アニメ「悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「悪役令嬢レベル99~私は裏ボスですが魔王ではありません~」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

今期の悪役令嬢モノ3作品目。
なんか話題になっていた作品(2024年冬アニメの中では世間の評判良かったと聞いた)のようですが、
う~ん、この作品を完全なギャグ・コメディ作品として考えるのであれば我慢できる/飲み込めるのですが、基本的にはストーリー物・物語を追う作品ですからね、、、色々と気になる点があるのですよ。。。

 


まず最初に…というかこれが全てなのですが、この作品の世界観設定が「ゲーム世界」の世界観設定である、ということなのですよね。
レベルというメタ設定があり、そしてそれをその世界の住人全てが認識している・当たり前の様に捉えているという世界観が違和感しかない。

 

いやね、魔族や魔王やドラゴンそして魔法という力が存在したりとかいうファンタジー世界の世界観は良いのですが…、「レベル」なんて設定…そしてそれをその世界の住人が認識している・受け入れているなんて設定はおかしいのよ、それはファンタジーの世界ではなくゲームの世界なのよね。

 


これは他の異世界転移・転生モノ作品の感想で何度も何度も言ってる事ですが『ステータス画面が表示される、レベルというメタ設定がある、スキルを獲得するアナウンスが流れる等々の異世界転移・転生モノ作品は例外なく駄作である』というのが俺の持論なのですよね。

ゲームとしての世界観が、ファンタジー世界の住人のリアルとして存在している(コンソールが表示されるという謎技術?仕様?、レベルアップすることで能力が目に見えて上がる、どこからともなくレベルアップ・スキル獲得のアナウンスが流れる、なんて例えば自分たちの今いる現実世界で・リアルで起きたら…)なんておかしいだろというお話なのです。

そんな世界観設定に対して「いや、おかしいだろ」と疑問に思わないで物語を描く作者の思考に意味が分からない・理解できないと感じるのですよね。
だから、俺は『ステータス画面が表示される、~の異世界転移・転生モノ作品は例外なく駄作である』と言っているのですよ。

 

 

この作品のダメな点、まずはレベルというメタ設定があるという点。

 

そして次にダメなのが、この作品世界が本当に「ゲームの中」である様な設定という点。
悪役令嬢モノの多くは元はゲーム世界でありそこに主人公が入り込むという設定であることが多いのですが、「ゲームの中の世界」っておかしいんだよね。。。
いや、ゲームってデータだよ。データの中の世界ってこと?それはプログラムされた世界ってことだよ。
そのプログラムされた世界の中で自由に行動出来たり(プログラム外の行動)、NPCがプログラム外の言動をするなんてこと普通に考えて有り得ないよね、というお話。

 

 

本当に「ゲームの中の世界」設定とするのであれば主人公、NPC含めプログラム外の行動が出来ない設定にしないとおかしいのですよね。
しかし多くの悪役令嬢モノはとてもプログラムされたものとは思えない言動をしたり、とてもプログラムされたとは思えない細かい部分の設定・描き込みまであったり(例えば、ゲームでは背景美術の一枚絵のみであるはずが、アニメ作中で自由に(プログラムされていない所まで)動き回ることが出来ていたり)と「ゲームの中の世界」「データの中の世界」とは思えない世界観で描かれているのですよね。

 

 


多くの悪役令嬢モノでは俺が疑問に感じるその点(データによって構築された世界であるはずがゲーム外/プログラム外の言動が許容されてる点)について答えが描かれていない/説明されていないのですが、俺が勝手に自分で納得するために考えている設定が

「悪役令嬢なのでラスボスを飼ってみました ~感想」「はめふら」感想内で語っている
・主人公が転生したのは実は「ゲームの世界」ではなかった(どこかに「元々存在している」『異世界』であった)
・主人公の知っているゲーム世界と酷似している(キャラクターやストーリー展開がゲームそのままである)理由は、
その「元々存在している」『異世界』からの転移/転生者が現代日本へやってきて自らが過去に見聞きした事を基にゲームのキャラクターやストーリを作ったから
・つまり主人公は、『異世界』から現代日本へやってきた転移/転生者が作ったゲームの元居た異世界の過去へ転生された
という設定を考えて俺は勝手に納得しているのですよね。

 

(この考えで「ゲームの中の世界」という設定について(実はゲームではなくどこかに実在していた異世界だったという設定)は納得が出来るのですが…、ステータス画面やレベルのメタ設定については説明できないのですよね…だからこそレベルなんかのゲーム設定を平気で世界観設定に組み込む意味不明さに納得がないのですよね)

 

 

しかし、今作では主人公の行動がゲームの進行状況(フラグ)により阻まれたり、登場人物の行動がゲームシナリオにより強制されたりという描写があったのですよね。
これはこの作品世界の設定が確実にゲーム世界/データでプログラムされた世界であるという意味・描写なのですよね。

 

そうすると上述した様に、ゲーム世界/データでプログラムされた世界であるはずなのに、NPCが本来のゲーム上には存在しない自由な会話のやりとり、行動・反応をすることに矛盾が生じるのですよね。

そういう納得がなくなる・おかしいことだらけの世界観設定を創っておいて何とも思わないのかしら、とホントその思考の意味が分からない・理解不能なのですよね。

 

 

この作品を完全なギャグ・コメディ作品であるというのならば、その矛盾やメチャクチャな設定もギャグとして受け入れますが、違いますよね。
だから納得がないと感じる訳なのですよ。

 

 


あと、ストーリーに波がないのも凄いね、さすがなろう系。
主人公は最初から最後まで何も変わらないままだったね(何も変わらないは言い過ぎですが)。

 

いや、俺が想像した終盤の展開は、主人公に恋人が出来たことによって、その恋人が死亡または瀕死の重傷を負いそれが原因で(ゲームシナリオの強制力もあって)主人公が闇落ちして裏ボス化するのかなと考えていました。
しかし、そんなことはなくあっさり物語が終わりましたね。
まぁもし本当に主人公が裏ボス化してしまったらどうにかできるキャラが居ないんですけどね。
強さ的な意味でもそうですが、精神的な意味でも主人公と強く結ばれているキャラなんて(恋人キャラ以外に)居ない/描かれてないから、闇落ちした主人公の心に訴えかけて救うみたいな展開も出来ずに詰んでしまうのですよね。
…主人公やストーリーと絡ませたほかの主要キャラの構成・魅せ方も出来ていないというお話。

 

 

 

色々と気になる点、納得できない点を書きましたが貶めすほど酷くはないので(持論通りだ作であることは変わりないのですが)、

作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上