アニメ「王様ランキング」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「王様ランキング」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


アニメ放送期間中からちょこちょこ話題(今季のおすすめアニメは?的なランキング記事)になっていたので、タイトルは知っていました。
というか随分前から(5~6年くらい?前から)某丸善でおすすめコミックとして紹介されていたのでタイトルだけは知っていました(なんか絵がいかにも狙っている様なあざとさを感じたので食指が動きませんでしたが)。

 

そんな色々と気にはなっていた作品で期待もしていた作品だったのですが、ちょっとガッカリな内容の作品でしたね。

 

まず驚いたのが主人公の聾唖者設定。
こういった障碍者を主人公にしたタイプの作品は扱い難しいはずなのよね。
障碍者を感動話の見世物にしてるみたいな声が上がる事があるから地上波では放送が無理・困難で映画や舞台でのみ上映・上演される事になるのが常だけど…、
今作はファンタジー設定だからOKだったのかな?(障碍者(聾唖者)というより呪い/魔法によって能力を奪われたという設定だからOKになったのかな?)
と、主人公の設定そしてそれが地上波放送される事にまず驚きましたね。

 

しかしまぁ放送が許されたにせよ自分にはやはり、泣かせる話を創るため・感動話のために障碍者設定を採用した/利用した様に感じてしまうのですがね…(後述する諸々の薄っぺらさも踏まえて考えると尚の事)。


「王様ランキング」のキャラデザは緩いんですよね。キャラクターが記号的に描かれているというか…まぁ別にキャラデザ自体が緩いのは良いのですよ。
緩い分、アニメーションとして描きやすいのか良く動くし細かいところまで動く…、引きの画での眼の動きとか目を引く場面もあって良かったと思います。

 

あとは、キャラデザが緩いためにちょっと残酷な描写も多少はマイルドになってる?効果もあるかなぁ…と感じますね。

しかしキャラデザ自体やキャラデザのアニメーションとしては良かったのですが、キャラクターの中身や設定、お話の構成までが緩いというか中身がないというか薄い、のはいただけないですね…。

 


まず、キャラクター。
ほぼ全員キャラクターが薄い…。キャラクター(中身の事ね)の描き方が下手というか雑というか、なっていない…。
そのキャラクターの過去を描いて、こんな悲しい事がありました~だから怒りを感じています~だから哀しみを感じています~という「説明」にしかなっていないのですよね…描き方が薄っぺらいのですよ、そこに人間味・深みを感じられる様なキャラクターが描けていないのですよ。。。
それなりの数のキャラクターが登場して、過去話が描かれているのですがそのほぼ全てのキャラ(キャラ自身)に魅力がなく、「キャラクター」というよりかは物語を展開させるための「パーツ」にしか感じられない有様なのですよ。
魅力のあるキャラクター・深みのあるキャラクターが描けてさえいれば、たとえメインとなるストーリーの進行がなくてもそのキャラだけで話が成り立つ・面白い話が描けると考えますが、この作品はメインのストーリー/本筋となる話と絡めなかった場合、
キャラだけで成り立つ話・面白い話が描けるという想像が全くできず、それはやはりキャラの弱さ故かな、と感じてしまうのですよ。

 


で、次にお話の展開についてですが、
展開・構成が単純というか同じ事の繰り返し・ワンパターンな造りで、あ~またかと感じる事が多々ありました。

それは、最初良い奴かと思ったら悪い奴で、悪い奴と思ったら良い奴で、みたいな展開の繰り返し、です(特に後半は、悪い奴かと思ったら良い奴の展開ばかり)。
いや、読者(視聴者)を驚かせる・裏切るためという作者の意図は分かりますが先述のキャラクターが薄い問題とも相まって同じ事が繰り返される事にちょっと飽きてくるのです。

最初の頃は面白味もあったのですがね…王妃のあのキャラデザ(とがった鼻、つり上がった目)から語尾が「~ざます」みたいなママキャラ(記号的な~ざますママなキャラデザ)を想像してしまうのですが、実は…みたいな。。。最初の内は良いけど、出るキャラ出るキャラその繰り返しみたいな事されると…ねぇ。

 

あと、構成が弱い・単調・浅いのですよね。

悲しい過去・辛い過去がありました~そこから救われましたよ、はい泣くところですよ…、みたいな話の構成がちょっと…ねぇ(それに救われる展開が結構無理くりな展開なんですよね…救われる話に無理やり持って行くためその展開に納得がない…)。同じパターンが多いし読者(視聴者)にそう感じさせないための工夫をしようよ、上手にやろうよ、と感じてしまいますね。

 


そして最後に設定、とその設定を絡めたストーリーについて。
なんも説明されんから世界観がよう分からん…。
王妃の使う回復魔法を見て、あ~そんな世界観設定なんだと考えたのだけど
王妃以外に回復魔法もしくは攻撃魔法を使うキャラって第二王子と冥府王と魔女くらいしか出ていないのよね。。。(白の兵士たちは剣や槍で戦うのみ)
魔法という存在はあるけどあまり一般的?なものではないらしい…王妃は超希少な人材なのかね?よう分からん設定。


また、神や魔神の設定もよう分からんし…。
特に魔神の設定、存在、目的(何をしたいのか)等がホント分からん。
魔神周りの設定は結構メチャクチャになってないかな?整合性取れてる?
いや、この作品にあまり惹かれるものがなかったから改めて観直したり考察したりしようとは思わんのだけどさ…、
多分じっくり観直したとしても綺麗な構成・設定が出来てるとは思えないですね…上述したキャラ設定や構成・展開、世界観設定がしっかり出来ていないこと諸々から考えて、ね。

 


あと、お話全体の構成について。
「王様ランキング」というタイトルだけど「ランキング」関係あるの?
ランキング2位(1位)の王しか出てきてないけど…これから展開するのかね?
それと最後にランキング1位になった冥府王はどうなったのか、なんもわからんまま終わったけどあれは、続きは本買って読めって事かな?
まぁ、そこ以外は一応ひと区切りついて終わったかなという感じですかね。

 

キャラも弱く、設定もグダグダボロボロで雑な締めではありましたけどね。

 


ちょっと期待していただけに色々と残念な作品でしたね。
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上