「打ち切り・販売停止について~著作物販売に関わる業界全体で考えるべき事」

 

今回の件(著作者の逮捕を受けての連載打ち切りや著作物の販売停止)を、
出版業界または著作物販売に関わる業界は、ただ
他山の石、反面教師とするだけで終わってしまって良いのでしょうか?

 

出版業界全体(または著作物販売に関わる業界)で、真に問題とすべき・考えるべきは、
「出版業界全体としての対応の統一」「ガイドライン作成」について協議する事ではないでしょうか。


出版社は、自身が抱える著作者が起こした事件に対し、法律的には何ら責任がない事は明らかですが、しかし法律的に問題ないからといって事件の話題性を利用してコミックスを増刷し利益を上げようとする行いは道義的に許されるはずもありません。


出版社の「著作者の逮捕を受けての連載打ち切りと著作物の販売・配信停止」の判断は道義的責任から正しい判断でしょう。


(…たとえ出版社が「『作品』と『個人(の罪)』は別である」という信条であったとしても、この道義的責任から「逮捕著作者の出版物の販売停止・配信停止」まで行わなければならなかった事は苦渋の決断であったことでしょう…と信じています)

 

今回の件に対する判断は、集英社が抱える作家・著作者の事件として「集英社」が自身で決定した事だと思いますが、『「著作者の逮捕」と「連載打ち切り・著作物の販売/配信停止」』について、このまま・いつまでも「一出版社」「一企業」の判断としていて良いのでしょうか。


今回の事件を機に、出版業界全体で話し合いの場を設けガイドラインを作成するべきではないでしょうか。

 

もし、超超大物漫画家が今回の件と同じ罪を犯したとして、同じ処分(連載打ち切り・著作物の販売・配信停止)を下せるのでしょうか。
もし某海賊漫画の漫画家が同じ罪を犯したとしたら…、
もし某少年探偵漫画の漫画家が…、
もし某ボクシング漫画の漫画家が…、、、
出版社は同じ処分…長期休載ではなく連載の即打ち切り決定・著作物の無期限販売/配信停止の決定が果たして下せるのでしょうか。


全く同じ罪であった場合、同じ処分を下さないとおかしな話であり道理に合いません。

 

しかし、コミックスが100巻近く出ている作品に同じ処分を下した場合その影響は今回の比ではない事は火を見るよりも明らかです。
漫画(出版)だけに留まらず、アニメ、映画、CMコラボしている企業や地方自治体にまで及びその経済的損失は計り知れないものとなるでしょう。


そしてもちろん、金銭的な面だけの話ではなく、物語も終盤になり盛り上がりを見せている中での「連載打ち切り・著作物の無期限販売/配信停止」となれば作品のファンは打ち切り処分に対し暴動を起こすかもしれません。それこそ、宇佐崎さんが心配したような、事件被害者が特定されその被害者に対し誹謗中傷が行われる事も考えられます。


その様な、経済的リスク・暴動などのリスク諸々を考えた場合、おそらく同じ処分は下せないのではないかと考えています。

 

今回の件は、連載の【長期休載】ではなく【打ち切り】であり、コミックスも【新刊発売中止・無期限販売/配信停止】となっており、【再開・復活】が明示されたものとはなっていません。


もし大人気作品の漫画家が同じ罪を犯したとして【先が見えない・終わりが見えない】処分が下された場合、作品ファンは「仕方がない・やむを得ない」と納得・受け入れる事ができるでしょうか。


「もう二度とこの作品が公の場に出る事はない」「作品の続きを読む事が出来ない・物語の完結を知る事が出来ない」と思わせる作品を永久に封印・抹消する内容の処分は、関係各所への影響、作品ファンへの影響を考えたとき、出来ないのではないかと考えています。(…ここでは事件被害者への影響は敢えて考えない様にしています。。。被害者感情への配慮は後程述べます)


大人気作品で不祥事が発生した場合の出版社の対応はおそらく、期限を定めての【長期休載】と【著作物の一時販売休止・延期】となるのではないでしょうか(期限・終わりが見えていれば人は我慢できるものだと思っています)。


しかし、それでは今回の件での処分と整合性が取れなくなります。同じ罪を犯してその処分が作品規模によって異なる事は道理に合わずあってはいけないでしょう。


(仮定に仮定を重ねるような話で申し訳ないのですがおそらく上述した様な処分になるのではないかと考えています)


そのような恣意的な判断・決定をなくすため、また一出版社・一企業への判断の負担を減らすためにも、出版業界全体で協議し、「出版業界全体としての対応の統一」「ガイドライン作成」が必要なのではないでしょうか。


最初に断っておきますが、この「ガイドライン」の内容について、具体的にこうしたら良い・~すべきという案は自分にはありません。


それは、やはり被害者が存在している、という事も考えないといけないからに他なりません。
「出版業界全体で協議~」と書きましたが、当然出版社だけで決めて良い事ではありません。法律的見地から弁護士等も交えた方が良いでしょうし、被害者(犯罪被害者の会の様な団体)も交えるべきでしょう。
そうした種々の意見をまとめ、出版社、被害者が妥協できる点を探り、今後同じような事件が発生した場合は、協議の結果定めたその指針に基づき行動するという事を出版業界全体の総意として発表してはどうでしょうか。


事件の内容(重罪・軽罪)、被害者の有無など様々な違いを想定しそれぞれに対し、休載期間・販売停止期間を決める必要があるでしょう。


しかし、あくまで指針であり、事件被害者を蔑ろにするわけにはいかないのは当然であり、事件の内容によっては指針・ガイドラインにとらわれず、事件被害者感情を最大限に配慮する必要があるでしょう…そこがやはり難しいところだとは思います。。。


また、同じ協議の場で出版社・企業の道義的責任ついても考える事が出来ればと思っています。
たとえばコミックス100巻近くある人気作品の販売停止措置が行われた場合、その手間・費用は甚大なものとなるでしょう。


あくまで犯罪を起こしたのは著作者であり出版社がその損害を被るのはおかしい事ですが道義的責任から企業はそれを強いられるでしょう。


そこで、法律的に可能であれば…著作者が事件を起こした場合の印税の停止、もしくは犯罪被害者の団体等への印税の寄付を事前に書面で交わしておく事、
そしてコミックスの売り上げの大半は出版社の利益になるのでその利益についても犯罪被害者の団体等への寄付を行う指針を示しておく事で販売停止措置をなんとか回避する事は出来ないでしょうか。


事件被害者、出版社・関係各所、作品ファンのいずれもが負担が軽くなる道が見つかる事を一漫画ファンとして願っています。

 

(2020年09月05日20:57mixi日記投稿分)