アニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「ワンダーエッグ・プライオリティ」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


第1話を観て思ったのは、この作品はイジメを扱った社会派アニメなのかな?でした。
しかし、観進めていくと、イジメに限らずどうやら少女の自殺という括りらしいです。

 

うーん…、色々な問題を詰め込むより、イジメで統一させるなり、一つ一つのテーマをじっくり丁寧に深掘りして描くなりした方が良かったんじゃないのかなと思いました。

 

その内容、描き方、解決法?は微妙な感じを受けましたし。。。

 

主人公達は問題を抱える少女たちの心象を具象化した様な世界で少女たちの「敵」とバトルしこれを倒す事で解決?する様なのですが…、これは現実世界ではどういう解決になってんだろう?現実の「敵」には何か変化が起こってんの?解決になってんの?
とよう分からんのです。なんか【「解決」の形】を取り敢えず視聴者に見せるためだけの取って付けたバトルアクション要素が自分にはあまり受け付けられませんでした。

 

そして、そもそも主人公達の目的が「???」、納得がないのです。
主人公達に近しい少女(友達なり、妹なりetc)達の自殺をなかった事にする?生き返らせるのが目的の様ですが、観ている側としてはほんとにそんな事できんの?普通に考えたら死んだ人間が生き返るなんてあり得ないでしょう…、主人公達は何故疑問に思わず受け入れてんの?(友達、妹etcの死に関わっている負い目からその辺りは自分達自身ではわからなくなってる、敢えて見ない・考えないように努めているという事なのかも知れませんが)
と納得がないのです。これがもし、助けようとしている少女たちが皆、昏睡状態とかであればまだ分からんでもないけど、おそらくそうじゃない…
死後何か月も経っている様子で生き返らせるなんて事が可能なのかはなはだ疑問なのですが、その辺り詳しくは語られず視聴者の当然の疑問が置き去りのままで進められる話の展開に「納得」がない、その造りがダメなのです。

 

そして、終盤の展開。
生き返らせる事を成し遂げた?少女たちの前に現れる昆虫少女と終盤で急に語られるAI少女の話。え?なにその急展開?
何の脈絡もなく急に出てくるのね。ヤバいAI少女の存在が急に語られますが、そんなん急に言われても…
悪もん作ってそれ倒して終わりにしたいがために取って付けた様な展開にちょっと自分は受け付けられない。
ドラマじゃ人気脚本家か知らんけど野島伸司ダメだな、合わないわこの人。。。という感じです。


そしてTVシリーズ終了後に放送された特別編…。
1時間ありましたが、前半は総集編で実質30分となります。
30分でAI少女フリルと昆虫少女の話、解決すんのか?と不安になっていたら案の定、解決しないまま終わりやがりましたよ。
わざわざ特別編まで設けてなんだその構成、アホか。野島伸司駄目だなと改めて呆れたのでした。

 

また、この特別編の中で生き返った少女たちのその後が描かれていますが、何やらパラレルワールド設定みたいです。
主人公達と出会わなかった世界線の(自殺した)少女たちが普通に生きているだけ…死から復活したという事ではなく、主人公達が別の世界線へ移動しただけという話みたいです。
いいの?野島伸司、その設定で?めちゃめちゃになるよ?
天才タマゴ人間の二人が全ての元凶のAI少女や自殺した少女たちの心に干渉できるワンダーエッグを開発したようですが、
「AI少女やワンダーエッグの開発」は物語の起点となる設定・導入という事でまぁ納得、というか飲み込みますが、
そのワンダーエッグをクリアした結果のパラレルワールド移行っておかしいだろ?そんなシステム創り出したの?あのタマゴ人間の二人は?
天才どころの騒ぎじゃないと思うが…。そんな何でも有りみたいな天才だったら、その頭脳で主人公少女達を巻き込まずに自殺少女を助けてやれよ…何でもアリの天才設定ならできるでしょ、やれない理由は何よ?
と「納得」がなくなるのです。
(まぁパラレルワールド移動は「現実」ではなく、実はワンダーエッグを使った主人公達は、ワンダーエッグを使った影響で現実世界では昏睡状態で皆で同じ夢を見ているだけ…みたいな、救いも何もない設定と考える事も出来るのですが…)


いずれにしても、特別編までやって最後まで綺麗に解決しない事、「納得」がない造りである事・エンタメ・アニメーションとして構成できていない脚本は好きになれず、

画は綺麗だったけど、お話が残念で、作品全体の感想としては、可もなく不可もなくとなります。

 

以上

 

あと、評価と全然関係ないところで気になったのが
主人公の声、諸星すみれさんだと思ったら違って驚いた。めっちゃ似てるな、ただそれだけ…。

そして、またまた人間役をやらせてもらえなかった大谷育江さんでした。