アニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ようこそ実力至上主義の教室へ 3rd Season」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


~ 2nd Season ~感想」でも語っていますが、この作品って「カイジ」や「ライアーゲーム」、「嘘喰い」の様な頭脳戦・心理戦というものが全く期待できない作品なのですよね。


ゲーム・試験のルールが示されそのルールの中で如何に相手を出し抜くか、必勝法をいち早く見つけるか、ルールの穴を見つけそこを突くか…、そこに驚き/感心を受けて面白さに繋がると思うのですが…、、、この作品にはそれがないのですよ。。。

 

「俺だったらこうする」という考えを作者がさらに超えてきて驚きと感心を与えて欲しいのに、そこに到達することさえない、予想を下回る(はるかに下の領域/段階で止まった)低レベルな答えがこの作品では返ってくることになっているのですよね。
(俺が想定する解法/必勝法が50点だとすると、70点80点の解法を見せて貰わないと感心・納得することがないのですが、この作品は30点の解法を返してくる…そんな感じなのですよね)

 


例えば、中盤で起きたクラス内投票について。
各人が賞賛票と批判票を投じて、賞賛票獲得1位(首位)に退学回避のプロテクトポイントが与えられる、批判票獲得1位(最下位)が退学処分になるというルール(賞賛票と批判票は互いに干渉する…賞賛票:+1と批判票:-1で±0となる)。
さらに票数をコントロールして±0とし最下位を出さない様にしたとしても、首位と最下位が出るまでクラス内投票が続けられるので必ず退学者を出すルールとなっています。

 


このルールを聞いた時に俺が考えた解法(誰も退学処分にならずに試験を終える方法)は…、まず首位(賞賛票最多取得者)のみを決めて(プロテクトポイントを獲得する)、最下位を確定させない様に票数をコントロールすることで、首位と最下位の両方が決定しない事で再試験を実施させてその再試験において前回試験でのプロテクトポイント獲得者を最下位にすることでポイント消費なし・痛み/損失なしに誰も退学者を出さず試験を終える事が出来るなと考えたのですよね。
(まぁこれは前提として「首位」というのが賞賛票最多取得者、「最下位」というのが批判票最多取得者という前提であるのですがね。
もし批判票を賞賛票で相殺して±0として批判票最多取得者を0人としたとしても「首位」以外を「最下位」扱いするというのなら成り立たないのですがね…まぁその場合でも抜け道があるのですが後述します)

 

また更に上述した方法が有効ならば、「最下位が出るまでクラス内投票が続けられる」というのを逆手に取ってクラスメイト一人ずつ順繰りに首位にしてプロテクトポイントをクラス全員に獲得させることが出来て今後の展開も有利に進めることが出来るという盛り上がりが作れると考えたのですがね。
(他のクラスからは、誰も退学者を出さない様にと悪あがきしてるなぁと思わせておいて一人また一人とプロテクトポイント獲得者を増やしていく様子を見てその手があったか、しかし他クラスはもう首位と最下位確定済みで試験終了して他クラスが悔しがる、みたいな展開を期待してた)

 

いやね、もし上記の方法が使えないというのならば「首位と最下位が両方が決定されないとプロテクトポイントは付与されない」や「最下位というのは批判票最多取得者の意ではなくポイントとして集計した結果の最低得点者…(「首位」以外が「最下位」(批判票が相殺されて±0となったとしても「首位ではない=最下位」)扱いとなるパターン)」などの細かいルールまでが明示されていれば納得するのですが、ないからね。

(まぁ、もし「最下位というのはポイントとして集計した結果の最低得点者」とした場合でもそれはそれでルールの抜け穴があります。もし「最低得点者を最下位とする」ルールであれば票数をコントロールしてクラス全員を±0とした場合「クラス全員を最下位とする」ことになると考えるのですがそれは同時に「クラス全員を首位」ということにもなる解釈なのですよね。そして、事前のルールとして「最下位が二人以上出た場合、決選投票が行われそれでも決まらない場合は学園側が退学者を決める(首位の場合も同様)」というルールがあるのでそちらへ移行すると考えるのですが、最下位と首位の決選投票が別々で行われるということを利用して最下位と首位が同一人物になる様に票数をコントロールすれば同じこと(プロテクトポイント獲得者と退学者を同一人物にする)が出来ますね)

 

もしくは登場人物の誰かが俺が考えた上記方法を作中で提案して「それはNG」だと作中で明確に否定する、みたいなやり取りを描いて欲しいと思う訳なのですよ。
作中で誰も何も疑問に思わず提案すらせず…というルールの穴を埋めるというか詰めるというか読者(視聴者)の先回りをして作者が気を回して描くということが出来ていない(おそらく作者自身気付いていないから出来ていないのでしょうが)のが問題なのですよね。

読者(視聴者)が「こうすればイケんじゃないの?」という考えを抱く事を先回りして読んで、作中のキャラに読者(視聴者)が考えるであろう案を提案させ作中で「それはダメだよ」という提示を作者がしなければいけないのにそれが出来ていない…、これが先に例に挙げた「カイジ」や「ライアーゲーム」、「嘘喰い」などの作品では作中のモブキャラであったりサブキャラ、2番手キャラだったりに提案させて作者が回答を提示するということが出来ているのだけど…この作品は残念ながら…、という感じなのよね。

 

 

 

あと、このクラス内投票編で付け加えるなら…、他クラスへの賞賛票というシステム。
なんだよそれ…意味が分からん。どういう意図で設置されてんだそのシステム…。
もう最初から主人公や元Cクラスのボスの長髪不良キャラを救うための取って付けた様なルールにしか見えないのがダメというか納得がないのですよね。

 

 


また次の選抜種目試験についても。
俺はこの試験の解法のポイントは、「一度競技に出場した人間はクラス内全員が出場してからでないと次の参戦が出来ない」というルールを如何に抜けるかにあると考えたのですよね。
スペックが高い人間を如何に複数回使い勝負を有利に運ぶかがカギだと考えていたのですよね。
なので、大人数参加型の競技を選択するか、また大人参加型の競技というだけでは相手クラスにも同じ状況を与えることになるので如何に相手に感づかれずに補欠要員と交代を行い選手を消費する(クラス全員を回す)ことが勝負を運ぶことがポイントになるのかなと想像していました。
しかし、いざ試験が始まるとほとんどの競技はダイジェストで語られるだけ…、俺が想像した様な「スペックが高い人間を如何に複数回使い勝負を有利に運ぶか」なんてやり取りは全く行われませんでした。

 

ホントこういう所が、俺の予想を・想像を下回る(はるかに下の領域/段階で止まった)低レベルな答えが返ってくる、最低でも50点の解答が欲しいのに30点の解答が返ってくる、と感じる訳なのですよね。。。
以前の感想でも語ったのですが、物語を盛り上げるための試験/競技の内容を考え出す事やそれを見事に攻略してみせ読者(視聴者)を感心させる様な物語展開を考えることが出来ない・考えるだけの能力がない作者はこういう(頭脳戦・心理戦)系の作品創ろうとしちゃダメだよね。
作品のメインとなる柱に芯が・納得がなくなるのよ…残念。

 

 


最後に、終盤に3年生の卒業について。
最初、如何にも強キャラ感バリバリで出てきたヒロイン兄のキャラ。結局最後まで直接対決して(個人/プライベートではなくクラスとして)打ち負かす、ということなく卒業/退場してしまう…、なんだよその構成、下手か!という意味の分からん構成、納得のないキャラ配置なのですよね。
ろくに使わない、活用できないキャラならば最初から配置すんなよ、設定するなよとそもそもの物語構成、キャラ設定・配置が出来ていない…先の展開を見据えた構成が出来ていない、考えていないで描いちゃう作者が残念なのですよね。

 

 

 

と、作品の芯となるべき頭脳戦・心理戦の内容がボロボロのグラグラで、尚且つ先を見据えた構成、設定、配置も出来ていないという残念な作品でしたね。
まぁ観ていてイライラするほど酷くはないので
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 


以上