アニメ「REVENGER」 ~感想

録り貯めしていたアニメ「REVENGER」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。

 


虚淵玄がシリーズ構成の必殺仕事人がモチーフな作品。
第1話、この作品がやろうとしている事は分かります。主人公のキャラ、その設定・構成も分かります…、ただこの主人公のキャラ設定、そして物語構成についてちょっと不満、納得がない、というかこうした方が良かったのではないかと思う点があります…。

 

主人公は藩命として上司から阿片密売犯を斬る様に命ぜられるのですが、現場で初めて密売犯の顔を見て相手が義父(嫁・許嫁の父親)であるというのを知る事となります。
で、この後の主人公の行動が俺的には問題(納得がない)と考えていて…、主人公は藩命だからと義父を迷わず斬り捨てるんですね…。
結果的に主人公は騙されていた(義父が阿片密売犯というのは嘘…真実は逆で義父は阿片密売を暴こうとしていた側だった)のですが、
普通に考えてさぁ…、いくら藩命だからと言って・阿片密売犯(容疑)だからと言って義父相手に問答無用で斬りかかるか?ちょっと顔を知ってるぐらいの知人のレベルではないのですよ?
普通は義父相手に、どういう事だ、何故こんな事を仕出かした、と問い質すんじゃないの?
それが義父相手に何の言い分を聴こうともせず斬り捨てるのにちょっと納得がない…。何か問い質していれば、何か言葉を交わしていれば自分が騙されている事に気付けたかもしれないのに…、悲劇的物語を展開させる為に(展開ありきの物語を優先させた為に)
主人公の行動に納得がなくなってしまっているんですよね。。。

 


いや、まぁ最悪問い質す事をしなかった主人公のキャラ・行動を見逃す/受け入れたとしても、その後の展開・物語構成も問題なのですよね。
結果的に主人公は騙されていた事を知り義父を斬り捨てた・自らの過ちを酷く悔いる事になるのですが…、俺はここで主人公に「あの時、問答無用で斬り捨てるのではなく問い質していれば良かった…」と反省・後悔するキャラクターにして欲しかった訳なのですよ。
そういう後悔・自らの過ちを反省をする事で主人公のキャラ、物語構成に納得を作って行って欲しかったと感じたのです。

 

それは利便事屋として事に当たる主人公が復讐相手(代行)を前にした際は、~過去の己の反省・戒めから、命令だから仕事だからと問答無用で相手を斬り捨てるのではなく~
相手に逐一(何故やったのか、お前が本当にやったのかと)問い質した後に自らの判断でこのリベンジを・職務を全うするかを決めるという主人公のキャラ、物語の構成にして欲しかったと感じたのですよね。

 

復讐代行の仕事だからと言われるがまま唯々諾々と仕事を行うのでは、以前の経験/過ちを全く反省していない様なキャラ・物語構成になってしまうんですね…そこに納得がないというかちゃんと過ちを省みる主人公のキャラにした方が良かったんじゃないのと考えるのですよ。

 


あとついでに主人公のキャラで疑問なのが、利便事屋の仲間?の糸使いの子供。
主人公の真っ直ぐな性格から考えて子供が暗殺家業している事に何か思う所ないの?(暗殺家業そのものについてではなくまだ分別もつかない様な子供を携わらせる事について)
医者や花札兄ちゃんはともかく(何か事情があるのだろうと受け入れたとしても)、年端も行かない子供が居る事に何の疑問を投げかける事もなく(糸使いの子供本人に直接尋ねなくとも、リーダーの優男に尋ねるなりあっても良いはずなのに…)受け入れている主人公のキャラにちょっと納得がないのよね。

 

 

そして、最終回のあの展開。
いえ、あの展開自体は別に良いのですよ。おそらく最初から考えられていた結末だと思うのでそこに文句はありません。
ただその相手が問題…。ポッと出の敵利便事屋なんかではなく嫁(許嫁)関連のキャラ(例えば、少し年の離れた弟が居たとかいう設定のキャラだったり)なんかの方が
ドラマが出来たり、続編に繋がったりする話になると考える訳なのですが…。

 

 

まどマギ」のまどかとほむらの設定・関係性の様な(一応ネタバレに配慮して直接的な内容・表現は避けてます)「納得」を作る事が出来る虚淵玄の物語構成に期待していたのですが、小さな不満点がちょこちょこある感じでちょっと残念でしたね。

 

 

あと、キャラの紹介・深掘りが弱いという問題点もあるのですがこれについては…多少は理解できる部分もあります。
それは、最終話のあの展開が決まっているのなら仲間キャラの深掘りはあまり意味を成さないから、かもなとは感じます(主人公と仲間キャラ達の関係性の変化に影響しない深掘りであれば出来る/やっても問題ないとは思いますが)。
まぁそれでも、ろくにキャラの紹介回もない~利便事屋の仲間キャラの過去/どういった経緯で利便事屋になったのか描いても良いはずなのに描かない~のは問題だとは考えますがね。
いや、分かりますよ…今作の全12話はあくまで「主人公を中心とした」物語構成であるから、仲間キャラ/利便事屋を中心とした物語構成にはなっていないのですよね(だから、ろくに仲間キャラの紹介回もない)。

 

この作品は続編とかは考えていないのかねぇ…。もし考えているとしたらいくら「主人公を中心とした物語構成」であるとしても、少しは仲間キャラの紹介回を挿入しそうなもんだけど全くと言って良いほどなかったからねぇ。
敢えて利便事屋のキャラの紹介・深掘り回をやらなかった構成だとは考えるのですが…、続編ある場合はもしかしたら利便事屋のキャラもごっそり変わる、舞台も長崎ではなくなるという事かもね。。。そういう事ならまぁ多少は理解できるかな、というお話。

 

 

作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。

 

以上