アニメ「群青のファンファーレ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「群青のファンファーレ」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


第1話の導入・設定を観たとき、SMAPの森君を思い出しました。
さて、そんな事より近年稀に見るかなり酷い脚本・シリーズ構成の作品でしたね。
近年稀に見る~は言い過ぎですかね…、つい最近観た作品「ヒーラー・ガール」の脚本がすこぶる良かっただけにそれとの比較で余計に酷く見えただけかもしれません。

 

まぁ程度はともかく実際酷いのは確かなんですけどね。

 

まず、キャラクター同士の掛け合いがおかしい。
何故その問いの返しがそうなるの?や
何故いきなりそのキャラ相手にそんな話を始めたの?(そういう話をする関係性のキャラだっけ?そういう関係性をこれまでの話で一切描いてないでしょ?)から始まり、

各キャラ同士の関係性の変遷が分からないまま話が進んでいたりは当たり前の様になっていて、当然同期キャラ達一人ひとりの当番回なんてあろうはずもありません。

 

 

そして何より問題なのはシリーズ構成というかキャラ描写・「主人公」のキャラクターの描き方、が全く出来ていない事。
物語を展開して行く上で一番重要な、主人公はどういった人間かというのが全く描いていないのですよね。
普通だったら最低でも3話くらいまでには描くべき主人公はどういったキャラクターなのかというものをいつまで経っても描かず、
そしてとうとう8話まで話が進んで競馬学校を出て1年後の厩舎実習編へと話が移り、あ~これダメ脚本家・ダメ構成だわ…、と確信しましたとさ。。。


主人公は何故アイドルをやっていたのか?
いやいやながらアイドルをやっていたのか?(これについては作中でも同期キャラから疑問がぶつけられていましたが答えず終い…)
そして主人公が競馬・騎手を目指す事になったのはなぜか?そのきっかけは?主人公がアイドルを途中で投げ出すように辞めてしまうほどの何があったのか?騎手に対する想いの強さ・熱さはどれ程なのか?
これらが物語を観ていてもいつまで経っても語られる事はなく主人公のキャラが分からないまま競馬学校での時間だけが流れて行くのです。

 

主人公のキャラが語られないが故に、騎手になりたい理由や想いの強さ・熱さも分からず、ただ自分勝手にアイドル辞めてそれでもアイドル扱いしてくる周囲の環境に対し舌打ちし不満たらたらな主人公に対し好感や共感や納得、主人公を応援しようと思う気持ちも起ころうはずもなく、
ホントいつまで経っても主人公のバックボーンを描こうとしない構成がダメダメ、というか信じられない構成なのです。


いやいやいや、どう考えても主人公がどういう奴かを描くのは必須でしょう…、主人公は熱血漢なのか楽天家なのかひねくれ者なのか周りに流され易い意思が弱い奴なのか自分の殻に閉じ籠る奴なのか…。。。
主人公が元アイドルであったという話のみが語られていて、そのアイドル時代に何があったのか(どういう経緯で競馬・騎手と出逢ったのか?アイドルを辞めてまで騎手を目指す理由そこにどんな深く熱い話があったのか)、
主人公が騎手を目指す思いの強さはどれほどなのか(アイドル飽きたなぁ~、騎手になりたいな、なれればラッキーかな…という想いではないよね?どんな犠牲を払っても覚悟をもって騎手になるという強い想いなのよね?)、
と第1話を観て、視聴者が物語を観て行く上で当然描かれるであろうと感じている物語が一向に描かれないのがダメ構成というかホント信じられない・意味が分からないのです…。

 


あと上記と比べれば全然細かい所ですが、大人(事務所の社長やあのマネージャーみたいな娘)がさぁ子供相手に契約がどうの違約金がどうのとか脅してんじゃねえよ、そんな話は親相手にしろよ…(最終話であの社長が実は親代わりみたいな関係であった事が語られますが、
親代わりの立場を利用して子供に無理やりアイドルやらせてたの?主人公は嫌々アイドルやっていた訳ではないみたいな事を語っていましたが詳しい事は語られずそこら辺も結局最後まで謎のまま…ホントなんだこの脚本。。。
マネージャーのほうは家族でもなんでもないみたいですが、子供相手に辞め方がどうのと説教していて、何だコイツ…、そんな説教する垂れるより大人のお前が子供を導いてやれよ…と納得がないのですよ)。

 

他には、競馬学校のドキュメンタリー動画に対しファン?がもう騎手を諦めろみたいなコメント残してたけど、そんなファン居らんやろ…。
心の中ではそう思ってても表向きは応援するコメントしないか?仮にアンチコメント残す様なファン居たとしてもそれは100人中一人二人くらいだろ?それが否定的なコメントばかりって…そいつらファンじゃないだろ、とここにも納得がないのです。

 


シリーズ構成ついでに言うと、
物語中盤の塔矢アキラ似のキャラが競馬学校を退学する話、この話要る?
こういう現実もあるよ…みたいな話を入れたかったのかも知れんけどさぁ、主人公との事故と絡ませたりして、主人公が「俺のせいで退学を決意させてしまった」と考えてしまう・しこりを残す結果になりかねないのに主人公を絡ませる意味あるの?と納得がないのです。
また8話以降の厩舎実習編はあの天然少年が主人公みたいになっていてホント何がしたいの?な脚本でしたし、
最終話の模擬レースでの最後の「能力譲渡」みたいなシーンがホント謎でした…「馬の声が聞える」はそんな気がする的なものだと認識・解釈していたのですが、
最終話にきていきなりオカルトっぽくなって、なんだよこれ…と開いた口がふさがりませんでしたよ。。。

 


脚本、シリーズ構成以外のところで残念(酷かった)点を挙げると、
CGの馬の動きが気持ち悪い。
気持ち悪いは違うかな?CGで滑らかに動いているけど…違うんだよ…。。。ヌルヌル動くのが良いアニメではないんだよ!
実写の様にヌルヌル動く画が観たいのであれば俺はアニメではなく実写を観るよ!、、、「アニメーション」で観たいのは・「アニメーション」に求めるものは、
実物を写しただけの映像ではなく、実物を写しただけでは表現できない様な魅せたい画・印象に残したい画というものを誇張・演出が出来る表現・演出こそを求めているのですよ!

(今作の馬のCGがゲーム映像の様に画として何の面白味もないのは論外ですが、たとえ正確に詳細に馬を1頭1頭モデリングしたとしても、そのカメラアングルをただ変えただけの映像では・実写で撮ろうと思えば撮れるアングルでは、
誇張表現した画(実写としてはあり得ない構図や演出)ほどに魅せたい画・印象に残したい画・質量を感じる様な迫力、躍動感のある画というものを描けないでしょう、というお話)

 

 


…そもそもの元アイドル設定要る?というところから謎な導入・設定ですが、
主人公のキャラが描かれない(主人公が描かれないので当然サブキャラも描かれない)というあり得ない脚本・構成、
主人公が中心に居ない中~終盤の構成、そしてオカルト締め…
(しかしやはり主人公のキャラ・背景が描かれないのが一番ダメ・信じられない脚本・構成ですけどね)
と久々に酷い構成を見ましたね、
作品の評価としては、「不可」となります。

 

以上