アニメ「GREAT PRETENDER」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「GREAT PRETENDER」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 

う~ん、ガッカリな作品。一応、作品の評価としては可もなく不可もなくとなります。

Twitterで「GREAT PRETENDER」面白い、というのが流れてきてたのでちょっと期待してたのですが、
その期待の分ちょっとガッカリ…と感じた作品でした。

 

「GREAT PRETENDER」は2クール全23話の作品となりますが、話は
マフィア編、石油王編、画商編、日本-上海マフィア編の大きく4つに分かれたエピソードで構成されています。
詐欺師集団が巨悪相手に大金をだまし取るという痛快?劇ですが、色々ダメなところがあります。
…順に語って行こうと思います。

 

まず、マフィア編ですが、「まず」というかこのマフィア編の構成が他のエピソードを含めた全編通してのダメのおおもとだと考えます。

 

日本一の詐欺師を名乗る主人公エダマメは、国際的詐欺集団の実質トップのローランと出会い、ローランを騙そうとしますが、逆に騙され、ローランが計画するアメリカ・ハリウッドでのマフィア相手の大型詐欺の片棒を担がされる事になります。
まず主人公エダマメが日本でローランを騙そうして逆に騙されるくだり…民家のおばさんや刑事達も皆グルだったという仕掛けに、
「え~?ちょっと何でも有りになってない?仲間何人いるんだよ?」と感じました。(刑事役は現地で雇ったバイトみたいなもんでしたが…)
そしてアメリカに渡ってからも同じ様な展開…FBIも皆グル(詐欺師メンバー)でしたという展開に、「え~ちょっと力技が過ぎるだろ」という感じなのです。
詐欺なんて入念に準備した種や仕掛けが一番重要なはずで、そこに金で雇ったような連中や信頼関係のない仲間を入れるなんて以ての外だと思うのですが…
まずここに「納得」がないのです。金での繋がりの連中なんてそれ以上の金を積まれれば即裏切るって事でしょうに、ねぇ。人数が多くなればなるほど、大所帯になるほど
裏切る輩が出る可能性が高くなるのに、仕掛けが崩壊する危険を考えずなぜ不用意に関係者を増やそうとするのか、それがホントにやり手の詐欺師の考える事なのかと「納得」出来ないのです。
(なんか昔短編ドラマ(世にも奇妙かなんか)で観たのかどうか記憶が定かではないのですが、「村人全員がグル」みたいな話があったように思います。その様な「大掛かり・大所帯」での詐欺・騙しは行き過ぎると何でもありになってしまい、冷めるんですよね…そういうところもこの脚本家は分かってない)


そして、マフィア編の終盤、FBI(役)に撃たれるローランとその仲間…という展開。
視聴者としてはこんな直ぐローラン退場のはずないやろ、と考えていたので死んでないなとは思っていました。
そして案の定、実は生きてました…の展開。まぁここまでは良いのです。
問題はこの「死んだフリ作戦」が以降のエピソードでも使いまわされる事。。。

しかも、日本-上海マフィア編で(同じエピソード中に)2回も使われるのです。
一つはローランの仲間二人が船上で撃たれ海に落ちて死ぬシーン、
次に、主人公自身が刀で斬られて死ぬシーンです。
主人公が斬られるシーンなんかはもう食あたり気味で吐き気がしたほどでしたよ。
ま~た死んだフリかよ、もう飽きたわ、芸がないな(作中でローランの仲間自身もこの様に述べています)、
はいはい死んでいない死んでないと全く驚きがないのです。
それもこれも1話で「死んだフリ」を出しちゃってるから…
最終エピソードとなる日本-上海マフィア編で同じ事をやられても何の新鮮味も驚きもなく、つまらなさ・またかよ!という怒りの感情しか起こらないのです。
本当、構成が下手よね。

 

そして、こういう「騙し・トリック物」作品で意識しないといけないのは
「いかに相手の裏をかくか、驚きの仕掛け」を用意し視聴者を感心・唸らせる事が出来るかだと思うのですが、
この作品にはそれが全くない!のです。カイジライアーゲームなんかを観て感じる「あ~なるほどね、そういう事かよく考えるね、すごいね」みたいな事を感じる事が一つもありませんでした。
この脚本家はこういった作品を書くのに向いてないんじゃないの?
「心理戦、トリック物」は微に入り細を穿つ構成・話作りが必要なのに、話の規模を無駄に大きくし過ぎてガバガバなのが見えてないんじゃないのかなと思います。

 

また、キャラも薄っぺらいんですよね。このキャラにはこういう過去がありました、~のエピソードが薄っぺらいのです、悲しいですよね…だけ終わってしまうエピソードなのです。
過去が語られたキャラのそのエピソードが、今現在どういう心境で詐欺を行なっているか、マフィア相手に命の危険を冒してまで何故行うのか(普通に顔も晒してんのに後日町で見つかったら刺されるでしょ…)に綺麗に繋がってないんですよね。

と、

・「納得」のある構成が出来ていない事
・同じ事との繰り返し(死んだフリ)
・この手の作品で重要な「いかに相手の裏をかくか、驚きの仕掛け」がまったく造れていない事
・キャラクターの魅力のなさ

等々色々とガッカリな作品でした。

主人公には最後、ローランを逆に騙して終わるか、もしくは
独り立ちして「GREAT PRETENDER」になるみたいに終われば良かったのに
結局、ローランのいち部下という感じで終わるだけでした、はぁ…。
(せめて、「嘘食い」の獏と梶の関係みたい成れば良かったのに…、残念です)


以上