アニメ「勇者、辞めます」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「勇者、辞めます」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。


魔王討伐の為に旅立った勇者が単独で魔王を倒して帰還したけど今度は魔王をも超えるその力を人間たちが恐れ勇者を追放した…、
人間の国から追放された勇者が向かった先は自らがボロボロに打ち倒した魔王軍だった…という導入・設定から始まる物語。
しかし、実はその勇者は3000年以上前に存在した人類文明が魔族を滅ぼすために造った生体兵器で、長い年月の間に自身の存在意義が揺らいでしまったために
人類と魔族の懸け橋となる存在(=魔王)に後を託して自らの使命に幕を引こうとしていた…というお話でした。


いや…、設定の意味は分かるけどさぁ…色々と納得がないのよね。。。

 

まず、ダメな構成が、
序盤~中盤までの話は完全に茶番だったというお話の構成。
物語序盤~中盤のお話は、人間の国から追放された勇者が魔王城へ面接に行くが、その遺恨から採用を拒否られなんとか認めてもらおうと別人に成りすまし仮採用みたいな形で魔王城に入り込み着々と成果を上げて行くお話が展開されます。

 

…視聴者(読者)としてはまず一番最初に説明された導入・設定を受け入れて物語が始まる訳だからさ、その設定を途中で覆す様な展開はダメだと思うのよね…。
いやね、これがもし「オッドタクシー」の様な最後に(最初に受け入れたつもりの設定が)ひっくり返ってあ~なるほど、と膝を打つ様な展開なら良いけどさぁ、
この作品はそうじゃあない。。。
物語中盤以降で主人公の過去設定が説明され、実は魔王討伐の旅もその後の魔王城への採用試験も勇者の考えたシナリオ・茶番だったという、~成果を出そうと一生懸命頑張ってんなぁと序盤の物語を観てたのが馬鹿みたいになるのよね~最初の導入・設定を覆すだけでそこに面白味も何もないお話が展開されるだけなのですわ。

 


そして次にダメ・納得がないのがその設定について。
勇者は魔族に対抗するために人類が造り出した最強の生体兵器らしいのですが、どうしてそんな最強の生体兵器が造り出せたのか分からん、納得がないのよ。
「最強」と説明だけされてもそこに何の納得・説得力もないのよ。魔族を素体したとかなんとか説明されてたけどそれだけで最強になるの?あと、物語の重要なキーアイテム「賢者の石」ってどういう風に作り出されたのよ?なんかスンゴイ動力炉らしいけどさ何故そんなものが作れたのかよう分からん
(物語終盤で主人公の勇者が自分と同じ生体兵器を再生させたみたいな話があったけど、その時「賢者の石」も造ったの?造れたのなら「賢者の石」欲しがってた魔王に上げればイイじゃんとも思ったけど)

 


また最終盤の「対勇者拘束魔法」…そんな都合の良い物、どうして魔族は造り出せたのか?これも全く分からん、納得がない。
(これが例えば生体兵器を作った科学者たちが、生体兵器が暴走した時などの万が一のために備えていた緊急停止用プログラムだというのなら納得しますが、
魔族が使っている対勇者拘束「魔法」の能力によるものみたいなので科学的なプログラムだと思えずよう分からんし、緊急停止プログラムだとしたらそもそもなぜ魔族がそんな知識を持ってんのか分からんのよね…多分作者もあまり深く考えてないのだろうと思われるので「納得なし」の設定として結論)

 


と、「設定」だけ作った、という感じの中身がない・納得がないスカスカの設定なのでした。

色々と細かくツッコメば気になるところ・納得のない所はありますが、展開にイライラする様な酷く貶める様な物語ではなかったので
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上