録り貯めしていたアニメ「ワールドトリガー」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。
ここ最近(4~5年内)でアニメ化されたジャンプ作品の中で一番面白いですね。
アニメが面白かったんで観終わってすぐにコミックス全巻買い揃えましたよ。
それほど原作がシッカリ作ってあり面白いのと、アニメが原作の良さを最高に上手く引き出し制作されています。
具体的に述べると、
まずやはり、原作者・葦原さんのトリガーの設定やボーダーという組織の設定造り、そしてキャラクターとストーリーの構成の巧さが素晴らしいですね。
作品造りにおいて自分が一番重要と考えている「世界観やキャラクターの設定、ストーリー構成」にシッカリ「納得」が作ってあるのが良いです。
コミックス読んでみると原作者の葦原さんはおそらく連載始まる前からかなり細かくトリガーやボーダーの設定について作り込んでいる様に思えます。
その設定の作り込みが物語に「説得力・納得」を産み作品を深く、面白くするんですよね。
そしてなにより特筆すべきなのは葦原さんの描く集団戦・組織戦の巧さですね。
設定の作り込みが上手いだけの作家ならチラホラいますが、その設定とキャラクターやストーリーを上手く絡めた構成が出来る人なんてそうそういないのですよ。
葦原さんはそれが上手い!良いな~好きな作家だなぁと感嘆する思いです。
コミックスのカバー裏のキャラクターの設定表?みたいな作者プチコメントを見てみると、主役級でもないサブサブキャラ(A級トップランカーでもないB級下位隊員)みたいなボーダー隊員一人一人についてまで書いてあり、キャラを結構作り込んであるんだなと感じます。もしかしたら荒木さんの様にキャラの身上調査書を一人一人作ってるのかなとも思えます。
そしてこういうキャラクターをただ設定するだけではなくて組織戦として上手く使って描いているんですよね。
たとえば、集団戦・組織戦が上手く描けていない他の作品では、序盤・中盤で主人公達の壁になる中位ランカーが居たとしても、主人公達が壁を乗り越えた後はその中位ランカー達はもはや空気となってしまいます。物語終盤の成長した主人公達について行けるのはトップランカーのみとなり、ほぼ集団戦・組織戦として意味をなさない描かれ方となってしまうのです。
そういった作品が多い中、葦原さんの描くボーダーという組織の集団戦・組織戦はB級隊員であってもA級をサポートする・組織として連携する、B級はB級の役割を果たすといった描かれ方がされていてしっかり組織として機能しているのです。敵の大将クラスには歯が立たないB級隊員で、大将クラスにはA級トップランカーが当たる事になりますが、B級隊員は何もしない訳ではなく・役に立たない訳ではなく、しっかり「組織」として戦いA級隊員のサポートをする描き方が良いのです。
そしてこの組織戦を描くための下地になっているのがボーダー内での「ランク戦(模擬戦)」であり各隊員のキャラクターを見せつつ、また各隊の特色・役割を見せつつ、
たとえランク戦(模擬戦)の結果が良くなかったとしても次の「実戦」で反省が活かされる事になったりしっかり見せ場が作られているという構成が巧いのです。
このランク戦(模擬戦)と実戦が交互にくる配置・構成も良いですね。
ゆる~い雰囲気のランク戦(主人公達にとっては目的があり遊びではないけれど)と緊迫感(命は失わないけど拉致される)を持った実戦…、
週刊連載の漫画としてホント上手な「波」の造り方だなぁ~葦原さんは最初からこういう構成考えてたんだろうなと惚れ惚れしますよ。
ランク戦での各キャラクターの考え・作戦やそれを解説するセリフ・内容にも説得力・納得が造ってあり読んでいて面白いです。
「納得」が造れているかどうかに重きを置く自分としては本当にどストライクな作品で今一番続きが楽しみな作品です。
で、続いてアニメーションについてですが、
こちらも良いですね。おそらく作者が頭の中で描いていた画が本当にそのまま動いているという感じで制作されているのではないでしょうか。
漫画の雰囲気そのままで(自分はアニメから漫画に入った口ですが)丁寧にしっかり作ってあり良作だと思います。
まぁアニメオリジナルの話は微妙でしたがね…やはりワールドトリガーの面白さは葦原さんの構成力によるところが大きいのだと感じますね。
あと、エネドラに古川登志夫さんを持ってきたとのはアニメスタッフグッジョブですね。まさかの大ベテラン登場に驚きましたがめちゃハマってましたよ。
原作自体の面白さ+原作の良さを上手く引き出したアニメ作り~作品全体としての評価はもちろん「良」の作品となります。
第3期楽しみです。
ただ、やはり気がかりなのが葦原さんの容態ですね。
本当に面白い作品を描ける稀有な人なので無理せず養生して欲しいです。
以上