劇場アニメ「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 ~感想

録り貯めしていた劇場アニメ「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


泣けるアニメとして「あの花」や「四月は君の嘘」、「宇宙よりも遠い場所」と共に名前が挙がる今作「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」ですが…、
う~ん、俺的にはお話自体は別に悪くはないけどそこまで泣けるかな?という感じの作品でしたね。
先に挙げたタイトルの中で言えば、「あの花(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。)」や「宇宙よりも遠い場所」の方がまだ泣けると感じましたよ。

 

 

(話は「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」から逸れますが、俺の中で泣けるアニメ№1は「SHIROBAKO」となります。
SHIROBAKO」のなにが№1たらしめているかというと、人の死が関わらない物語構成でありながら「泣かせる」お話になっているという点なのですよね。
例に挙げた「あの花」や「四月は君の嘘」、「宇宙よりも遠い場所」そして今作「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」も泣かせるエピソードは人の死が関わるお話の造りとなっています。
いやね、俺は昔から思っていた訳なのですよ…アニメに限らずドラマ、映画、小説の「泣ける」といわれる様な作品はほぼほぼ100%人の死が関わっている物語構成なんですよね、、、死別による悲しみ、死に別れた人との思わぬ形での再会という嬉しみなど人の死が絡んだ物語の場合だったら「泣かせ」も簡単よねぇ…人の死が関わらないお話で泣ける・感動する話が創れないものかなぁと常々考えていたのですよね。

 

そんな俺の長年の渇望・期待に応えてくれたのが「SHIROBAKO」なんですよね。
SHIROBAKO」は人の死と関わる様なエピソードなしに感動・泣かせてくれる…キャラクター設定・描写・配置、物語構成の妙で感動させられるその造り故に俺の中で「優」評価作品であり、泣けるアニメ№1作品となるんですよね。

 

今作「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」の脚本は「SHIROBAKO」の脚本と同じ吉田玲子さんではあるのですが(「SHIROBAKO」のシリーズ構成は横手美智子さんなのですが、俺の好きなエピソードは全て吉田玲子さん脚本の回なんですよね)、
監督や原作(が存在する様なので原作者)の問題であるのか「SHIROBAKO」ほど巧い構成にはなっていないんですよね。。。残念)

 


主人公はじめ各キャラクターもあまり魅力的なキャラになっていなんですよね。主人公の過去、設定の意味は理解するけどさぁ、主人公の感情表現が乏しいのもあって色々と損しているのよね…。
あまり感情を表さない・言葉にしない主人公が心の内で何を考えているのか…モノローグを入れるか主人公の傍に感情豊かな別のキャラを配置するかしないとねぇ、あまり物語に入っていけないのよ(これはTVシリーズ通しての・原作側の問題と思われますが)。


だからこそ(キャラ描写が不足と感じるからこそ)映画終盤の主人公が泣きじゃくるシーンで俺は違和感を覚えたりするのよね。いやね、少佐がそれだけ主人公にとって特別だという描き方である事は理解するけどさぁ、もっと他にも泣いて良い場面あったんじゃないの?なんか少佐以外の事については主人公にとっては別にそれほど大切なものじゃない、涙を流して・声を上げて泣くほどの事ではない、みたいに感じられてしまうのよね…上手くないねぇ。

 


お話自体についても悪くはないけど…観ていてあぁこれは泣かせるための設定だなぁと分かってしまって、そしてその予想を超える様な展開・セリフ等はなく淡々と進んで行くという感じを受けたんですよね。

 

そしてこの作品で何より問題だと感じるのはカメラワーク・映像演出が面白くない、のですよね。
なんだろ、画は綺麗ですよ、、、細かく丁寧に描き込まれた画が美麗…でもそれだけ。構図が面白かったり演出が巧い・面白いと感じる事がほぼなかったのよね(唯一、煙が渦を巻くように天に上る画があったのですが、そこは面白いと感じたくらいですかね)。
別に悪くはないんですけど…意外性のない普通の構図、普通の演出で面白くはないのよね。。。だから画が綺麗なだけ、それだけ、と感じる(印象に残らない)…なんだろ、映像センスの問題かね?
(上述した煙のシーン以外で印象に残っているシーンは主人公が泣きじゃくるシーンですが、これはキャラ描写について先に述べた「違和感」の方が勝っている感じなのですよね)
画の美麗さだけではなくもっと映像演出を頑張って欲しかったなぁ。

 


なんか世間の評判ほどには俺の中では称賛は出来ない作品(決してマイナス評価の作品ではないですが)。
という事で作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上