漫画「アクタージュ10巻」 ~感想

最近読んだ漫画の感想、
以下、
漫画「アクタージュ 10巻」
の多少のネタバレを含む感想となります。


・「アクタージュ 10巻」(原作:マツキタツヤ、漫画:宇佐崎しろ)
アクタージュ10巻が面白い。特に最後の引き・11巻への引きがもの凄く良い。面白過ぎて何度も読み返しました。

 

羅刹女編」からの新キャラである王賀美のキャラクターが良い!ですね。王賀美の持つキャラクター・俳優をやる上での矜持と羅刹女の物語の絡め方が絶妙だし、そこから主人夜凪へまさしく主役交代していく流れが堪らなく面白く燃える展開となっています。あぁ早く続きが読みたい、11巻発売の5月が待ち遠しいです。

 

原作者のマツキタツヤさんて方はこの漫画で初めて知る名前ですが、こんなすごい構成が出来る新人?が居たんだなぁとそのセンスに感嘆する思いです。


おそらく10巻最後の最終ページの引きの絵の構図も原作者のマツキタツヤさんがネームで指示してるんだろうなという気がしてます。

というのも、絵担当の宇佐崎しろ さんはどうも昔から漫画を描いていたとは思えず、シナリオが書かれただけの原稿からでは漫画経験のない人にあの構図は描けないと感じるからです。
漫画経験がない、というのは自分の勝手な想像ですが、おそらく元々はイラスレーター?一枚絵の人かな?という感じを以前から受けていました。
特に1、2巻辺りはそれが顕著に感じられ、コマの中のキャラクターに「動き」が感じられなかった事から、止め絵・一枚絵は得意だけどキャラクターを動かした事はないのだろうと思った訳です。

 

(話は若干逸れますが、自分がジャンプを買うのは数年に一度くらいです。直近で覚えてるのだとこち亀の最終回掲載号のジャンプを買いました。他はハンター×ハンターが面白かった回の掲載号は買ったりしていました。そんなたま~に買うジャンプに載っていたアクタージュの話で続きが気になっていた事と書店でのコミックス1,2巻の表紙の一枚絵を見た事がこの漫画を読むきっかけでした。なので表紙の一枚絵で人の目を惹きつける絵が描ける、絵の力はある人だと思っています)

 

コミックスを読んでいて、もし絵担当の宇佐崎さんが元々イラスレーターだったのに漫画を嫌々描かされていると感じたら自分がこの漫画を読み続ける事はなかったかもしれませんが、宇佐崎さんがちゃんと「漫画」を描こうとしていると、勉強して努力して「漫画家」になろうとしていると感じられたからこそこの漫画をもっと好きになる事が出来たのかも知れないと思っています。


(同誌掲載の某バレー漫画の人みたいな、いつまで経ってもろくにデッサンも出来ていない人ではないですね。。。たまに買うジャンプでしか知りませんが、同じ人物を描いているはずなのにコマが変わると肩幅が変わっていたり、体形・体格が変わっていたり、バレーをやる高身長(190㎝越え)の体格でそのデッサンはおかしいだろ等々酷いもんです。アニメにする時も大変だったろうなぁとアニメスタッフの苦労が偲ばれます)

 

自分の目が宇佐崎さんの絵に慣れてしまったのでなければ、段々と上手くなっているのが、「漫画」になっているのがコミックスを読んでいて伝わってきます。今回、10巻の最終ページの夜凪の絵もその展開と相まって良い絵でした。そういった漫画家として成長が観れるのも楽しみとなっています。

 

あと、宇佐崎さんの絵というか作中の絵について言わせてもらうと、昔(1、2巻辺り)からモブが描けない人だなと思っていましたが、最近はモブキャラはアシスタントに任せている様ですね。そのアシスタントが描いたと思われるモブキャラの顔がメインキャラと違い過ぎてちょっと違和感があります。


完全に背景としてのモブキャラの顔ならそこまで気になりませんが、主要キャラクターより前面に居るモブキャラの顔だったり、セリフを吐いているモブキャラだとちょっと気になりますね。

まだまだ勉強中・向上中の宇佐崎さんの絵と作品としての成長と、なによりこの先の展開が気になるアクタージュ11巻が早く読みたい!です。

 

 

あとついでに「アクタージュという作品」について、「漫画」は面白いけど「アニメ」にはなって欲しくはないという思いも語っておきます。


音楽や演劇など扱う漫画を人が面白いと思う理由は、読者が自分の頭の中でその音楽を、演技・演出を各人の頭の中で想像する事が出来るから…、その「凄さ・素晴らしさ」を読者の頭の中の無限の想像力に委ねる事が出来ているからだと思っています(もちろんそうさせるための漫画力・演出力が必要な訳ですが)。

 

アクタージュが面白いのも主人公である夜凪の「演技」を読者各人が頭の中でその「凄さ」を想像する事が出来るからこそだと思っています。アニメ化・実写化などにより、実際に声が付いたり、人が「演技」をしていると少し冷めるという感覚が間違いなく生まれます。漫画ファン各人が頭の中で想像している夜凪の演技の「凄さ」を「人の想像力」を、そのままアウトプットして実演できる人(スタッフ・キャスト)なんてまずいないでしょう。


アニメ化・実写化した場合、必ず「想像した凄さ」を下回る、物語の根幹たる「夜凪の凄さ」が伝わらない物が出来上がると確信があります。なので下手にアニメ化して欲しくない、というか絶対やめて欲しいと思っています。
ジャンプで連載しているという事は当然アニメ化も視野に入れて描いていると思うのですが、ファンとして(個人的に)は漫画だけでやっていって欲しいと考えています。


(音楽や演劇物…特に演劇物は(さらに言うなら特別な才能を持っている様な人物を描く場合は特に)映像化に向かないと思っています。ジャンプ作家としてアニメ化・映像化が目標であったのなら、バクマン・秋人(服部編集だったか?)曰く「アニメ化まで考えて作品をつくらないといけなかった」と思います。もちろん無理矢理?アニメ化する事も出来ますがファンにとっては残念な結果になるとしか思えません)

よつばと!」の様にアニメ化しない良作漫画として続いて欲しいと思っています。

 

以上、

次回は最近読んだ
小説「オーバーロード 14巻 滅国の魔女」
の感想について語りたいと思います。


(2020年03月28日22:21mixi日記投稿分)