アニメ「ダンス・ダンス・ダンスール」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ダンス・ダンス・ダンスール」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


アニメ放送期間中に、凄い!面白い!との声が聞えていた話題作だったので期待していたのですが期待を裏切られたガッカリな作品でした。
まずダメなのが、というか作品構成・シリーズ構成の半分をダメにしてるのが恋愛要素ですね。
主人公とヒロインの恋愛要素マジ要らん、邪魔な要素、邪魔しかしていない。
主人公をバレエに引っ張るきっかけとしてのヒロインの存在は良いのですが、その後
ヒロインとライバルキャラが良い仲だと知ると主人公がバレエのレッスンに行かなくなるという展開…、え?なに?どゆこと???
主人公がヒロインに気があるのは別に良いけどさぁ、「ヒロイン」と「バレエへの情熱」の比重って「ヒロイン」の方が重かったって事?
主人公の「バレエへの情熱」はそんなもんなの?と納得がありません(まぁその後主人公は「ヒロイン」より「バレエ」の方を取りレッスンに行く事になる展開になるのですがね…主人公のキャラの描き方としてその物語展開に納得がないのですよ)。
そして物語終盤でも恋愛要素を持ち出して、ヒロインと恋仲になる、良く分からん理由・納得がない理由で主人公がヒロインを振る(ヒロインの扱いが酷い)、とさらに納得のない展開を見せる…本当にストーリー、キャラクター描写の邪魔しかしていないのよ恋愛要素が。。。

 


アニメ放送期間中に聞えてきた「凄い!」の感想は作画の事だったのかね。物語自体は全然凄くない面白くない(納得がない展開)だし、作画面にしてもただヌルヌル動くというだけ…演出、構図・絵コンテが面白いと感じたところはほぼ無かったですね。。。
バレエシーンにモーションキャプチャーを使ってるらしいんだけどさぁ…、実写の様にヌルヌル動く作画で魅せる事がアニメーションではないでしょ?
実写では表現できない様な誇張表現・映像演出が出来る事こそがアニメーションの真骨頂でしょうよ。~まるで実写の様に動く画~が観たいのであれば俺は実写を観るよ、アニメーションを観る意味がないのよ。
たまにモーションキャプチャーロトスコープを使ったアニメーションがあるけど、それをそのまま使う・取り込んでも意味ないよね…ホントそれこそ実写を観れば良いという話になる。。。それを下地にアニメーションとして昇華させないと、ねぇ。


今作「~ダンス―ル」もモーションキャプチャー以上のもの・演出が見えないのよね…それは、実写の動きを基にしているから、実際(現実)にはありえないけどキャラの動き・心情を効果的に魅せる様な構図(実写では撮れない様な画)が生まれないのが問題…だから画・演出が面白くないのよ。。。ヌルヌル動くただそれだけ。。。


別の作品の感想でも述べていますが、作品を評価するとき自分は「画(作画)」は二の次三の次なんですよね。ヌルヌル動くだけで構図・魅せ方・演出に面白みがない作画の作品は決して高評価にはならないのよね。。。

 


放送期間中に聞えてきた「~ダンス―ル」の感想の中に、「ボールルームへようこそ」と同じものを感じるだとか、「ボールルーム~」好きなら「~ダンス―ル」もハマる、みたいな感想があったのですが…、
いやいやいや「ボールルームへようこそ」には及ぶべくもなですよ…。「ボールルームへようこそ」は自分の中で2015年以降唯一の「優」評価作品ですからね。「ボールルーム~」はストーリー・シリーズ構成、キャラクター、絵コンテ・演出その全てが巧い本当に面白い(何度観ても飽きない面白さ…自分はもう6周くらいしている)作品ですからね(ちなみに今作「~ダンス―ル」は視聴後に録画機から消しました)。


「ボールルーム~」はOP絵コンテからカッコ良いですからね…、もし「~ダンス―ル」を「ボールルーム」の板津監督が手掛けていれば少しは面白くなったかも…「ボールルーム~」は竹内友さんの原作漫画の熱さ・熱量を最巧に表現した作品でしたからね
…しかし「~ダンス―ル」の原作漫画に「ボールルーム~」ほどの力がないから(原作未読ですがアニメを観る限り感じられなかったので)いくら板津さんでもやっぱ無理かな…。


作画が美麗、ヌルヌル動くというのは決して悪い事ではない(汚い画より綺麗な画の方が良いのは当たり前、綺麗に越した事はない)のですが、作画綺麗=良作品・人気作・話題作になるという風潮にはちょっとどうかと思いますね。
アニメーション・アニメの意義を考えてみて欲しいですね。。。

 


「~ダンス―ル」についての巷の話題、作画については以上で次からは内容について語って行きたいと思います。

 

まず、冒頭でも少し述べた主人公のバレエに対する情熱について。
20年前30年前ならいざ知らず、TVでバレエダンサーが出演・紹介されるような時代に男らしさ(がない)や恥ずかしさを理由にバレエを諦める主人公のバレエへの情熱のなさ・低さがダメなのです。
これはつい最近「舞姫 テレプシコーラ」を読んだから感じる事なのかもしれませんが、
そんなモジモジ・なよなよした詰まらない理由・納得のない理由でバレエを辞める男子なんていませんでしたよ(まぁ一人、クラシックバレエ向きではない男子は登場していましたが)。
それに「舞姫 テレプシコーラ」の中で語られていたのですが、プロを目指すには小さい頃からバレエ専用の身体づくりが大切と述べられていて(「~ダンス―ル」でも語られていたかと思いますが)、
特に中学~高校の時期の成長期が大事みたいな事が語られていました(これは女子の場合のみの話かもしれませんが)。
それに対し「~ダンス―ル」の主人公は小さい頃からのバレエ専用の身体づくりは行われておらず、(成長期にはギリギリ間に合っているのかも知れませんが)武道やスポーツで余計な筋肉を付けていてバレエダンサーに向いてないのでは?(筋肉が骨の成長を止めるみたいな事が「舞姫 テレプシコーラ」でも「~ダンス―ル」内でも語られていたかと思います)と感じられ(ジークンドーの設定必要なの?)納得がないのです。

 


あとは、これも冒頭で述べた事ですが、
バレエを本気でやるなら他の全てを捨てる覚悟でという話だったはずなのに、恋愛要素を展開しようとする構成がホント駄目…。なんか呆れるのよ。
これも「舞姫 テレプシコーラ」を読んだからこそ感じるのかも知れませんが、「舞姫 テレプシコーラ」の千花のバレエへのひたむきさと比べると何やってんだこいつ等…(ヒロインはバレエに対する情熱が低い設定と感じるのでまだ多少我慢・納得はできますが)と感じ、
本気で恋愛要素邪魔だとその構成に呆れるのですよ。。。もっとバレエに真剣になれよ。。。

 

(「舞姫 テレプシコーラ」ついでに書きますが、ライバルキャラの境遇を観たとき、これ「舞姫 テレプシコーラ」の空美と似てるなと感じたのでした。空美ほどドギツイ設定ではないですがね)

 


次に、主人公が大手バレエスクールのオーナーや先生からダメ出しを食らう展開について。
主人公が自分の感性で踊っている事に対しクラシックバレエでは有り得ない、という様なダメ出しを受けるのですが、
それなら主人公はクラシックバレエよりモダンバレエやコンテンポラリーの方が良いのでは、(別にバレエやダンスに詳しい訳ではなく「舞姫 テレプシコーラ」で得た知識くらいしかないのですが)と感じたのです。
無理にクラシックバレエをやる意味があるのかな?と。主人公が一番最初に衝撃を受けたダンスもクラシックではなかったと思うのですが、なぜクラシックバレエに拘るのか分からんのです。
(あと、これも「舞姫 テレプシコーラ」を読んだからこそ感じるのかもですが、感受性の高い主人公は「舞姫 テレプシコーラ」の六花の様なコリオグラファー(振付師)の方が向いているのではと感じるのです)

 


次は対して語る事もない演出についてですが、
ピカピカの演出がダサい、ですね(原作からだろうけど)。
いやね、多くの人があーその感覚分かる分かるというなら良いけどさ、少なくとも俺は何かに感動して目の前で火花パチパチ、ピカピカ、ドカーンなんてなったこたぁないよ…。
鳥肌が立つとか背中がゾワッとするような感覚なら分かる・納得あるけどさぁ。。。それに、この演出って主人公特有の感じ・演出ではないんだよね。主人公以外もピカピカを感じている。
人それぞれで感動する感覚が違うという描き方ではなく同じ感覚を感じているというのなら尚の事、「多くの人があーその感覚分かるわー」という表現にすべきと感じるのですがね、、、と納得がないのです。。。その上ダサいし。

 


最後に、途中で少し述べた「ボールルーム~」との比較を述べると、
キャラが弱いですよね。「ボールルーム~」の1クール分(天平杯編)と比較するとライバルとなるキャラが弱い。
まず「~ダンス―ル」のあんな引き籠りキャラ・コミュニケーション能力が恐ろしく低いキャラが舞台なんて無理でしょ?良くそれでプロダンサーなんて夢を持ったな。
バレエって独りで完結する作品だと思ってるのかね、とそのキャラにまず納得がないのです。
その上、喋らない、モノローグもないで何を考えてるか分からないでキャラとしておそろしく弱いのです。ただバレエが上手いという情報しかない様な人物になっちゃってるのよね。。。

 

そして物語の締め方について。
「ボールルーム~」は主人公が全力で格上の相手にぶつかりそして納得のある結果となる展開で1クールで天平杯編がきっちり締まります。
が、「~ダンス―ル」の方の締めの回は最後まで前のスクールを辞めるかどうかでフラフラし、結局試験を受けに行き(それも前スクールのオーナーに言われたからというのが決め手になって)、遅刻が見逃されたうえ試験合格し(周りの生徒達はそれで納得したの?と感じたし)、ホント才能、将来性だけで試験突破したなとあまり感動、納得がないのですよね。

(あと、最初の目的…大手オーナーに自分を認めさせて、前のスクールに居た生徒を取り戻すという目的はどうなった?と気になったのですが、特別扱いされてる主人公がスクールから居なくなれば問題は解決するのかなとは感じましたね)

 


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上