アニメ「SSSS.DYNAZENON」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「SSSS.DYNAZENON」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。
(「SSSS.GRIDMAN」のネタバレも含みます)


このアニメ作品を真に楽しむためには、正しく理解するためには
前作or前編orPart1となる「SSSS.GRIDMAN」を視聴しておく必要があります。

 

それは、「前作の登場人物が登場する」から、という話ではなく、
「前作で明かされた設定と同じである」という理由から、今作ではその説明が省かれている点があるからです。


前作「SSSS.GRIDMAN」の戦いの舞台となるの場所は、実は新条アカネの創り出した世界、心の中の世界である事が終盤明かされます。心象世界であるが故に通常ではあり得ない不思議な事が色々と起こり得る世界となっています。
怪獣が暴れて破壊された街がすぐに復元したり、翌日も普通に学校・授業があったりと現実ではありえない事が起きています。

そして、これは今作「SSSS.DYNAZENON」でも同じであり、街で怪獣が暴れようが普通にバイトや仕事が行われ、学校・授業も普通に行われています。


これらの事から前作「SSSS.GRIDMAN」の視聴者は、この「SSSS.DYNAZENON」の世界も「誰かの心の中の世界」である事を想像できるようになっています。
しかし、「SSSS.DYNAZENON」を単発で観た人にとっては、「怪獣とは何なのか?」(ウルトラマンの怪獣の様に宇宙からやってくるのか?どの様にして現れるのか?)
や「ダイナゼノンとは何なのか?」、「怪獣が暴れ街が破壊されてるのに通常営業なのは何故?」…これらの事は最後まで観ても説明される事はありませんでした。
その理由は、前作・前編・Part1となる「SSSS.GRIDMAN」で説明している事と「基本的には同じ」であるからにほかなりません。


「SSSS.DYNAZENON」だけ観ても分からない造りは不親切・優しくないとも思えますが、前後編の後編だけ観ても分かるように作れ、というのは酷でしょう。
そういう事からもこの「SSSS.DYNAZENON」を真に楽しむため・正しく理解するためには前編となる「SSSS.GRIDMAN」を観ておく必要があるのです。

(一見、「SSSS.DYNAZENON」と「SSSS.GRIDMAN」は別作品・別タイトルの様に思えますがもしかしたら「SSSS.」が本タイトルで
以降の「DYNAZENON」や「GRIDMAN」は副題みたいな(ⅠやⅡの様な)もの、という扱いのなのかもしれませんね)


以下、「SSSS.GRIDMAN」の視聴前提で、「SSSS.DYNAZENON」感想を語りたいと思います。


まず第1話を観始めて思ったのは、「ヒロイン・南夢芽は新条アカネポジかな」でした。
が、DYNAZENONに乗り込んだので、「あれ?正義側なんだ」と驚きました。
その後は「じゃあ、『ちせ』が新条アカネのポジションかな」とも考えたのですが、これも違う様で結局最後まで観ても新条アカネポジのキャラは居ませんでした(強いてあげるならシズムかな?)。

 

「SSSS.DYNAZENON」には「SSSS.GRIDMAN」の新条アカネの様な創造主ポジションのキャラが居ない事…、
それは「SSSS.GRIDMANの世界と基本的には同じ」である(心象世界である)けれども、
「SSSS.DYNAZENONの世界は『誰か一人の世界』ではなく『複数人で構成された世界』」であると理解・認識しています。

 

「SSSS.DYNAZENONの世界を構築している人々」はおそらく「現実世界で何らかの悩み・心の傷を持っている人々」なのだと考えています。
(悩みを持たない人間などまぁ居ないのでおそらくある街にいるほぼ全ての人々の悩み・心の傷により構成された世界ですね)

その心象世界に現れる「怪獣」は悩みに対する「鬱憤や自暴自棄」といったマイナス感情の発露・顕現であり、
「DYNAZENON」は「向上心、前進、変革、自浄作用」といったプラス方向の感情の顕現だと考えています。
(人によって「悩み」の大小や「それに立ち向かう力・想いの強さ」の大小があり、その違いが主人公側か敵側かモブかの違いなのでしょうね)

 

なので、現実世界での悩みが解消したら、怪獣も居なくなりあの世界からも居なくなる・存在がなくなるのでしょうね。
それはたとえば、主人公?蓬(よもぎ)のバイト先の姉ちゃんみたいに…。


おそらくバイト姉ちゃんは現実世界で旦那との関係に悩んでいたのでしょうね。同じく旦那も悩んでいたので「DYNAZENON」の世界に現れる事になります。
そして7話か8話辺り?で旦那が危ういところを何とか一命を取り留める、みたいな話があり、そこで現実世界でも雨降って地固まる…様な事があったのでしょう、
二人はお互いを見つめ直し悩みが解消された事で「DYNAZENON」の世界から退場する事となります(バイト姉ちゃんの最後は、姿はなく電話で声のみの登場となります)。

悩みを解消した「誰か」、変わろうと決意した「誰か」は「DYNAZENON」の世界から退場・卒業する事になります。


主人公・蓬は母親の再婚話に悩んでいたが何とか折り合いをつけたのでしょうね…それか夢芽の存在が蓬を前向きに変えたのか…
ヒロイン・夢芽は、姉の死に向き合って何とか納得したのか、
引き籠りニートは、引き籠りから脱却し働く事を決意し、
ちせは、いじめ?不登校に向き合う、立ち向かおうとしている、
という事が描かれ「DYNAZENON」の世界から退場・卒業する様子が描かれ最終回となります。


基本的には良い、と思う構成ですが(「SSSS.GRIDMAN」視聴の前提)、
ヒロインの姉のいじめ話…いじめが本当にあったのか/なかったのか?事故なのか自殺なのか(おそらくいじめはあったのでしょうが事故なのでしょうね)のミステリーみたいな要素要らんだろ…
姉との確執、すれ違いがありそこを埋めるという話で良かったんじゃないの?と思うのですが…。
また、引き籠りニートの大金拾う過去話いらんやろ…そんな特殊エピソード挿入されても…。
キャラを深堀する話になる訳でもなく本編・本筋の物語と巧く絡むわけでもなく無駄に話を全体を薄くする要素にしかならんと思うのですが、
というところがちょっと気になりました。


あと気になったのは、街のビルのCG…。怪獣が暴れて倒壊するビルが段ボールか発泡スチロールみたいにコロコロッと転がるのよね。構造物の重さが全く感じられない。

もしかしたら…特撮のビルのジオラマをアニメで再現しての、「ワザと・敢えて」の演出なのかもしれないけど。。。ちょっと気になりました。


作品全体の感想としては、可もなく不可もなくとなります。


以上