アニメ「大雪海のカイナ」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「大雪海のカイナ」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


第1話を観た時点でその世界観の描き方からナウシカかなと思っていたのですが、第3話辺りでクシャナとクロトワが登場してきてもう笑ったわ。やり過ぎでしょ…(さらに言えば最終話付近で巨神兵まで出てくる…さすがに「腐ってやがる~」の件はありませんでしたが、もういっその事やって欲しかったわ)。

 


と、ナウシカ感/創ろうとしている世界観については後述するとして、
まずはストーリー面で不満というか納得がない点について、色々と。

 

最初は2話だったかの主人公が軌道樹/天膜から下に降りると決心するという展開についての主人公の心情描写問題。
一緒に暮らしている天膜の爺さん達からもう二度と戻ってこれない/片道切符の旅だと釘を刺されるのですが、主人公は爺さん婆さん達だけを置いて行く事に躊躇わないのよね…、そこに疑問。


自分が居なくなって爺さん達だけで大丈夫だろうかと少しは心配に思わんのかしら?
片道切符問題については、ヒロインが天幕まで来たのと同じ方法で戻れると踏んでんのかもしれんけどさぁ、躊躇いながらも色々と考えを巡らし悩んでいるという主人公の描写、モノローグを入れれば良いのに何も描写を入れないのがダメ、納得がないのよ。

 

いやね、何か考えてるだろう憂い帯びた表情の主人公のカットはあるんだけどさぁ、そこから多少の想像は付くけど主人公の爺さん婆さん達に対する心情描写のエピソードの足りなさや表現不足でこちら側にはっきりとはそれが伝わらなくなってるから納得がない描写になってしまってるのよね…(絵(画)だけで伝えるには色々(エピソード、表現能力/技術、尺等々)と不足しているのにそれが分かっていないという問題)

 


そして話は飛んで最終話の話の展開というか畳み方の雑さ…。
あの巨神兵(建設者)のやっつけ方…、天膜の爺さんに貰った樹皮削りの最大出力みたいなのでぶっ飛ばすんだけどポカーンとなりましたね。なんだよそれ…。
あの樹皮削りレーザーはちょっとした便利アイテムくらいの認識だったのに最終話でまさかの大活躍のあんなご都合アイテムになるとは…。
これは「主人公」の設定問題/キャラ問題にも絡む話/問題にもなるけど、結局この作品のお話って主人公が凄い、主人公の能力・知識で何かを成し遂げた、のではなく爺さんから貰ったあの樹皮削りレーザーが凄かったというお話になってしまうのよね。

 

世界観、設定、キャラクター、キャラクターと絡めた/主人公を中心とした物語が構築/構成できていないダメダメなお話、残念な作品でしたね。

 

 

 

続いて、設定面での問題。

「雪海」がよう分からん。雪なの?水じゃないの?解けたら水にならないの?雪海をどうにかして飲み水に出来ないの?
「雪海」は、ナウシカの世界の腐海の様な肺が腐るみたいなヤバい事にはならなそうですが(主人公達が雪海に潜ったりもしていており身体は大丈夫そう)、
それだったら尚の事「雪海」を有効活用すべきだと考えるのですが…、「雪海」のヤバさについての説明がないのよねこの作品。
そこに納得がないのです(wikiや公式HPにも「雪海」のヤバさみたいなのは載ってない)。

 


あと気になったのは敵国の船…あれは鉄船なの?見た感じ金属っぽい色してんだけどもしかして木船を塗装してるだけなのか?
鉄船だとしたらそんな技術がある世界なんだと不思議に思ったというお話。

 

 

 

いやね、「雪海」の設定の説明不足にしても鉄船(木船かも知れませんが)鉄を加工する技術があるのか(火薬を使った武器はあるっぽいですが)等の技術水準の説明不足にしてもその辺りの描写、納得の描き方が圧倒的に不足しているため、この作品世界そのものがすべて薄っぺらいのですよ…。設定、世界観の上に人を乗っけてるだけ…そこに、活きた人間にはいない物語作品となっているのですよ。
ジブリの創る世界観とは程遠い/ナウシカの世界観と比ぶべくもなく薄っぺらい、この作品のCGと同じ様に薄っぺらい世界観、偽ジブリ/似非ジブリな世界なのですよね。。。残念。
(余談ですが、ジブリ並みの世界観を創れているのが(唯一と言って良いかも知れない)「メイドインアビス」ですよね…。「~烈日の黄金郷」視聴後しばらくして漫画と円盤買っちゃいましたよ…、この事については後日感想を上げようと思っています)

 


あと、ついでに主人公含め登場人物全てキャラが薄っぺらい。

 


ひとつの「世界」を創るために納得を与える設定説明、そこに暮らしている人々の生活、言動、思考、技術水準等々の描写が圧倒的に不足している残念な作品。
映画も決まっている様ですが興味ないですね。まぁTV放送されたら観るかも程度。

(結局、光るクラゲやオオノボリ様は何だったの?映画観に行けって事?)


作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。


以上