アニメ「2.43 清陰高校男子バレー部」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「2.43 清陰高校男子バレー部」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


これはスポーツアニメではないです。タイトルに「2.43」(…バレーのネットの高さらしい)や、副題に「清陰高校男子バレー部」とありますが、これは絶対にバレーを中心とした「スポーツアニメ」ではありません。

 

スポーツアニメにおいて重要な、ライバル・強敵に打ち勝つための「練習シーン」、「作戦」、「試合運び」の詳細が描かれる事がないのです。
(まぁ最終試合のみは多少描かれはしましたがね…)


基本的にこの作品で描かれるのはバレーの試合内容そのものより、バレー(部活)周りで起こる人間関係、青春ドラマといった様な主人公やその仲間やライバル達のメンタル部分を描いた人間ドラマがメインとなっているのです。
普通の(あたりまえの)スポーツ作品は主人公や仲間たちの心の成長・絆を描きながらも中心はスポーツ(例えばバレーであったり野球であったり…試合に勝つために練習を重ね、格上の敵に勝つための作戦を立て、絆を深める話が描かれ、そしてその結実として試合内容が丁寧に描かれるのですが…)なのですが、
この作品はスポーツが中心ではないのです…最終戦以外は試合の詳細が描かれる様な事はなく、描かれるのは基本、登場人物のメンタルが中心となっているのです。

 

本当に、この作品はスポーツそのものよりも登場人物のメンタルを揺さぶるためにどう事件を起こすかを中心に描いていて、しかもその造りが雑で、タイトルにスポーツ(バレー)を冠していながら…、高校を舞台とした学校生活・部活でのスポーツを扱っていながら…スポーツが中心にない話作り・構成にイライラするのです。

 

 

まず最初は、中学校編での話。主人公(メンタル・弱の方)が、「俺要らねえじゃん。主人公(メンタル・強)だけで良いじゃん」みたいな精神状態になり、そのまま試合が終わり、その後復帰する事なくその中学校編の話が終わってしまった事…え?あっけなく敗北した結果だけでもう試合描かないの?メンタルやられたまま終わりなの?

…しかし、まぁここは高校編があるからそのプロローグ的な話かなと一旦は飲み込みました。

 

そして、高校生編…主人公(メンタル・弱の方)が暴力事件に巻き込まれる?形となり試合を棄権?出場辞退?になる話…話の展開が雑過ぎる…何あれ?
ほぼその場に居合わせただけという状況で出場辞退の騒ぎに?そして、その直前の幼馴染の娘とのグーパン騒動が暴力事件に関わったのかも、という無理やりつなげるその造り…うわぁひっどい話の展開のさせ方だなぁ…。
そしてそのまま活動休止となるのですが…、これ下手したら前回(中学生編)の事があるからこのままこの年は話が終わる展開もあるかもなと覚悟してました(そのくらい試合・スポーツを描く事に対する熱をこの作品から感じないのよ…そしてこの時にこの作品はスポーツ作品ではない事を悟りました)。

 

そして他には…、他校のライバルチームが偵察に来ていたがそれを見つかってしまいそこで自分の先輩を・学校を馬鹿にされたと感じ、他校生を殴ってしまう話…。
いやいやいや普通にあり得ないだろう…。地元の期待を背負っている有名校のしかもレギュラーメンバーが他校生に暴力って…ホントただただ事件起こしてメンタルに波風立てたいだけ…薄っぺらいドラマを造りたいだけの話の展開、構成にイライラするのです。

 

そして最後(最終決戦)の場でもまた無理やりなアホ展開・構成が…。
ライバル校との決勝の日に会場の外で雪遊びしていたライバル校の選手達。そのチームキャプテンが転んで怪我しそうになるところをマネージャーが庇い手の骨折る話…。
マネージャーではありますがチームメイトの精神的主柱みたいな選手を離脱させます…こんなアホな話の展開でね…酷いねぇ小学生が書いた話かな、と思う様な構成です。

 

ホント「納得」からほど遠い所にある酷い脚本・原作でしたよ。

 

次に話の展開・構成以外のところで語って行きたいと思います。

 

第1話を観てまず思ったのが、この主人公(メンタル・強、メガネの方)のキャラクターは「ハイキュー」の影山じゃねえか…、です。
同じバレーを扱った作品で同じ様な王様スタイルのキャラ(役割・ポジションもハイキューと同じ天才セッター役)の主人公…恥ずかし気もなくようこれで話を創ろうと思ったなと驚きです(しかも同じ集英社…いや、同じだからこそできた?許されたのか?)。
そして「ハイキュー」の影山と差別を図るためか設定が上乗せされていますが。。。

以前いた中学のチームメイトに言葉で強く当たってしまいその生徒を自殺未遂に追い込んだという設定。そしてその事件を機に転校して主人公(メンタル・弱)と出会う事になる訳ですが…。
転校してもすぐにまたバレーを始めようと思うそのメンタルが「強い」を通り越して「怖い」、サイコパスの気があるといっても良いですね。
自殺未遂に追い込んだ設定はさすがに重すぎ、やり過ぎでしょうと感じました…差別化を図るためとはいえアホですねこの設定。

なんだろ?バレーを続けないと死んでしまう呪いにでもかかってのか?そうでも考えないとそこまでしてバレーをやる意味・人を死に追いやってでもバレーをやる覚悟が理解できんのよ…その辺りが納得いくように描かれてないし…。

 

ホントつくづく「納得」がない作品だわ。
(全くの余談ですが、ついでに言うと「ハイキュー」がまだ多少はマシだけで、「ハイキュー」影山の設定にも「納得」はないです。内々の練習でならともかく本当の試合中にトスを全員が無視するってあり得んだろ…、と納得がないのです)


そして、この主人公(メンタル・強)は高校になっても相変わらずの様で先輩相手でも容赦なしに自分の意見をどストレートにぶつけます。
先輩に対して一応敬語は使ってはいますが、そのストレート過ぎる物言い…そんな奴おらんやろ…なんだ?この主人公(メンタル・強)はアンドロイドかなにかでこれまで他の人間とかかわりを持たず人の心を知らずに育ってきたんかな?(そうであれば「納得」します)
ホントこの主人公(メンタル・強)はなぜ、自殺未遂に追い込んだ事や過去の失敗から学習せず同じ事を繰り返すのでしょうか(サイコパスだから?学習能力が欠如している?そうであれば「納得」します)。

 

話の構成からキャラクターの設定まで「納得」がなくダメダメな作品でした。


あとついでに語るなら、
キャラが頬赤らめるの狙いがあざとくて嫌い、ですね。
腐女子向けに媚びた様な演出(原作小説でもそういう描写があるのか?アニメ独自の演出なのか原作未読なので判断できかねますが)に嫌気が差します。


作品の評価としては「不可」となります。

 

以上