アニメ「後宮の烏」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「後宮の烏」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


地味だけれど面白く良かった作品。
ジャンルは霊能探偵・ミステリー物。なんというか1年に一作品は「霊+ミステリ」のこのジャンルがある感じがする。
直近で(今期放送中)のもので言えば「虚構推理」もこのジャンルに入れて良いかも知れない…まぁアレは霊ではなく妖怪であり、さらに虚構のみで組み立てられる推理?で
ミステリー枠で良いのか微妙ですが(「虚構推理」はジャンル的には物語シリーズのそれが近いですね)。。。

 


で、「後宮の烏」の中身について…、
一見すると地味な作風、雰囲気を感じますが、登場人物達のキャラも丁寧に描かれ、そのキャラたちの言動、そして物語の展開も綺麗に構成された良質の作品となっています。
そこらのなろう系作品とは違うしっかりとした作家が書いているのだなと感じますよ。

 


キャラの言動も納得ある物に描かれていて~ひとつ例を挙げるなら主人公の過去編での幼い主人公が母親を見捨てる場面…良く言えば「何があっても出てくるな・隠れていろ」との母親の言い付けを忠実に守ったと言えますが、やはりそこには母親より自分の命を優先させたのだなと俺は感じたのですよね…。そこの疑問・引っ掛かりをそのままにせず主人公自身に「母より自分の命を優先させた」という後悔・罪悪感が今も残っているという旨の内を語らせている事に納得があるのですよね~疑問・不満なく納得感のある展開が成されているのが良きなのですよね(これが「なろう系」の多くではそういう所に疑問・引っ掛かりを作者自身が感じない・考えられないため、納得のないまま・疑問、不満がなおざりに物語が展開される事になるんですよね)。

 


キャラクター描写や物語展開には納得があるのですが、設定についてちょっと疑問(不満ではなく純粋な疑問)があるのですよね。
それは主人公の持つ不思議な力について。観始めた当初はあの能力は主人公の「銀髪」の種族に由来するものかと考えていたんですよね…そういう不思議な能力を持った一族かと。
しかし、観進めて行くとどうやら銀髪の一族自体は特に能力とは関係なく怪鳥に選ばれたというのが重要みたいな感じなんですよね。
いやね、あの不思議な力は教えられれば誰でも習得できるものなのか特別な血族に与えられたものなのか分からんかったのよね…まぁ物語当初に不思議力と銀髪一族設定と詰め込み過ぎたのが問題だと思うのですが、あの不思議パワーが主人公以外も使える能力なのかどうか、何に由来するものなのか銀髪設定の前に示してほしかったかな、と思う訳ですよん。

 

先代の烏妃は銀髪一族ではないのよね?(先代烏妃の過去話を観る限り)銀髪一族設定は皇帝の一族との因縁のための設定で不思議能力自体とは関係ない認識で良いよね?と疑問なのです。

 


お話の内容については以上なのですが、キャラデザについて思うところがあります。
それは以前「魔道祖師の感想」でも語った事なのですが、
なんかどのキャラもイケメン・美形顔の同じ細面の、同じ切れ長の目、同じ黒髪(薄い黒・グレーっぽい色)で同じ様な髪型というか烏帽子みたいなのを被ってて髪型に違いがない・わからない)でパっとみ誰が誰だか分からない(服の色で見分ける感じでした)、そして中国名で呼び合ってるのが相まってさらに誰が誰だかわかんなくなる。

 

ホント日本アニメの、現実では有り得ないド派手な髪の色でキャラを見分け易くしてるのは改めて素晴らしい発明だと感じますよ。

髪型で特徴づける、体格を変える、顔の造りを大きく変える(同じ様な細面の切れ長の目の美形ばかりでなく、下膨れのまん丸目玉のキャラ等)、…等々
シルエットでキャラの判別が付くくらい特徴づけたキャラデザをやって欲しいと感じるのですよねぇ(それが出来ないのなら分り易く髪の色で分けるべき)。

 

(中国を舞台にした?)現実にはあり得ない黒系の髪色以外はリアルでないから排除する、キャラ付けのためだけのあまりにも不自然な髪型はリアルでないから排除する
、と「リアルでないから」と排除して結果おなじ様なキャラデザばかりになってしまったら(シルエットで判別できないようなキャラデザになってしまっては)、映像化・アニメーションとして失敗だと思うのですよね。
(この辺りはまぁ原作が小説媒体というところの弱さもあるかもですね…漫画原作であればまだキャラデザ・キャラの描き分けがしっかりできていたと思われます)

 


と、キャラデザについては多少不満がありますが、キャラクター、お話は丁寧に綺麗に作られていて2期があれば楽しみに待ちたいそんな作品でした。

作品の評価としては、「良」寄りの可もなく不可もなくとなります。


以上