劇場アニメ「天気の子」 ~感想

地上波放送された劇場アニメ「天気の子」を観ました。

以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

作品の感想は特に可もなく不可もなくとなります。
映像は美麗ですが、ストーリー構成に綺麗には納得できない部分があります。


おそらく前作「キミの名は」の大ヒットを受けて、前作と同等以上の成果を期待され制作されたであろう本作…
そのプレッシャーの中「早く次回作を」と時間的に迫られたのか捻り出した感~を感じました。
やはり前作ほどストーリーが練られていないのか盛り上がりや驚きに欠ける感じがあります。

 

画は確かに美麗ですが、作品を評価するとき自分は「画」は二の次三の次なんですよね。
DアニメストアのCMみたいになりますが、アニメ作品の重要な要素として自分の場合、第一は、
ストーリー構成や世界観・設定といったプロットであり、

次にキャラクターまたはカット・構図による魅せ方・演出、

そして次にようやくビジュアル、映像美といった感じになります。


映像はまぁ綺麗に越したことありませんが、よほど酷いレベルでなければ普通・並みで構わないと考えています。

ストーリさえしっかりしていれば…、またビジュアルや映像美とは別の話として、カッコいい構図や魅せる演出があればエンタメは成立し何度も観たくなる作品となるのです。
美麗なだけの画というのでは観ていて3日で飽きると思いますよ…何度も繰り返し観ても飽きない作品こそが真のエンタメだと考えています。


この作品は、自分がエンタメとして重要と考える「ストーリー構成」や「キャラクター設定」についてまず捻り出した感を感じるのです。
主人公の家出も唐突ですが、主人公と須賀の出会い~そして須賀との再会~須賀がオカルト記事を扱っている事から「天気の巫女」の事を知るシーンなど
天気の巫女であるヒロインありきのその絡ませ方・構成がエグいです。


そして、納得がない・モヤモヤ感が残る要因は、
主人公が「世界」より「ヒロイン」を選ぶ決断についてです。
物語の流れとしては正しいのでしょうが、やはり考えてしまうのです…
主人公の決断によってもたらされた~水害・天災でおそらく何百人何千人単位の人が命を落としているだろうなと想像されるのです…。

激しい豪雨や何日も降り続く雨による川の氾濫や土砂崩れなどの被害を想像するのは容易でそれらによる被害者はかなりの人数になるのではないでしょうか。


作中、須賀が「お前らのせい世界が変わったわけがない、うぬぼれるな」という旨のフォローをしますが…、
それはあまりにも重い十字架だと思うのです。。。

 

作品表面上、(須賀から主人公への言葉として)フォローはされていますが、
主人公が作中、公権力(警察)への反発をしている事~そしてヒロイン救出後も警察からその誤解は解けず(誤解ではないので当然ですが)~保護観察処分を受けるという描き方がされている事…
それは「誤解が解ける/解けない」はテーマではないんだろうなという事が感じられ、
その点から考えても主人公たちは「罪」を背負う事になる・やはり世界を変えたのは主人公達である~「世界」より「ヒロイン」を取ったという事、その「罪」の結果の「罰」なんだろうな考えられるのですが…
やはり主人公たちにとって「世界」を変えた事により失われた多くの命、というは重すぎるであろうと感じます。

 

人はしぶとく逞しい~変わってしまった世界でも・大変な状況に陥ったとしても生きて行けるという事なのでしょうが、
エンタメとしてカタルシスがない、スッキリしない部分がある・納得がない部分がある・モヤモヤ感が残るという可もなく不可もなくの評価となってしまうのです。

 

次回作はストーリーにもう少し時間をかけてじっくり構成した方が良いのではと感じましたね。

 

以上