アニメ「バクテン!!」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「バクテン!!」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


久しぶりに本物のアニメ―ションを観てる!と感じた「優」作品アニメかな?
第1話の体操シーンの良作画・良CGと良演出で惹かれましたね。
ただのCGで滑らかに動くだけの画ではない、新体操の美しさ、その説得力を持った作画と演出・構図で観ていて引き込まれる魅力ある映像となっているのが凄く良いですね。
ホントに全話を通して新体操試技シーンはセンスある素晴らしいものでしたよ。

 

自分の中では近年(ここ5年内)で一番の名作アニメだと思っている「ボールルームへようこそ」に通じるものを感じました。
(「ボールルームへようこそ」も、自分は今!アニメーションを観ている!と感じる緩急のある映像、説得力・凄みのある構図の名作アニメでした)
「バクテン!!」の主人公のキャラクターは「ボールルームへようこそ」の主人公と似てる部分もあるんですよね…どちらも夢がない・熱中できるものがない今の自分が夢・目標になる物と出会う、という物語導入は共通してますね。
…あと不思議な事に、主人公声優も同じで、土屋さんは作品に凄い恵まれてるなと思いますよ(多々良の他に雫や釘宮も居ましたね)。


…余談ですが、自分の中で過去の「優」評価となっている作品を振り返ってみると5年に1作品出ているという感じなんですよね。
2016~2020年が「ボールルームへようこそ」、2011~2015年「SHIROBAKO」、2006~2010年「コードギアス 反逆のルルーシュ」、2001~2005年「カレイドスター
、といった感じ。

このアニメ「バクテン!!」は2021年~の「優」作品アニメになる!?と期待を持って観ていました。
3話くらいまでは…。
以降の話はちょっと中だるみというかパワーダウンが見られ(その中にあっても新体操試技シーンは変わらず魅力ある素晴らしい映像でした)、
終盤は東北地区大会の話で盛り返そうとしましたがあまり巧く盛り上がりを作れなかったかなと残念な展開、構成となってしまいましたね。

マイナス評価となる様な展開、構成ではないのですが、「優」を期待していた自分としてはちょっと残念…という感じなのです。

 

中盤の中だるみの原因…それは、キャラ深掘り回を造ろうとしているのは分かるのですが、巧くキャラと絡めたお話が造れてない事ですね。
キャラがちょっと多いというのが問題の根本にありますね…。主人公サイドの主要キャラ6人とライバルチームサイドの6人…それぞれのキャラを魅力的に描く事なんて1クールでは到底無理でしょう…。せめて3人~4人のチームであれば良かった・深掘りも可能だったのかも知れませんがね…。

 

まぁ決してキャラが全く造れていない訳ではなく深掘りが巧く行かなかったという事なのでそこまでのマイナス評価ではないんですけどね。
たとえば美里のキャラなんかは、単純にあのビジュアルにありがちな無口・無表情・クールキャラにしてないのは良いですね。
感情表現乏しいキャラなんかより、クールぶってるけど焦ったり顔を赤らめたりする人間味あるキャラの方がやはり断然良いですね。
ただ、序盤の部活終わったら速攻で家に帰る設定、理由を隠す意味がよう分からんけどね。別に積極的に皆に話す必要はないけど視聴者にはその理由を隠さず・引っ張らずさらっと見せたら良いのに…引っ張るほどの意味はないだろうに…そこでさらっと美里の過去回想でもやっとけば良いのにと感じましたね。

 

他のキャラについても…かくれんぼお化け騒動回なんかはキャラ深掘りをやろうとした回だと思うのですが、やはりキャラが多過ぎるのが仇になったのか
表面的なキャラ付けは出来ていても深掘りはできてない結果となっています。

(この辺りのキャラの作り方は「ボールルームへようこそ」と比べるとやはり「ボールルーム…」に軍配が上がります。「ボールルーム…」のライバルとなる賀寿や釘宮はそれぞれに個性的で良いキャラでしたね。
また、雫のキャラの深堀りや真子のキャラを描く天平杯編、千夏(や多々良のキャラ)も描く都大会編の構成となっているのも素晴らしいですね)

 

そして、話の終盤の構成について。主人公双葉の怪我と東北地区大会を中心とした話になるのですが…、
スポーツアニメにおいてメンバーが大事な大会前に怪我する展開、個人的に好きくないのよね。
いや、スポーツだし怪我は付き物なのはわかるのですが「大事な敗けられない戦い、最後の戦い」でそれやって欲しくないのよね。
主人公サイド、ライバルチームサイドどちらも100%の力を出し切る戦いを自分はとしては望んでいるのよ…。ドラマを造りたいのは分かるけど、全力を出し切っての勝負、その結果の勝利であったり敗北であったりを見たいのよ。なんか変なケチが付いた戦いなんかを、熱い戦いの盛り上がりに欠ける様な構成・展開は好きくないのよね。

 

この辺りの構成も「ボールルーム…」と比べると巧く構成できてないのよね…。こう比べてみると「ボールルーム…」原作の竹内さんのキャラ設定・お話の構成力の凄さを改めて感じますね。


まぁ「ボールルーム…」と比べるとちょっと見劣りしてしまいますが、決して悪いという事はないです。
冒頭でも述べましたが、新体操試技シーンは全話を通してセンスある素晴らしいものでしたよ。

作品全体の評価としては限りなく「優」寄りの「良」作品でした。

 

あと、どうでも良い事ですが、

監督の嫁さん…。刑事コロンボのカミさんよろしくてっきり登場する事はないものと思っていましたが、途中にポッと何でもない様に出てきましたね…。

最後まで出てこないか、若しくはあの隣のJKが嫁さん(だから隠してる)かと想像していたら、何の面白みもなく監督の過去話の流れで登場しましたね。んな事するなら別に変に引っ張るような演出しなくて良いのに…と気になったのでした。

 


以上