「メイドインアビス」 ~獣相についての考察

今回は64話、65話の内容…「獣相」についての考察となります。

アニメ未放映分…アニメ2期以降の内容/漫画11巻以降の内容を含みます。ご了承ください。

 

 

 

獣相について考察するにあたり主な材料となるのはスラージョの語った
・生まれながらの成れ果てである
・獣相は探窟史の恥部である
という言葉になります。

 


で、ここでちょっと考えるべき事があるのですが…、それはニシャゴラ達、呪詛船団のメンバーについて。

ボンドルドによると、呪詛船団はスラージョ以外全員が獣相、との話。
(ニシャゴラは見るからに獣っぽさがありますが、ヤタラマルは人間っぽい見た目…だけどやはり獣相なのかな?シェルメナは獣耳っぽいのが付いてますね)

 


しかし、ニシャゴラにしてもヤタラマルにしても(ついでに五層の前線基地に来たガスマスクの呪詛船団メンバーも)笛を持っているんですよね。
産まれた傍から処分されるはずの禁忌の存在が地上で笛認定を受けられるはずもないのでニシャゴラ達が笛を持っている理由を考えると「生まれながらの成れ果てである」とは思えないんですよね。
(まぁスラージョが便宜上ニシャゴラ達部下に持たせているとも考えられますが、しかしそれだとシェルメナが笛を持っていない・付けていない事が疑問になりますね)

 


以上の事から(スラージョの言葉に嘘はないと思うので)、
「生まれながらの成れ果てである」獣相…①

「特殊な成り立ちをしている呪詛船団」の獣相…②
とは分けて扱うべきと考えます。

 

 

 


それでまず考察しようと思うのは「生まれながらの成れ果てである」方の獣相について。

六層の負荷…人間性の喪失によって変化した「成れ果て」は処分される、という今の習わし。
という事は「成れ果て」が『何らかの理由で』処分されなかった/出来なかった時代の話…それが探窟史の恥部である、と考えました。

 

恥部は、黒歴史と言い換えても良いと思います。探窟史/探窟家の黒歴史…、、、「探窟家」を現代の考古学者や冒険家と置き換えた場合なにが黒歴史に当たるかと考えると
捏造・虚偽の報告(実際には冒険(探窟)していないのにした体の報告)みたいな感じかなと思うのですが…、
探窟家が自分は安全な場所に居て「成れ果て」を使役して探窟させる様な事が出来るとは(成れ果てに人格・知性がない事から)到底思えない事、そしてまた捏造・虚偽は確かに探窟史の黒歴史と言えるかもしれませんがインパクトとして弱いと感じるのですよね、という事からこの線での考えはここまで。。。

 

 

とすると「成れ果て」を処分しなかった理由は…、、、
(仲間、親しかった者の成れ果てを心情的に「処分できなかった」という理由もあろうかとは思いますが)
「成れ果て」を飼っていたという事ではないか?と考えました。

 

 

上述した様に探窟を手伝わせるために飼っていたのではないとしたら…(知性がないので複雑な事はできないがそれでも飼う理由としては)、家畜・食用として飼っていたのではないかという事。。。

 

そして、いくら昔の探窟家であっても元仲間・元人間だった「成れ果て」を食する事には抵抗があった中で産まれた「成れ果て」の子供「生まれながらの成れ果て」…それが「獣相」なのではないか、という考察となります。

 

「成れ果て」(元人間)と人との間に生まれた子供が「獣相」なのか?(この考えだと探窟家は自分の子供を食していた事になりますが…)、
もしくは「成れ果て」の体内にアビスに還ってきた「魂」が宿って産まれたのが「獣相」なのか?、、、どのように子供が産まれたのかは分かりませんが「成れ果て」(元人間)を使って・飼育して食料を確保していた…
元は人間だった「成れ果て」から産まれた命を食べていた…それこそが探窟史の恥部、過去の探窟家の黒歴史となり得るのではないかなと考えました。
(これはやっている事自体はワズキャンが行っていた事~イルミューイの子供を仲間たちに振る舞っていた事~とほぼ同じになり、そういう意味ではワズキャンは探窟史のファースト恥部と言えますね。…世間的にはワズキャンの事は探窟史以前であるため記録が残っていない訳なのですが…)

 

 

昔の探窟家達は元人間であった「成れ果て」を飼養し(性交が必要なのか、それともイルミューイの様に単体で出産したのか(イルミューイは欲望の揺籃を使用しているので特殊例だとは思いますが)、はたまた家禽であるニワトリが無精卵を産むのと同じ様な感じで「魂」のない状態で子供を産んでいたのか、アビスに還ってきた「魂」が成れ果てに宿って子供として産まれたのか、は分かりませんが)、
産まれた子供を食用としていたという非人道的な黒歴史があった…それ故に非人道的な過去の行いの事は伏せて今は「名誉を守るための介錯」という理由を付けて即時処分している~即時処分しない事は恥部/黒歴史としている成れ果ての「飼養」に繋がる、同じ事の繰り返しになる恐れがあると考えた~のではないか…、、、それがスラージョの語る「生まれながらの成れ果て」、「獣相は探窟史の恥部」ではないかと考えました。

 

 

(あとここでついでに巷で話題になっている「胎児カートリッジ説」について思うところをば。
…そもそもボンドルドが現在進行形でカートリッジの実験をやってるのに「探窟史の恥部」とは言わんでしょ、というのがありますね。
筋金入りのろくでなしと言っていた事からボンドルドが何をやっていたのかオーゼンはなんとなくは分かっていたと思われ、また同じ白笛であるスラージョもそれを知らないとは考えられないので
絶賛カートリッジ実験中のボンドルドの事を差し置いて探窟史の恥部と語っていたとすると違和感を覚える…昔の探窟家の黒歴史、みたいには言わんでしょと感じるのですよ)

 

 

 

という事でここまでが普通の/一般的な「生まれながらの成れ果てである」獣相は、「成れ果て」から産み落とされた子供であるという考察になります。

(ただ、ここまで書いておいてなんですがスラージョの言葉/セリフ/言い回しで気になる部分があるのですよね。
それは「~だが獣相は違う、人間性が残っていようが関係なく処分される~」というセリフ。。。
「成れ果て」から生まれ落ちた子供を「獣相」とする考えの場合、産まれたばかりの赤子の様な存在の「獣相」に対して『人間性が残ってる』という言い方をするだろうか?という疑問、
産まれた獣相に「人間性が有るか無いか」ではなく「残っている」という表現に引っかかりを覚えるのですよね…、根本から考え直さなきゃいけないのか、それともそこまで深く気にしなくて良い言葉/セリフ/言い回しなのか、う~ん…)

 

 

 



で、続いて「特殊な成り立ちをしている呪詛船団」の獣相についての考察です。
呪詛船団の獣相、例えばニシャゴラについて普通の/一般的な獣相…「成れ果て」から産み落とされた子供と考えた場合、色々と理屈に合わない事が出てくるんですよね。

 

 

ニシャゴラのセリフから、以前にオーゼンと戦った事があるかの様な語り口、そしてライザの子(リコ)の死産について知っている事(これはスラージョ辺りから聞いたとも考えられますが…)、探窟家が持つ「笛」を所持している事などについて考えた場合、アビス内で「産まれ」「育った」とは思えないんですよね。

 

これらの事について納得できる様に考えたとき導き出される答え(仮定)は…『以前、探窟家だった頃の「魂」(ここでの「魂」は人格、知性、記憶と言い換えても良いかも知れない)が宿っている』のではないか、になります。

 

そしてここで云う「以前」は「生前」という意味であり、
・オーゼンと戦った事があるかの様な語り口→生前、別の探窟隊に所属していた頃に(元々スラージョ隊/呪詛船団だった可能性もありますが)ニシャゴラがオーゼン隊と争った事がある
・ライザの子(リコ)の死産について知っている事→時を止める鐘(アンハードベル)の回収時の探窟隊の中に居たから知っていた…そしておそらくニシャゴラはこの回収任務の探窟時に命を落としたのではないか
・「笛」を所持している事→元々(生前は)正規の探窟家であった事から当然笛を所持している(多分、生前に自身が所持していた笛を付けているのでは?)
という事ではないかと考えています。

(シェルメナが笛を所持していないのは年齢的な理由か、生前での体が探窟できなほど病弱であったのかも知れません…ただ6巻幕間ページのシェルメナを見るに探窟家っぽい恰好をしており憧れはあったと思われます)

 

 

 


これは前段で語った【「成れ果て」から産み落とされた子供→獣相】…①の考えだけでは説明できない事であり別の解釈・考察が必要となります。
獣相・ニシャゴラの「魂」(人格、知性、記憶)について考える手がかり/ヒントとして、
・重なった魂(ファプタ談)
・獣相に近いという(スラージョ談)メイニャの『混ざって』産まれた
の二つがあります。

 


ごくごく稀にアビスで生まれるという獣相(隊・仲間たちとはぐれたり単独行の探窟家など処分されなかった「成れ果て」から産まれる子供?)…産まれた直後は魂と体が定着していないために別の魂を入れる~一つの体/器に別の魂を『混ぜる』~という事が可能なのかも知れない…、、、
その結果が魂が重なるという状態になり得るのではないか、と考えました。
(…ただ気になるのはファプタ曰く「幾つも重なった」という表現。2つではないのか?3つも4つも魂が重なる事があるのか?という疑問はありますが。。。)

 

…そして、これらを可能にしているのはスラージョの持つ遺物の能力ではないかという考察となります。
(スラージョの遺物は「魂」を別の肉体(魂が弱い・薄い肉体へ別の魂を入れる事ができる能力という考察)

 

 

(これは余談ですが、11巻(62話)で示唆された「ワズキャン終わってないんじゃないか説」。
「成れ果て」に「魂」が宿って獣相が産まれるとした場合、ヴエコ(死んで間もない「成れ果て」)にワズキャンの「魂」が宿り獣相が産まれる…ヴエコを母体・母とする事でワズキャンが獣相として復活する事があり得るのではないかと考えました)

 

 

 

 

と、ここまでで結論めいた考察を語っておいてなんですが、この考えではまだ下記の様な不可解な点が残るんですよね。

・ニシャゴラが白笛の力でパワーアップする点
・シェルメナは双子の獣相の様だがシェルメナの魂を入れる双子の獣相(成れ果ての双子の子供)がそんなに都合よく存在したのかという点

 


白笛には遺物に隠された真の役割を引き出す力があるとされ、実際に白笛を吹く事でオーゼンが呪い除けの籠を開いたり、リコがレグをパワーアップさせたりしています。
レグは全身遺物みたいな存在なので白笛によるパワーアップも理解できるのですが、ニシャゴラ(獣相)は何故レグと同様にパワーアップができるのか?遺物扱いなのか?
(シェルメナも耐波体勢を取らなかったらスラージョの笛でニシャゴラ同様パワーアップしていたと思われる)

 

 

この事についてどの様に考えたら納得できるか…、、、
「特殊な成り立ちをしている呪詛船団」については【「成れ果て」から産み落とされた子供→獣相】…①の考えは無理に取り入れなくても良いのかも知れない。。。
もしかしたらスラージョの遺物は「遺物~人間由来の遺物(ユアワース(命を響く石)の様な)~に魂を入れ、そして肉体を与える/造る」能力かもしれない、と考えました。

 

 

これだと「人間由来の遺物」に新たな魂(例えばニシャゴラの魂)を入れる訳ですから「魂が重なる」事にもなりますし(リコの白笛(ユアワース)にプルシュカの魂が宿っている事からも分かるかと思います)、白笛を吹く事により遺物の真の役割を引き出されパワーアップする事にも納得ができます。
シェルメナについても「二つで一組の遺物」に魂を入れ肉体が造られたとしたら双子の様になるのかもとまぁ納得ができます。
(ただ、なぜ獣の様相になるのかの理由は説明出来ませんがね…。たまたま獣の様相になったから獣相の団員/隊員…、、、獣相(じゅうそう)船団→呪詛(じゅそ)船団と名乗ってるだけなのかも知れませんね…、なんつってネ!!!)

 

 


しかし、ここまで考えても残る謎が…。
それはシェルメナ関連の「思い出させちゃだめ、君も友達も…こうなっちゃうゆえ…」のセリフの意味とシェルメナのあの状態。

 

スラージョがシェルメナをあの状態にしたとは思えない(スラージョに対して双子が怯え、恐れを見せていないため)ので、とするとあの不可解な状態(「思い出す事」であの状態になるという不可解)は双子の元になった「遺物」(アビスが作り出した不思議能力ゆえの不可解)の効果、反動であの状態になったという事か…。
例えばそれは欲望の揺籃の様な遺物で願いが散る事で肉体が変異してしまう遺物だったのかも知れません…。

 

 

 

と適当に色々と妄想しましたが、まだ情報が足りないですね。66話を待ちたいと思いますよ。

 

 

今回は獣相が探窟史の恥部と言われる理由、呪詛船団の獣相からスラージョの遺物の能力について考察してみました。

 

次回は「白笛・ボンドルド」について考察してみようと思います。

(あまり大した考察はできないと思いますが)

 

以上