「単行本の表紙」問題について

「はじめの一歩」の作者の森川ジョージさんが「単行本の表紙」問題で燃えてるみたい。
(俺が「メイドインアビス」にハマってから後に森川さんも「メイドインアビス」にハマっているのを知り(某ヤンサンきっかけ)そこから森川さんのトゥイッター(現「X」)をちょこちょこ覗く様になったのですよね。もちろん森川ジョージさん自体は存じ上げておりましたがトゥイッターを利用されているのは知らなかったのですよ。ここ1~2年くらいはトゥイッターで追いかけてましたね。なので、セクシー田中さん事件や生成AIの件での炎上も見てました)

 

 

今回の「単行本の表紙」問題はそもそもは森川さんと関係ない所での漫画家のトゥイッターから始まっている様で、単行本用の表紙を書き下ろして描いたけど原稿料(報酬・対価)が貰えなかったというのが発端みたいですね。
で、トゥイッター上では出版社がおかしい・悪だみたいな流れになっていて、俺はそれを聞いてへぇ~そうなんだ(原稿料出ないんだ)くらいに感じていただけだったのですが、森川さんが一連の流れを受けてトゥイッターのスペースを開いたのですよね。


そのスペースの中で森川さんは、漫画家の収支の話(原稿料(雑誌掲載料)の収入、アシスタント代の支出、単行本の売り上げで赤字を補填という話)を交えて単行本表紙問題の話もされていて俺はそれを聞いて普通に納得できていたのですよね。
これらの出来事が多分1ヶ月くらい前の話で、どうしてだかわかりませんが昨日今日でその話が蒸し返されてなんか炎上みたいになっている様なのですよね。。。

 

 


一応当時の森川さんのスペースで聞いた話を纏めると、
・漫画家と出版社は雇用関係ではない

 

・漫画家は原稿料(雑誌掲載料)だけでは食べていけない、アシスタント代などで足が出る、その赤字を補填するのが単行本の売り上げ・印税

 

・漫画家の印税10%は妥当だという話、単行本の売り上げの67%(約7割)が印刷代・流通費用で残り3割を著作権者と出版社で分けているという話で著作権者:出版社=1:2は妥当ではないか…出版社(講談社)には千人ほどの社員いるらしいのでそれを考えるとまぁ妥当ではないかと(しかし改めてネットで調べてみると残り3割の内の1割を書店が持っていくとも書いてあったけど…)

 

・漫画家の収支について具体的な金額を交えて説明されていて、2万部刷ったとして漫画家の手元に残るのは20数万程度、もしこれが10万部刷った場合なら100万、100万部なら1000万、夢があるでしょうという話

 

・出版社は全ての作家(自社で抱えている漫画家)に単行本を出版させる義務がある訳ではない

 

・(森川さんが濁されていたので正確な部数は分かりませんが)○部以下の場合(打ち切り等の人気のない漫画)は印刷・流通のコストの方が上回る(赤字になる)ので出版社は本来は出したくない(単行本を出さない方が良い)

 

・しかしそれでも(赤字と分かっていても)出版社が単行本を出すのは新人育成のため、先行投資

 

・そして赤字を黒字に転換させるほどのメガヒット作品(講談社で言えば「進撃の巨人」等)の存在が出版社を支え、新人育成の費用、先行投資に充てられる

 

・180ページ?に満たない場合は単行本が出ない場合もある(印刷側の都合)

 

・単行本を出したいならば漫画家が足りないページ分を書き下ろして出版してもらうことも可能、その際書き下ろした漫画の原稿料(掲載料)は出ない

 

・原稿料(掲載料)無しで書き下ろしたくない漫画家は過去の読み切りを無理やり突っ込んでページ数を補填するという方法もある

 

・「単行本の表紙」についても同様で雑誌に掲載されない絵(単行本表紙)なので原稿料(掲載料)は当然でない

 

 

・「単行本の表紙」(カラー絵)を原稿料(掲載料)無しで書き下ろしたくない場合はセンターカラーの表紙や雑誌表紙になった時の絵を流用することも可能、他には漫画の作中のコマを抜き出して表紙に流用したりタイトルロゴのみという選択も可能

 

※纏め内に出てくる数値については俺の記憶違いの部分があるかも知れません

 

と、これらの森川さんの説明を聞いて俺は納得できたけどなぁ…。
「単行本の表紙」は雑誌に掲載される訳ではないので原稿料(掲載料)が払われない、というのは妥当だと思うけどなぁ。
この説明を聞いても文句言ってる人は子供なのかなぁと思う…精神的にというか考え方が(と考えていたら、本当に「大きな童」だったよ)

 

 

 

いや、出版社側はそりゃ単行本の表紙を書いて(書き下ろして)って漫画家に言うでしょ、そりゃ言うわ、当たり前。
わざわざお金・手間をかけてまで刷って全国へ流通させるのに少しでも売れる単行本になる様に努力するのは当然でしょう。
そしてなにより「売れる単行本」になった方が良いのは/得をするのは著作権者・漫画家自身でしょうに。
「自分の利益」のための作業の報酬・対価を他者/出版社に求めることの意味が俺には理解できないのよね。

 

 

 

今の若手の作家の中には同人誌出身の人も多いんじゃないかな、知らんけど。
そういう人たちはまずお客さんに手に取ってもらうために・少しでも目を引く様にと同人誌の「表紙」に力を入れて描いてたんじゃないかな。
自分の作品を読んでもらうために・手に取ってもらうために…ひいては自分の利益のために描いてたんじゃないかな。
例えば、売れっ子・大手の同人作家だったりしたら委託販売なんかもやってたりして…、でその時より多くのお客さんに本を手に取ってもらうために/より多く売るために
力を注いで描いた「表紙」についての報酬・対価を委託先に求めたりなんかするか?しないでしょ、普通…、「自分の利益」にやってることだからね。

または自費出版で既存の印刷・流通網を使用するために出版社と契約する場合で考えても良いけど、より多くのお客さんに本を手に取ってもらうために「自分の利益」のための作業だから、同人の委託販売にしても自費出版にしても契約してお金払うのってむしろ作家の方だと思うけど…、それが普通だと思うけど。

 

 

以前、「ドラマ脚本、原作改変問題について②」のところでも書いたことだけど、本来は「漫画家・作家(著作権者)が個人では(大規模に)行えない印刷、流通、宣伝、販売等を出版社が代行して行う(出版社が一時的に諸々の費用を担う)事で本来は漫画家・作家等の著作権者だけが得る創作物(著作物)の販売利益を分け合うお互いWINWINな関係」だと考えています。

出版社も慈善事業で単行本を出してあげてる訳じゃないですからね。少しでも単行本が売れる様に漫画家、出版社がお互いの利益のために努力するのは当然じゃないのかなぁ。

 

 

別に、漫画家が出版社に一方的に搾取されている様な関係ではないということが分かってないのかなと感じる。

 

 

無償で描きたくないのなら描かない選択すれば良いだけ、それだけの話だと思う。
そりゃ出版社側は少しでも売れる単行本になる様にと、描かせようとしてくるだろうけど毅然とした態度で断れば良いだけ。
出版社から描けと言われて描いたけど後から無償だと知った、と嘆いているのなら(事前に確認しなかった自分の落ち度だったと、勉強だと思って/学習して)次からはもう描かないと決断すれば良いだけ。
個人事業主の判断、自己責任の話でありトゥイッターで愚痴をこぼす様な内容ではないと感じたのよね。

 

 

 

以下雑感

で、これは「単行本の表紙」問題とは関係ないのですが、当時のスペース内で話題に上がっていた事なのでついでに述べます。
電子書籍の印税の割合についてのお話。
紙の単行本の著作権者に入る印税が10%であるというのは、昔に決まったことで今から変えることは出来ない・難しいが、黎明期である電子書籍著作権者に入る印税の割合については決まっていない…、交渉次第で上げることも出来る、ということで森川さんは講談社の漫画家にアンケートを取って出版社との交渉に臨もうとしたそうなのですよね。
しかし、アンケート結果が「上げて欲しい」「そのままでよい」がちょうど五分で割れたらしくこれでは漫画家の総意として値上げ交渉できないとなったらしいです。
(出版社側は、漫画家全体ではなく森川さん個人との値上げ/増率交渉には応じる構えだった様ですが、森川さんは「講談社の漫画家を代表して交渉に行ってきて自分だけ増率になって帰ってきた」となるのが嫌だったので断ったらしくそういった経緯があったことからもう煩わしくなって「はじめの一歩」は電子書籍化してないみたいなのですよ)

 

 

いや、なぜ著作権者の印税の増率交渉しなかったのか、「上げて欲しい」で漫画家が纏まらなかったのか理解できない…。
出版社の言いなりになるのではなく、漫画家達の総意として絶対に増率交渉すべきだったと思いますよ。

 


俺が電子書籍を好きくない理由としていくつかあるのですが、
・紙の感触、ページをめくる感覚がない

 

・いつでも気軽にサッと読めない(充電の有無、起動時間)
まぁ上記については紙の本と違いかさばらない、場所を取らないなどの利点の相殺される感じですかね。

 


電子書籍のメーカーが潰れると買った本が読めなくなる(と聞いた)
実際にはどこか他のメーカーが引き継いだりして読めなくなることはないのでしょうが…、それでも「買った本」が読めないってどういうことよ、と意味分からんのですよ。
マンガ図書館ZみたいにPDFデータとして手元に残れば良いけど、データは買ったけど読めなくなる(場合がある)なんてちょっと納得できないシステムなのよね。

 


電子書籍の価格が紙の本とほとんど変わらない
これがホント意味分からんのよ。紙/印刷と流通のコストがなくなるはずなのに紙の本と価格が変わらないなんて意味分からん、納得がないのよ。
いや、俺はね印刷・流通のコストがなくなるから電子書籍は紙の単行本の半額以下くらいになるんじゃないの?と期待してたのよね…、それが価格がほぼ変わらないなんて。。。
例えば500円の単行本の電子書籍の売り上げの内訳って、増率の価格交渉が行なわれていないのなら(紙の単行本と同じなら)、
著作権者に入るのは10%の50円で、あと残り90%の450円は出版社ということになるのかね?(電子書籍化のためのコストもあるでしょうが印刷・流通代ほどではないでしょう)
もし上記だとしたらどう考えてもおかしいでしょ…、著作権者:出版社が1:9ですよ、紙の単行本の時は著作権者:出版社=1:2だったのに。
どう考えても増率交渉すべきだったと思うのですよね。出版社側の言いなりみたいになってるのがホント残念。。。

 

電子書籍の価格にしてもホント半額くらいに出来ると考えるのですよね。
例えば500円→250円にしたとしても
著作権者印税を20%にすれば50円(500円の10%と同じ印税)を保てる訳だし、または著作権者印税を40%にすれば100円であと残り60%の150円は出版社として著作権者:出版社が4:6としても良いし、と
漫画家側/著作権者側が交渉しなかったために出版社側の言いなりになって今の料金体系になってる感じがするのですよね。

 

いや、あまり電子書籍の価格を安くし過ぎると紙の本が売れなくなるという考えもあって今の価格帯なのでしょうが…、
紙の単行本と変わらない価格と俺が列挙した電子書籍の好きくない理由を天秤にかけた場合、電子書籍要らないかなぁとなるのですよね。

 

 

 

以上