アニメ「オッドタクシー」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「オッドタクシー」を一気観しました。
以下、多少の?重大なネタバレを含む感想となります。


ミステリ・サスペンスな作品。
舞台は日本の東京ですが、そこに出てくる登場人物たちは全て動物となっています。
ディズニー作品やらを見慣れている人達にとっては特に違和感なく受け入れられる世界観です。最近の日本のアニメで動物擬人化ものの例を挙げても「BEASTARS」や「BNA」なんかがありますね。
そんな土壌が出来ているからこそすんなり受け入れられる世界観…ここを巧く利用してますね。。。

 

最終話…なるほどな、とやられました。
まぁヒントはありましたね、共感覚の話とか。
あと気になってのが猫の父親がマンドリルだったりして何故?という疑問もありました。

ゴリラ医者が、写真に映ってる後ろ向きの猿をどうして見分けられるんだ?と「小戸川」に尋ね、その後共感覚の話が出てきたとき、
なんか魂的な物?が「視覚化」してるのかと思っていましたが(共感覚についてはアニメ「CANAAN」で出てきてたので何となくは分かってるつもりです)、
まさかそういう事だったとは…最終回で初めて「あっ」となりましたよ。

 

動物擬人化世界観を受け入れさせる為の仕込みも巧いですね。
主人公・小戸川とゴリラ医者の会話、
「俺が何に見える」「ゴリラ」「…」
みたいな会話やアルパ川さんとの会話、
「この街にアルパカはあんた一人だ」「…」
みたいな会話も相手が普通に受け入れてるもんだと思ってましたが、
今から考えたら、苦笑い的な、やれやれ…的な受け流しだった訳ですが、その造り方が巧いですね。

 

でも嘘も混じってるよね、視聴者をだましてるよね、と若干アンフェアな部分もあります。
あくまで動物に見えてるのは「小戸川」視点のはず。
タクシー運転手である「小戸川」が一度でも見た人物なら動物になっていても良い・納得するのですが、
「小戸川」が一度も面識がない、「小戸川」視点が入り込む余地がない様な人物も全て…、たとえばアイドル(黒猫)2代目の母親であったり、他人の記憶の中の人物(アイドルの初ライブの5人であったり、消しゴム、ドードー事件のイタチ?小僧の過去話の中の登場人物であったり)、その他大勢(モブ)であったり
…まで、全てが動物で描かれている事…、これは視聴者を騙すために制作側が意図的に「小戸川」の知らない人物達も含めて全て動物で描いてますよね…まぁそこだけ人間だったらすぐバレますもんね。


上記の様に制作側が意図的に視聴者を「騙している」部分もあって、動物擬人化のミステリ・サスペンスな作品だと思って観ていたからあの最終回には驚かされましたね。

 

まぁ話の内容自体は結構メチャクチャで無理やりエピソード繋げてる部分もあるのですが、そこら辺の引っ掛かりも全て吹っ飛んでしまう程に、最終回での「驚き」が大きい…。

その「驚き」をカモフラージュするための、色んなエピソードを散りばめ意識を散らそうとしている企みが巧く成功しているんですよね。
そこに、やられた!と思う訳です。


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

最後の終わりもサスペンス物っぽい終わりで良いね。
あと、上述したアンフェアな部分(「小戸川」が【見て】いないシーンにおいても動物化して描かれている点)について、作者・脚本家の此元和津也さんはどう思ってるのかネタバレインタビュー記事とか有れば読んでみたいわ…


以上