アニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」、
ソードアート・オンライン アリシゼーション War of Underworld」(24話+23話=全47話)を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


感想としては、可もなく不可もなくとなります。
分割しての放送形態ではありますが累計すると全47話、とほぼ1年(4クール)を通しての話数が放送された事となります。

 

作画や演出のレベルも安定して高く、各クールでの盛り上がり所も作られていてアニメ作品として全く悪くはないのですが、「1年間の長期シリーズ」という一つの作品として観たとき、キャラクターの設定や配置、シリーズとしての構成に巧さを感じないのです。

 

魔法科高校の劣等生」の作者にも同じ事が言えるのですが、設定は作り込んであるけど面白い物語として構築・構成が出来ていない~設定は良く練られてるけどそれだけ~と感じてしまうのですよね。
(自分はどちらの原作も未読です。アニメを観た感想で述べています)

 

物語の導入~キリトが襲われて入院する流れなんかも「アンダーワールド」へログインさせるための強引な展開と感じ、前編(~24話)では旧メンバーはほとんど出てこない展開で、これはSAOの続編としてやる意味あるのか?もうSAOとは別世界の話を作者がやりたいだけじゃないかとさえ思いました。
後編(25話以降)では旧メンバーも出番がありますが、盛り上がりとしてはちょっと弱い感じ…。そしてキリトが復活するまでがちょっと長く怠く感じました。
キリト復活までが長く怠かった割にはその後の展開にカタルシスを感じるという事もありません。
そして終わり方も「1年間の長期シリーズ」(1年使った長大なシリーズ)の終わりとしては弱いと感じるのです。…しかしこれは【ソードアートオンライン】という作品全体で考えると意味のある終わりだと考えられるのですがね…後述します。

 

(ただ終盤の展開で気になったのが、傭兵部隊のラスボス、中ボスをキリトが間接的にではあるけど殺した様な形になっている事…SAOでのPKの事があるのにまたトラウマにならんのかしら…、キリトとの戦いの勝敗とは別のところでシステムに殺されるという形の方が良かったのでは…と気になりました)

 

あと、本作品の本編の内容以外のところで好きくないところがあります。
それは…、効果音がうるさい。
音響監督・岩浪美和さんだとすぐ分かる。fateの時から気になってた耳障りな効果音…。
BGMを殺す、声の演技を殺す効果音…特に爆発音。前面に出過ぎる効果音…あまり好きくないのよね…。
あと、剣と剣ががぶつかり合う音もなんか違和感。中が空洞の金属の棒で叩き合ってる様な変な音。もしかしたらリアルな音なのかもしれないけど「リアル」より「カッコいい」「それっぽい」エンタメが欲しいのよね…。

SHIROBAKOアニメ内の音響監督役の稲浪役モデルなので嫌いたくないけど…苦手。
でもまぁ、誰が音響監督かすぐに分かるのは良くも悪くも個性を感じるけどね。。。

 


と、以上がアニメ「ソードアート・オンライン アリシゼーション」の感想となります。
以下は、原作未読の自分が考える【ソードアートオンライン】の物語全体について作者の構想についての妄想となります。

 


アインクラッド編では、主人公・キリトはあくまで「ゲーム」をクリアした英雄「ゲームプレイヤー」でしたが、
ALO編で現実に帰還してからは政府役人とも交流を持っている事、「ゲームスキル」だけでなく工学的スキルも高い事が描かれ「ゲーム」以外にも「世界」を拡げて行きます。
そして、今回のアンダーワールド編では、防衛省や米国・米軍との思惑にも巻き込まれ、世界初のボトムアップ型AIの成功、公表に大きく関わる事となります。

 

シリーズを重ねる毎に話の規模が大きくなって行く…まるでドラゴンボールのパワーインフレの様な、この後また話を大きくしなきゃなんないというか絶対大きくなる、どうすんだろう…
最後はキリトが現実世界で神にでもならんと収まらんぞというインフレ感があります。

 

「~アリシゼーション」を観始めた当初は、今後の展開はボトムアップ型AIの軍事利用~それに巻き込まれる主人公・キリト…の様なヤバい・黒い展開になるのかと思っていたのですが、
アンダーワールド編の終わりでは世界初のボトムアップ型AIの成功・公表という展開になり、AIに人権を~という話になります。

 

あれ?そんな展開になるんだと思ったあと考えたのが、シリーズを通してその影が見え隠れする「茅場晶彦」の行動になります。
アインクラッド編を観て感じたのは、「茅場晶彦」が何か目的があって行動してるのか知らんけど、やった事は史上最大の殺人犯だよな…と1stシリーズの時から気になっていました。
(デスノートのキラも真っ青な4000人の大量殺人。デスノートのニアに言わせればどんなお題目を並べたところで「クレイジーな大量殺人犯」という事です)


今回の「AIに人権を~」というのが「茅場晶彦」の『目的』だとしたら【ソードアートオンライン】のシリーズ全てがつながっているという作者の構想なのかもと思えてきたのです。


・「~アリシゼーション」(アンダーワールド編)で人と変わらないAIの存在を世界へ公表、人権を認めさせる(訴えを起こす)~
・しかし、それだけでは訴える力として弱い…現実世界(リアルワールド)の人々も簡単には受け入れられない~
・そして、アンダーワールド編や劇場版オーディナル・スケールで描かれる人の記憶から再構成される人格~
・SAO(アインクラッド編の)サーバが活きている事(アンダーワールド編で描写があったと思います)

 

これらの事から、「茅場晶彦」の『目的』は
SAOに保持されているデータ・記憶から人格を再構成しAIとしてアインクラッド編で死んだ4000人を復活させる事ではないか…
SAO(アインクラッド編)で死んだ4000人の人間の肉体は当然火葬されてもうない故にアンダーワールドで生きて行くしかない…
しかし、現実世界(リアルワールド)に残された遺族は、失くした家族そのものの様に振舞うAIを見て、それでも構わない・また会える話せる事が嬉しいと、AIの存在、人権を認める事に賛同する(本物とは認めないという遺族もあるでしょうが)、

 

という頭ではなく心・感情に訴える事でAIに人権を認めさせようとしている計画ではないかと考えました(そしてキリト(200歳のコピーの方)はアンダーワールドで神となる…みたいな)。
(…そして「茅場晶彦」の『目的』はAIに人権を認めさせた後の世界にあるのかも知れません)

 

まぁ何にしても「茅場晶彦」が大量殺人犯なのは変わらないのですがね…

 

と、原作未読者が適当に妄想してみましたが、全てのシリーズがある一つの『目的』のために創られている・全てが繋がっているという構想だとしたらこの作者すげえなぁと感じるのでした。

 

 

以上