アニメ「シャングリラ・フロンティア」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「シャングリラ・フロンティア」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


漫画「シャングリラ・フロンティア ~感想」で語っている様に原作は既読です。


内容についてはそこで語っている通りで、主人公の「クソゲーハンター」設定が活きていないと感じるのよね(タイトル/副題にもなっているけど)。
主人公が類まれなゲームセンス、超絶技巧を持っているプレイヤーというのは良い(納得する)のですが、ただゲームセンス/テクニックが凄いというプレイヤーというだけなら別に「クソゲーハンター」ではなくてプロゲーマーで普通に居るでしょ、というお話。実際に作中にプロゲーマーが登場しますが主人公と比べても遜色ないゲームスキルを持っているのですよね。
クソゲーハンター」であるが故の主人公の強みということも描かれないのでなんか死に設定になってる感じ。

 

 

この原因はおそらく作者の創作のやり方に問題があるというか物語創作の順序によるものかなと考えています。
作中の「シャングリラ・フロンティア」というゲームについて作者は細かいところまで色々と考えてあると思われます(コミックスのおまけページ的な解説を見ても感じる)。
おそらくこの作者はまずそういう「設定」から創作を始めているのでしょうね。主人公やその他のキャラなどは後から考えられている…細かく作った「設定」の上にキャラが後から乗っけられていると感じられるのですよね。
「主人公が追い詰められた局面で華麗に逆転する」だったり「主人公が覚醒して熱く燃える展開が繰り広げられる」だったり…の様な物語として見ていて(読んでいて)燃えるそんなシーンを描きたい、という出発点ではなく「世界観」、「設定」等から詳細が固められその後に「物語」が構築されるので「お話としての盛り上がり」にイマイチ欠ける・キャラがお話に乗っていない・キャラとストーリーが上手く絡んでいないと感じるのですよね。

(これが例えば「オーバーロード」なんかは世界観の設定、作り込みも凄くてまたキャラクターと絡めたストーリー展開、謎の散りばめ方、今後の展開、強敵の予感の魅せ方が巧いのですよね)

 


「シャングリラ・フロンティア」という世界設定の後に作られた主人公キャラだと思うから「クソゲーハンター」設定も上手く活きていないのでしょうね。
クソゲーハンター」だからこその閃き・発想というものが感じられないのですよね。
例えば終盤のインベントリアの活用法についても…あれって普通に誰でも思いつくんじゃねえの?と感じるのですよね(クソゲーハンターだからこその閃きではないですよね)。ちょっと頭の回るプレイヤーなら誰でも思いつきそうなことだと感じる。
また戦闘中のインベントリアの使用についてこの後も運営からの修正が入っていない所を見ると運営側も最初から想定内の(許容している)使用法だということですよね。

 

ゲームセンス・スキル・テクニックというプロゲーマーも持っている能力とは違う「クソゲーハンター」故の能力というものを魅せて欲しいのですが…残念ながら描かれてないのですよね。

 

 


また「設定」の後に乗っけられた物語なのでストーリー展開、魅せ方もあまり上手いと思えないのですよ。
主人公が超絶プレイテクニックを持っていることは描かれるのですがそれがどれほどのものか・一般人プレイヤーとの比較がないので良く分からんのですよね(いや、凄いんだろうなというのはなんとなく分かるのですが一般プレイヤーと比べて何が出来て何が出来ないみたいな比較がないのが良く分からない、魅せ方が上手くないと感じる)。
うぇざえもん戦なんかもこの作品の一番の山場だったとは思うのですが…、ストーリー自体は盛り上がってないのよね…。

 

うぇざえもん編ついでに言うと、鉛筆さんのキャラもよう分からんくなってるのよね。なんかゲームキャラに入れ込んでいるみたいなお話・設定…ものすっごく薄っぺらい…全く感情移入や共感が出来なかった(今でもよう分からん)。
ホントキャラクターとストーリーの絡ませ方が上手くないのよね、全く盛り上がらん。。。

 


俺がコミックスを買い始めた当時(5、6巻くらいまで出ていた)、「マガジン史上初の読者アンケート4冠を達成した」という大々的な触れ込みだったので期待して読んだのですが全く肩透かしのガッカリ感だったのですよね。
これから先が面白くなるから…という声を聴いたので一応今もコミックスは買い続けているのですよね…。まぁ確かに今やってる格闘ゲーム大会編は面白くはあるのですがこれって本編「シャングリラ・フロンティア」ゲーム外のお話ですからね。
本編については未だに面白くなっているとは感じないのですが…、どうだろ、もうそろそろ切り時かもと考えている。。。

 

 

思うにこれは(本編である「シャングリラ・フロンティア」のゲーム本編の物語内容が面白くなくてゲーム大会編が面白くなっている理由は…)、「敵」の問題だと考えます。

「シャングリラ・フロンティア」のゲーム本編上の「敵」ってNPCなんですよね。AIを積んでる設定みたいですがそれでも所詮NPC・人間じゃない、のですよね。文字通り人間味がない・無味乾燥な機械/AI相手では主人公の「敵」として魅力的に描けるはずもないのですよね。

対してゲーム大会編では「敵」が人間でなのですよね。人間的な感情も描く事で共感・好感を感じられ魅力的なというかか機械/AIではない深みが生まれる・感じられる事で面白くなるのでしょうね。

 

 


ちょっと漫画感想が入ってお話が逸れてしまいましたね。

 

別に酷く貶めすほど・特別悪い所があったりする訳でもないのですが、世間の評判ほど良くもない(褒める所もない)感じで
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上