アニメ「オーバーロード」~感想~プレイヤー転送、今後の展開について妄想

アニメ「オーバーロード」1~3期+αの感想となります。

 

3年程前に1期を一気観し面白い!と感じ2期3期はほぼ毎週リアルタイムで視聴していました。つい最近、某動画サイトにてアニメ放送分までの解説動画を観たのとWEB版の小説を読み終えたので感想を上げようと思います。

 

以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

ジャンルとしてはいわゆる異世界転移(転生ではなくおそらく転移・転送)の最強系主人公物になります(おそらくと書いたのはもしかしたら主人公は現実世界でもう死んでいて描かれている物語は死の間際に見た一瞬の邯鄲の夢の様な話という可能性も捨てきれないと思っているからです)。

 

ゲームの世界に閉じ込められたり転移させられるという設定としてはログホライズンやSAOが近いといえば近いのですが、このオーバーロードは最強系主人公物でありそのシチュエーションそのものを楽しむ物なので、転移の謎の究明や現実世界への帰還を目的としていません。

 

異世界転移・転生の最強系主人公物は数多くありますが粗製濫造されている他の最強チート物と違い自分がこの作品を面白いと感じている点は作者の中に確固たる強さ設定が存在しそれを読者に納得させる形で表現できているところです。
とある漫画に出てくる「納得は全てに優先する」という、正に真理だと思っている言葉があるのですがこのオーバーロードにはそれがある!他の最強チート物とは一線を画す面白さだと思っています。

 

最強系主人公物の多くは転移、転生時に強大な力を引き継いでいたり上位の存在から授けられたりしますが、その強大な、圧倒的な、絶対的な力を持つ主人公と転移・転生先の異世界人との力量差というものをどの様に相対的に巧く表現し読者にその強さを納得させる事が出来るかがミソだと思っています。
(いくら主人公が強大な力を持っているとただ説明だけされて敵を圧倒したとしても、その敵が転移・転生後の世界においてどの程度の実力の持ち主なのか、世界トップクラスの強者なのかただの雑魚相手に圧倒したのかをその後の物語の展開も見据えたうえでどう表現するかが肝であると考えます)

 

この「オーバーロード」ではその一つとして、魔法に位階と呼ばれる1~10までのランクが存在し、転移先の異世界での認識としてどの強さの者がどの位階の魔法まで行使できるかが表現されています。例えば、才能ある選ばれた者のみが到達できるとされるのが第3、4位階まで、英雄や伝説とされる者で人間が到達できる限界が第5,6位階という設定になっています。そして主人公はというと当然第10位階を使いこなしさらにその位階を超える魔法をも使えるといった具合で転移先の異世界において絶対的な力を有している事が表現されています。

 

また主人公はLv100というステータスを持って転移しているのですが転移先の世界では英雄と呼ばれる強者であってもLv30後半とされています(これはアニメ本編内で明示されている訳ではなく裏で持っている設定となりますが作者の中にしっかりとした強さ設定があるという事ですね)。そしてこのレベル差が10以上あると勝つ事が出来ない・難しいという設定があり、これは不意を打って相手に攻撃がまともに入った(ように見えた)としても全くダメージが通っていないという様な形で表現されていてそれはたとえ英雄級(Lv35~40程)が3、4人居ようと(合計のLvが100を超えていようと)覆る事のない戦力差となっています。

 

他の最強系主人公物でたまに見かけるのが不意を打たれて(一時的であったとしても)不利な状況に追い込まれたり、「えっ?そんな攻撃効いちゃうの?全然最強じゃないじゃん」という展開がありそういうのを観る度にモヤモヤしていました。最強系主人公物に求めているのは圧倒的な力でいけ好かない敵をブッ飛ばしていくその痛快っぷりであったり、他を寄せ付けない無敵・無双っぷりです。転移・転生先の異世界で強者とされる程度の(その強者が転移先の他の異世界人とどこが違い強者となり得ているのか、最強と謳われているはずの主人公と何故渡り合えるのか、の納得できる説明が出来ていない)訳の分からない相手に手こずる様な納得のできない展開は求めていないのです。

 

しかしただ単に新たな敵が出現する度に圧倒的な力で叩き潰すというだけではお話として盛り上がりに欠けます(実際にそんな感じで最初から最後まで盛り上がりがないまま終わった最強系主人公物アニメも散見されました)。だからといって安易に何の脈絡もなく、実は転移・転生先の異世界に主人公と同じくらいの強さを持つ敵が居ました~では主人公が最強という前提、無双っぷりを期待している側としては納得出来ないのです。

 

このオーバーロードの面白いところは、主人公一人だけが転移するのではなく仲間とともに(ギルド拠点全体で)転移するというのが斬新で、しかもこの仲間はプレイヤーキャラクターではなくゲーム内のNPCであるというのが面白いですね。これがプレイヤーであれば仲間内での不和や対立、裏切り等の展開が予想されますが、主人公に忠実なNPCとする事でそれらを排除しています。


そうした上で、1期のラストでLv100の主人公と戦う事になるのは敵に操られたLv100の仲間NPCという展開になります。Lv100の主人公に対抗できるのは同じLv100のキャラであり実力の拮抗した接戦・苦戦が強いられる強敵の登場という展開、またLv100で諸々の耐性を備えていて本来なら操られるはずがないのにそういった状態に陥った異常事態から、転移前のゲーム世界にあったワールドアイテムの存在を示し、そしてその裏にいるプレイヤーの影を見せてその後の展開を色々と想像させるのが巧い(プレイヤーの存在については主人公は最初から疑っていて転移してきたのは自分だけとは考えていない事が描かれていたのも良い)ですね。

 

最強系主人公物において、読者に納得させる形で強敵を登場、登場を予感させる事が出来ている稀有な作品でこれはやはり作者の中にしっかりとした強さ設定があるからこそだと思っています。

 

冒頭で述べた某動画サイトの解説動画(アニメ本編だけでは描き切れていない原作小説を含めた解説動画でありアニメ化していない既刊原作についてはネタバレ解説をしていないので大変助かっています)にて、主人公以外のプレイヤーである六大神、八欲王について解説されていて原作小説でも断片的な情報でしか語られていない様なのですが、それがさらに想像を膨らませる様な造りとなっていて、自分が設定好きなところがあるからというのもありますが、巧い見せ方で面白い!と感じるのです(こういった限られた情報の中で色々と想像、脳内補完している時が一番楽しかったりします)

 

 

以下は、原作小説は未読でアニメ本編と解説動画を視聴しWEB版を読んだうえでのプレイヤー転送や先の展開についての勝手な想像・妄想です。

 

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・他のギルドメンバー(至高の四十一人)の登場の可能性について

おそらく異世界へ転移してきたプレイヤーは、主人公がそうであった様にサービス終了のその瞬間までログインしていたプレイヤーだと想像されます。なので、他のギルドメンバーが転移してきている事はあり得ないと思っています。もしかしたら別のアカウントでログインしていたという可能性もあるかもしれませんがわざわざサービス終了時にログインしていながら昔の仲間と連絡を取らないのはおかしいのでやはりこの先他のギルドメンバーが登場する事はないでしょう。

 

・プレイヤーの転移・転送タイミングについて

プレイヤーの転移・転送が「開始」されたタイミングはサービス終了の瞬間からどのプレイヤーにも同時に訪れたと思われますが異世界への転移・転送が「完了」したタイミングというものは各々異なっていたと思われます。その転送完了までの差異を生んだ要因はプレイヤーの所有するデータ量であると考えます(ここでのデータ量は「電子媒体」としての容量(byteの様な)ではなく「ユグドラシル」というゲーム内でのデータ量)。

 

プイレヤーデータ≧ワールドアイテム>>ギルド情報(拠点規模、NPCデータ、レアアイテム数等)

 

の様な重み付けがされていてそのデータ総量に応じて転移・転送完了の差異が発生し、プレイヤーにとっては体感できない様なミリ秒単位の差が異世界においては100年単位となって表れていると想像しています。

 

上記の重み付けについて、プレイヤーデータは様々なカスタマイズが可能であり、またモモンガ玉の様なワールドアイテムを装備・装着可能である事、神器級、伝説級といったアイテムで身を固める事でデータ量が大きくなる事、そしてそれらのデータ量を内包可能なだけの枠が設けられている事からプレイヤーデータを一番重くしています。次いで、ゲーム世界の理を覆す様な性能を持ったワールドアイテム、その下は重みとしてはかなりの差があってその他のデータとしています(ワールドアイテムと比較してギルド拠点規模などのデータはそこまで重要な要素ではないとなんとなくの感覚で付けてます)。

 

そして転送が始まった瞬間プレイヤーがどの場所に居たのかも重要で、サービス終了時にギルド拠点内にプレイヤーが居た場合はギルド拠点もプレイヤーの所有物と見なされて一緒に転移してきているのではと想像しています。もしサービス終了時にフィールドに居たプレイヤーのギルド拠点まで転移されているのだとしたら転移先の異世界では未知の遺跡がここ数百年で急に幾つも出現している事になると考えられるからです。

 

本編開始の600年前に転移してきた六大神はプレイヤー6人分のデータ+(少なくとも1つ以上の)ワールドアイテムデータのデータ総量を保有、その100年後にはプレイヤー8人分のデータのデータ総量を保有した八欲王(ワールドアイテム保有数2つ以上?)が転移してきて、その400年後、ナザリック地下大墳墓が転移してきます。サービス終了時のプレイヤーデータとしては主人公一人分のデータしか持たないナザリックが八欲王より後に転生してきた理由はワールドアイテムの保有数がユグドラシルゲーム内で全ギルド中トップであった為だと考えられます。


(他にはギルドメンバーがロールプレイに徹していて様々なギミックをギルドに搭載していた事や図書館の膨大な量のモンスターデータ等もデータ量を増大させる要因になっていたのかも知れません)

 

本編開始の200年前に転移してきた十三英雄については、トップクラスのプレイヤーギルドではなく偶々同じ街に居合わせた等、ある一定範囲内に居た複数のプレイヤーが一纏まりに転移されたプレイヤー集団ではないかと思っています。おそらく9人以上のプレイヤーであったために八欲王より後に転移してきたと考えます。

 

・先の展開(100年後の展開)について

上記の様な事を想像すると、主人公より後に転移してくるプレイヤーというのは、おそらくトップクラスのプレイヤー8人以上であり且つワールドアイテムもナザリックに次ぐ数を保有している様なナザリックを上回るギルドランクの最上位ギルドであると考えられます。

 

(わざわざサービス終了のその時までログインしているという事は余程ゲームに思い入れがあるか、最後までトップクラスに居続けたギルドがその栄光を讃えメンバーと最後の時を迎え様としていたと考えられるからです。WEB版の設定に出てきた1000人規模である2ch連合ギルドはゲームに大して思い入れもなく結束も強くない数だけの烏合の衆でありサービス終了時にわざわざ集まる様な事はなく転移してくる事はないだろうと思っています)

 

主人公が六大神や八欲王、100年の揺り返しの事を知り、次の100年に対しどの様に備えるのか、どの様に決着するのかという事を(まだまだ先の事だとは思いますが)今後の展開~最終巻で描かれるのを期待しています。

 

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と、この様に散りばめられた情報から色々と想像を膨らませるのが本当に楽しい作品です。

またその他の見どころとして、主人公が中途半端な悪ではなく完全に悪であるというのも新鮮ですね。他の作品でも主人公が魔王だったり悪の勢力に属している様な設定はありますがあくまで魔王や悪を軽いノリでロールプレイしているに過ぎず根は善良だったり一般人の感覚であったりと悪に徹し切れていませんが、この作品は主人公の中に自分の信じる正義がありそれを貫いています。(主人公の精神が転移時に変異しているという設定も効いていると思いますが)

 

作者の中にしっかりとした設定がありそれが巧く表現されているのがこの作品の面白さで早く続き(アニメ4期)が観たいのですが何だか4期はしばらくは無理そうな感じなのでもう原作小説買っちゃおうかなと思ってます。


(2019年07月16日01:43mixi日記投稿分)