アニメ「かげきしょうじょ!!」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「かげきしょうじょ!!」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


昨今では珍しい?まじめな演劇物作品です。

劇物のパターンというと、学校の部活動やサークル活動として主人公が演劇と出会うパターンと
演劇活動の経験のない素人主人公がいきなりその潜在的な才能を見初められてプロの世界でのし上がっていくパターンなどがありますが、
この作品では、学校という学びの場でありながらも演劇を生業とする事が決まっている少女達の成長、覚悟の物語が描かれています。


まずこの舞台設定が良いですね。「演技の天才」みたいな才能を持った主人公ではなくて、「学校」という場で演技やその他諸々を学びながら
少しずつ成長していく物語、そして演劇を学ぶ事が決して趣味などではなく職業・生業に通じているというのが分かっているのがまた良いのです。
そしてプロの演劇の道に繋がっているこの「演劇学校」の存在が決して荒唐無稽なものではなく宝塚音楽学校を基にしているためリアルに受け入れられる…
この「宝塚音楽学校」設定が素晴らしいですよね。
(主人公が「演技の天才」設定ではないのが良いんですよね。「北島マヤ」や「夜凪景」を演じれる人は居ませんからね)

 

で、物語の導入・第1話の描き方。
さすが漫画原作(集英社白泉社)。キャラ語り・キャラ説明、場面転換、構図、キャラの登場のさせ方・見せ方等々…無駄な所がなく
全てが計算された造りとなっています。一人の作者が作ったある意味完成系の作品「漫画」原作の映像化はホントそれだけで面白いですね。
まぁもちろん原作漫画の作者の力量あってこそですが。

 

そしてこの漫画、作者の特筆すべきはキャラを創るのが巧い、ですね。主要キャラは主人公含めて7人ですが各キャラの性格であったり、背景設定であったり、細かなエピソードであったり、その心情描写であったりが納得があり巧いなぁと感じます。


この1クール内では「当番・紹介回」のみ(一部キャラは「当番・紹介回」と同時に掘り下げも行われてる感じ)が描かれた感じですが、作者の中には今後各キャラの深掘り回が予定されてるだろうなというのが感じられるくらいにキャラ造りが成されているの分かります。


物語の中心となる主役・さらさのキャラは良いですね。
(どうでも良いですが、主人公のキャラクターは「カレイドスター」主人公のソラの感じがありますね(声の感じも何となく広橋さん味がある))
色々と破天荒ではあるけれど決して何も考えていない訳ではない…それどころか独りで悶々と悩んでる…モノローグで色々と思考を巡らしていたり、大事な話を実は裏で聞いていたら空気読んで黙って独り考え込んだり…とそのキャラの描き方がやはり巧いのです。
(あと歌舞伎要素の取り入れ方も面白い)

 

ただ、主要7人以外のクラスメイトについては描かれてないんですけどね…だから最終話のオーディション結果でロミオ役誰よ、なんでこんなキャラも分からない様なクラスメイトに主要キャラ敗けてんだろとはなるのですが…。
(これが、ワールドトリガーの作者・芦原さんであれば主要キャラ以外も万遍なくキャラクターを描いてるんですよね、とそのキャラ造り・描き方に改めて唸らされます…まぁ斉木さんは主要キャラに絞ってる分、一人ひとりのキャラをより深く描かれているんですよね)
原作読めばなんかロミオ役の娘にもフォローがあるのかしら…。


あと、キャラクターは良いけどお話そのものは盛り上げがちょっと弱いかなと感じる所はありますね。
そこがちょっと残念ポイントではありますが、それ以外はアニメーションとしても
画も細かい所の演出も良く面白い作品でした。

予科生編、本科生編、卒業してのプロ編とまだまだ続くであろう物語の続きが楽しみです…多分原作買います。


作品の評価としては、「良」寄りの可もなく不可もなくとなります。

 

 

あと、どうでも良い事ですが、当作品の集英社から白泉社への移籍は鳥嶋さんの繋がりがあったから起きた事なのかね?だとしたらなんか面白い。。。

 

以上