「鬼滅の刃ヒット分析」

映画『鬼滅の刃』興収288億円突破、歴代1位まで残り20億円 年内『千と千尋』超え濃厚 【ランキング一覧あり】
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大学教授もすなる「鬼滅の刃ヒット分析」といふものを一般人もしてみむとてするなり
(私の場合は本当にただの一般人です。大学教授が一般人に仮託している訳ではありません)

 

さて、興行収入300億に迫る勢いの映画「鬼滅の刃 無限列車編」、この映画がここまでの大ヒットとなった理由はどこにあるのか…、普段漫画やアニメを観ないであろう様々な分野の人たちがこぞってTVやネットでその分析・解説を行なっています。
その時流に乗って自分もちょろっと「鬼滅の刃ヒット分析」をやってみようと思います。

 

ちなみに自分は、映画「鬼滅の刃 無限列車編」は観ていません。漫画も未読です。TVシリーズのみ全話視聴済みの状態です。

ですが、分析する上では映画未鑑賞の状態であっても問題ないと考えます。
なぜならヒットの原動力となった2000万人を超えるその観客の多くは、映画の内容・出来栄え(話の展開や漫画のストーリという意味ではなく)を事前に一から十まで知って観に行った訳ではない初見の人たちであったはずで、その意味では、TVシリーズのみ視聴済みの自分と変わらない状態であったと考えているからです。
(もし動員客数2000万人の内訳が1000万人が2回ずつ観に行った~や、実は10万にコアファンが200回観に行った等であれば話は違ってくるのですが、まぁそんな事はなく大半は初見でしょうからね)

 

ヒット分析する上で考えないといけないのは、その映画の内容・ストーリー展開ではなく「なぜ多くの人が映画・鬼滅の刃を観に行こうと思ったか」その要因、もっと言うなら【環境】について考えるべきだと思います。

 

冒頭、例に出した某大学教授の分析ですが、これも「話の内容・ストーリ展開」について語った分析ではなく「回復能力の有無」というひとつの漫画要素≒環境について語ったものではありますが、この大学教授の分析で足りないのは「他作品との比較」になりますね。…この教授の分析では「回復役が居ない作品」は全て「鬼滅の刃」級に大ヒットする理屈となってしまいます。


上述した内容を踏まえて、自分なりの「鬼滅の刃ヒット分析」を行っていきたいと思います。

映画大ヒットの要因は、大きく下記の4つになると考えています。

ufotable
SNS
【ジャンプ/少年漫画】
【コロナ禍】

そして、これら4つが上手く重なった結果(特に「コロナ禍」)が史上最速の100億突破の『勢い』につながったと考えています。

では、その4つの要因について、詳しく述べて行きます。

 


ufotable
鬼滅の刃大ヒットを語るうえで、アニメーション制作会社「ufotable」の存在なしには語れないでしょう。

 

そもそも映画がこれほどの大ヒットとなったのは前段となるTVアニメシリーズのヒットがあったからこそなのです。

 

ufotableが作り出したその超美麗な作画・映像演出がアニメを観た多くの人を惹きつけ、その結果原作コミック売上の爆増を引き起こしました。
この頃からTVやネットなどのメディアでもその人気の程が取り上げられ、TVアニメOP曲の「紅蓮華」と共に「第一次鬼滅の刃ブーム」となりました。

 

もし、「ufotable」以外のアニメーション制作会社が手掛けていたら、ソコソコの作画ソコソコの映像であったならばおそらく第一次のブームも起こらず、今回の300億突破(目前)の第二次の爆発的ブームも起こり得なかった事でしょう。

 

しかし、ここで考えてないといけないのが「他作品との比較」となります。
それでは「ufotableが手掛けた作品は全て100億越えのヒットとなるのか」といったら答えはNOです。

 

自分がアニメーション制作会社「ufotable」を初めて認識したのはTVアニメ「Fate/Zero」(2011)でした。TVシリーズでありながら劇場版を思わせるそのクオリティーの高さに驚かされたのを覚えています。

 

自分の場合は「Fate/Zero」(2011)からでしたが、多くのアニメファンはufotableが手掛ける作品のクオリティの高さを前々から認識していたのです。
そしてufotableTVシリーズだけでなく「劇場版」の制作も行っています。アニメファンがTVシリーズの高クオリティを認識している中でのFate関連の劇場版です。

 

その劇場版の興行収入は10億越え(シリーズ3部作合計で50億)で充分にヒットと呼べる成果ですが、今回の「鬼滅の刃」の様な100億越えの大ヒット作とはなっていません。
そこにはやはり「ufotable」以外の3つの要素も関わってくる事となるのです。

 

 

SNS
今回の鬼滅の刃大ヒットを傍から見ていて、やはりブームは作られるものだな、という事を改めて感じました。
ブームがブームを呼び、その結果さらなる大ヒットとなっているのが今回の「鬼滅の刃」フィーバであると考えていますが、これが興行収入300億を突破すればまた「そんなに人気あるなら観てみようかしら」と考える人が出てきてその記録を伸ばす事となるでしょう。

 

その最初のブームのきっかけとなったものがSNSなのですが、特筆すべき最大の特徴はその拡散力となります。

 

SNS以前の時代(TVシリーズエヴァなんかの時代)は、純粋な口コミや雑誌等で徐々に人気が拡がり、ある程度の人気を獲得するとTVで取り上げられ、そこから初めて爆発的に拡がるという流れでした。しかし近年ではSNSの持つその爆発的拡散力であっという間に人気を獲得し、SNS上のトレンドに乗っかった芸能人が作品について語り出し、その流れでTVでも取り上げられ一気に熱狂的盛り上がりとなる流れとなっています。

 

熱しやすく冷めやすいのがブーム・フィーバというものですが、SNSの持つ爆発性・瞬発性を持った拡散力で冷める事なく一気に人気が燃え上がり、その流れ・勢いに上手く乗った結果(それに加え後述する「コロナ禍」という要因)が、史上最速の100億突破へつながったと考えます。

 

(言っても詮無い事ですが、今ほどSNSが普及していなかった時代に興行収入300億を突破した「千と千尋の神隠し」がもし、今のSNS全盛時代に公開されていたとしたら、国際的な賞を受賞した事でさらにバズリ、現在の興行収入第1位の記録308億円を軽く超えたのではと想像されます)

 


そして、またここでも考えないといけないのが他作品との比較なのですが、SNSで盛り上がり、その後TVでも取り上げられた作品が全て同じ様に100億200億越えの大ヒットとなるかといえばそうはなっていません。近年でいえば「カメラを止めるな」がSNSから拡がり大ヒットを記録しましたがその興行収入は30億でした。

 

100億越えの作品となるためにはやはり全世代からの支持が必要で、全世代からの支持を得るためには子供・小学生をターゲットにするのが効果的であり、子供を取り込めれば、子供にとって安くない映画料金は、両親や祖父母をも取り込む事となります。そして子供の支持を得るには実写の作品よりアニメ作品である方がその支持を獲得し易い事は興行収入ランキング上位の作品を見ても明らかでしょう。

 


そして次に語るのが【ジャンプ/少年漫画】という要因であり、他のアニメ作品との比較となります。

 

 

 

【ジャンプ/少年漫画】
ここでは世間一般に充分な人気・認知度があり映画も公開されているアニメ作品「ワンピース」と「名探偵コナン」と比較して語りたいと思います。

 

充分な知名度があるアニメ作品の劇場版ですが、両作品とも1作品の劇場アニメの興行収入は100億越えとはなっていません。
では「鬼滅の刃」との違いは何でしょう。

 

まず挙げられるのは、ヒット分析の4要因として最初に述べた「ufotable」アニメーション制作会社の違いです。
両作品とも劇場版アニメの作画クオリティ、演出の迫力はTVシリーズと比べても当然格段に上がっていますがその作画や演出が話題になる事はありません。
その理由は、観客の期待値、焦点がそこにはないからでしょう。原作者監修のオリジナルストーリであったり、特定のキャラクターをフィーチャーした内容であったりと別ベクトルにあるため気にしないというか、作画や演出に期待していないのでしょう。

 

もしTVシリーズの「ワンピース」「名探偵コナン」を「ufotable」が制作していれば作画演出にも期待があったかと思いますが、実際問題として「ufotable」が制作担当であったとしても、10年20年以上の超長期となるTVシリーズではそのクオリティを維持できないでしょう。

 

鬼滅の刃TVシリーズは全26話(2クール)という終わりが見えていたからこそ全力疾走できたのだと考えます。

 


鬼滅の刃」との違い~次に挙げるのが上述した「漫画連載/アニメ放送」期間の長さの違い、となります。

 

鬼滅の刃TVシリーズの放送終了後、ネットやTV等で取り上げられ爆発的にコミックスの売り上げを伸ばし、映画公開も控える中でジャンプ本誌で連載が終了・完結します。
この「ジャンプ」の判断がまたコミックスの売り上げを伸ばし映画100億突破の起爆剤ともなったと考えています。

 

「ワンピース」や「名探偵コナン」は長期連載/放送の人気作で幅広い年代からの知名度がありますが、コミックス100巻近く出ている~アニメ放送20年以上の作品となると
新規のファン、子供・小学生等はなかなかその一歩が踏み出せないのではと想像されます(実際には新しい子供のファンは存在していて、いざ踏み込んでしまえば全然追いつけるのですけどね…その一歩に躊躇してしまう「長さ」なのです)。

 

対して「鬼滅の刃」はコミックスは全二十数巻、TVシリーズは2クール(26話)と、両作品と比べ「人気作の波に乗る」のに敷居が低い~誰もが新しくファンになり易い「人気作品」であった事がその勢いを加速させたのだろうと考えています。

 

(また、「原作」が自分に合ったタイミングで後追いできる・読み進める事ができる「漫画媒体」というのも良かったのでしょうね(ここは「fate作品」との違いですかね)。コロナ禍で家に引き籠らなければならない中で完結している・完結が決定している・終わりが見えている人気作品の波に乗って「だったらこの機会に漫画読んでみようかしら」と考える人も多かった事でしょう)


そして「鬼滅の刃」との違い~の最後に挙げるのが、「鬼滅の刃」は「少年」が主人公の漫画であるという事です。

 

少年漫画だから当たり前だろうと思われる方もいるかも知れませんが、近年の少年漫画の主人公の多くは「少年」というより、ちょっと頭身が高い「青年」寄りの主人公(歳は14,5もしくはそれ以上)の場合が多いように感じます。

 

「ワンピース」のルフィや「進撃の巨人」のエレン等は「鬼滅の刃」の炭治郎と比べて頭身が高く「青年」寄りの少年主人公となっています。
子供・小学生をファンに取り込もうと思ったらやはり高校生が活躍する漫画より小学生の様な子供・自分たちに近しい存在の主人公が活躍する漫画の方が親しみを覚えるでしょう。

 

この点に関しては「名探偵コナン」は「ワンピース」よりも「鬼滅の刃」に近い作品となっており、その結果が「名探偵コナン」と「ワンピース」の興行収入の差となって表れていると感じます。
(「コナン」の設定は分かり易くて良いですよね。「本当は高校生だけど小学生になっている」という小学生の子供にも「コナンが凄い小学生だ」と納得させている説明・設定が秀逸で、ここが同じく子供探偵の「探偵学園Q」主人公(こちらも頭身高めですが)との違いだと考えています)

 

この「頭身が高くない」「少年」主人公という漫画要素≒環境が子供たちを取り込み、結果、幅広い年代に支持される事になったのだろうなと感じています。

 


と、ここまで比較のために「ワンピース」「名探偵コナン」と「鬼滅の刃」の差異を述べましたが、それは決して作品の内容について優劣を論じている訳でないのは勿論の事、商業的優劣の話でもありません。

 

映画「鬼滅の刃」の興行収入は300億を突破するでしょうが、「ワンピース」「名探偵コナン」のそれぞれの映画累計興行収入は既に300億を超えています。

 

今後「鬼滅の刃」の映画第2作目3作目…が制作される事になっても物語が完結している以上制作本数は有限であり「名探偵コナン」の様に毎年制作される事はないでしょう。
また第2作目以降も今回と同じく300億突破する事は考え難いです。…やはりブーム・フィーバは熱しやすく冷め易いものだろうと考えています。

上記の様な事を考えた場合、映画の累計興行収入は結果的に大して差はないという事になるのではないでしょうか。

 

あくまでここで語っているのは、「史上最速の100億突破」「興行収入300億突破(目前)」のその『勢い』についての分析であり作品自体についての良し悪しではないのです。

 

そしてこの『勢い』の圧力として欠かせないのが4要因の最後の一つ【コロナ禍】です。

 

 

【コロナ禍】
自分と同世代の人間や下の世代は勿論の事、上の世代の人たちも、「今までこんな事はなかった」と語るこの「コロナ禍」、
今年3月の自粛要請に始まり、緊急事態宣言による経済の停滞~テレビや映画、演劇、ライブイベント等あらゆるエンタメの抑制、
その抑圧された溜まりに溜まった思いが、時期的に最高のタイミングで一気に解放された結果が「史上最速の100億突破」「興行収入300億突破(目前)」のその『勢い』につながったと考えています(良くも悪くも皆の気が緩んだ時期・タイミングですね)。

 

おそらく映画公開時期が、1ヶ月早かったらまだ映画館での映画鑑賞に二の足を踏む人も多くこの『勢い』は得られなかったでしょうし、1ヶ月遅くてもダメだった(…感染拡大してきた(2020年11月末~)事でしょう。
(『勢い』を作ったのもコロナ禍であるならその『勢い』を停めるのもコロナ禍というは皮肉なものです)

 


なので例えば、
ufotable
SNS
【ジャンプ/少年漫画】
の3要素同じ条件が重なったとしても【コロナ禍】がなければ、今回の様な「史上最速の100億突破」は無理でしょうし、その「史上最速」の『勢い』がなければ「300億突破」も厳しいでしょう。

 

つまり、ヒットの要因を分析できても同じ結果を得る事は難しいと言えます。
まぁ【コロナ禍】がない場合、「300億突破」を実現しようと思ったら【国際的映画賞受賞】などの別要因が必要となりますね。


コロナ禍の中で「史上最速の100億突破」「興行収入300億突破(目前)」という日本中が盛り上がる話題を提供してくれましたが、今後(コロナ終息後)同じ様な盛り上がりが決して起きないとは考えていません。

 

コロナ終息後、
今制作中の次のジブリ作品が(どんなか全く知りませんが)もし「天空の城ラピュタ」の様な
「少年」が主人公であり、魅力的なヒロインが居て、活劇物であり、美麗な作画、演出で盛り上げ、子供から大人まで楽しめる作品であるならば、100億突破200億突破は達成可能でしょう。
あとは、映画公開までにどれだけ情報公開しSNSで盛り上げられるか(映画宣伝のための前日譚の様なアニメを金ローで流すとか?)
そして、その映像美・演出力で国際的な賞を受賞すれば、
スタジオジブリ】(ジブリ知名度は充分にufotableと置き換える事が出来ると考えます)
SNS
【少年主人公の活劇物
【国際的映画賞受賞】
の4要素で新たに記録を塗り替える事もあり得ると考えています。

 

今の様な鬱屈した状況だからこそ、『次』また盛り上がれる事を期待・未来に希望を持っていたいですね。

 

 


と、いろいろと述べましたがまぁ一般人が適当に書いた事なので、こんな分析は早く破り捨ててしまおう。

 

(2020年12月7日 19:52 MIXI日記投稿分)