蔵入り・抹消」も已む無しとなりますが…)

 

対応策についてもいくつかパターンがあって良いと考えます。上記では「公開時期の延期」を挙げていますが、例えば「公開時期の延期をしない」代わりに「興行収入・売上金の一部寄付」等があっても良いでしょう(寄付による配給会社・スポンサーが被った損害は後で俳優の所属事務所に請求すれば良いでしょう)。


もちろんどちらの場合も不祥事俳優の出演シーンカット・モザイク処理等の編集は無しでの公開で構わないと考えています。


「延期措置」「寄付金措置」などによる損害は本来、配給会社やスポンサーが被るべき損害ではありませんが、先の日記で語ったように事件の話題性を利用して利益を上げようとする行いは道義的に許されるはずもなく何らかの措置が強いられる事になります。
(「延期措置」は話題性がなくなり落ち着くまでの期間(75日程度?)、「寄付金措置」は話題性を利用しての(公開初週~2,3週間)利益分の寄付を行う事で、道義的責任のいくらかは果たせるのでは、という考えからです)


道義的責任が果たせ、且つ一定数の納得が得られるので方法であれば、他の対応策があっても良いと考えます。
道義的責任さえ果たせば、『作品は作品』であるとして、公開して問題ないと思っています。

 

と、ここまでガイドライン策定について述べてきましたが、実際問題としては色々と難しい・批判があるだろう事は容易に想像されます。

 


まず、そもそも事件を想定してガイドラインを策定すること自体が、作品公開を優先・興行を優先、と被害者軽視だと批判があるでしょう。
被害者が居ない事件の場合であっても…、例えば今回の様な薬物問題を例にしても薬物問題を軽視しているといった批判の声が上がるでしょう。


「寄付金措置」は事件・犯罪をお金で解決しようとしていると批判されるでしょう(だからこそ、先日の日記で語った様に被害者団体を交えて協議・決定する必要があると考えるのですが…)。

 

(また、別の不安として、もしかしたらガイドラインが策定された事によって、俳優たちに「一定期間が経てば公開される・寄付すれば公開される」と気の緩みが生じ、事がそれほど大きくならないと分かったら薬物使用者がまん延なんて事も、、、まぁ無いとは思いますがね…。

薬物逮捕から復帰した俳優・アーティストはいくらか居ますが、伊勢谷容疑者は自分も復帰できる・大丈夫と考えているのでしょうか?


俳優・タレントは人気商売です。アーティストと違い自らが創造したものを買ってくれるファンが居るわけではありません。テレビや舞台、映画などにお金を出してくれるスポンサーが居て初めて成り立つ商売です。薬物の疑いや黒い噂がある人物にお金を出す奇特な企業なんてありません。今の時代は特に厳しくなってきているのでおそらくもう表舞台に出てくる事はないと思っています)

 

こういった批判が想定されるからこそ、難しい問題ではあるとは思いますが、
『作品は作品』として文化を守る立場でなんとか闘って欲しいと願っています。


(2020年09月11日00:21mixi日記投稿分)