録り貯めしていたアニメ「自動販売機に生まれ変わった俺は迷宮を彷徨う」を一気観しました。
以下、多少のネタバレを含む感想となります。
こういうタイトルで説明してる系の作品は往々にして出オチで第1話がピーク(というか目新しい/物珍しい設定に最初興味を惹かれるだけ)で、以降の話は盛り上がる事もなく惰性で1クールが進んで行き恐ろしいほど静かに空気みたいに軟着陸して終わるのですよね…。
ホントにただ奇を衒っただけの出オチ設定の薄っぺらい物語作品でしたよ。
いやね、俺としては奇抜な設定みたいなのは別に要らんからさ、ありきたりな設定でも構わないからしっかりと作り込んだ設定、世界観、深みのあるキャラクターでの物語を観たい訳よ。。。
こんな珍妙なだけの設定の作品をアニメ化するより他にもっとしっかりとファンタジーをやってる作品がないのかねぇ…。
ちょっと風変わりな作品を選んでアニメ化してるのかも知れんけどさぁホント出オチで終わってるから1クール観るのはきついよ。。。しっかりと中身で選ぼうぜ。
で、お話内容というか設定について。
まず、これは他の異世界転移・転生モノ作品の感想で何回も言ってる事ですが『ステータス画面が表示されるという設定の作品は漏れなく駄作である』という点。
「ゲームの中の世界」に転移・転生した訳じゃないんだよね?「ファンタジー世界」に転移・転生しているんだよね?
…なんだよステータス画面って。。。意味分からん、全く納得がない。。。ポイント消費してスキル獲得とかさぁ…ゲームじゃん、、、ホントもうアホかと思うね。
そんな設定は絶対に「ファンタジー世界」への転移・転生ではないよ…。無理やり納得するなら、作中の出来事は全て主人公の今際の際に見た幻覚(主人公が自身の頭の中で適当に、都合よく想像/創造した異世界)という設定にしかできないと思うよ…、まぁこれは夢落ちと同義で最悪の設定ですがね。。。
次に自販機以外の物への変身について。
給油機やAEDは自販機じゃないだろ…(給油機とタンクは別物で一体化してないだろ、と思うのですがまぁ最悪自販機と認めても良いけどAEDは絶対に自販機の枠じゃないよ)。
また給油機から出てくるガソリンは(ポイントをどれだけ消費するのか知らんけど)お金さえ入れれば湯水の如く湧いて出るのかね、凄いね(皮肉)、枯渇する心配のない資源ゲットだね!
そしてAEDを使う流れへの展開も無理やりというか適当というか雑というか…酷い。
最終話で主人公の幼馴染のあの博士キャラが死ぬ展開を観た時は、え?そんな展開になるの?どうすんだろ?と思ったのですが…なんだよAED展開のための無理筋じゃないか…。
いやいや、(敵ボスに捕まったあの状態からなら)普通に首の骨折られるとか心臓を貫かれるとかされてもおかしくないのに…AED展開のためだけにそうさせなかったんだね、酷い展開、全く納得がない展開(AEDは自販機じゃない、も含めて)。
(展開の酷さついでに言うと…、序盤(第1話~)での…何の知識もないはずの異世界現地人がプルタブを苦もなく開けたり、自販機から使い方を即座に理解したりの、あぁこれはこういう事かなぁ?という説明ゼリフというかご都合展開がもうギャグとして嗤ったね)
で、事のついでに主人公の幼馴染の博士キャラについて述べておくと。
この博士キャラは必要か?物語序盤から中盤にかけて満を持して登場したけど(二大ヒロイン(副ヒロイン)的な立ち位置に居るね)、正ヒロインと比べて大して役に立ってないというかほぼ居る意味がない感じなってるのよ。
正ヒロインみたいな怪力の特殊能力がある訳でもなく、かと言って博士キャラを生かした知識でサポートする訳でもなく(自販機の/現代の知識がある訳ではないの主人公の意図を汲み取るみたいな事もほぼほぼできない)、ホントただ一緒について行ってるだけのキャラになってしまっているのですよね。
いや、なんかそれならいっその事、人間以外の声が聞こえる/受信できる特殊能力みたいなものを持たせて自販機の主人公と意思疎通がある程度可能なキャラにでもしたら良いのに…、、、それなら一緒に居る意味も出てくるかなと思いましたけどね。
あとは主人公のスキルの「結界」について。
他の種類の自販機に変身できるというスキルはまぁ良いけど(生前主人公が使った事がある自販機に限られるという縛りがあるみたいですが)、「結界」って自販機に全く関係ないやろ…。「結界」が張ってある自販機なんてないだろ…と。
自衛のために結界を張れる・防御を行えるのなら、自衛のために脅威に対しての攻撃(魔法的な)もできるんじゃないの?
「結界」という摩訶不思議な能力を使えるというのなら(ポイントさえ払えば)もはや何でもあり…出来ない事はないんじゃない?という気がするのだけど。
…逆に何が出来ないのか(いくらポイント払おうとも)教えて欲しいわ。。。
最後に、生前(人間の頃)の記憶を持ったまま「人間」から「自販機」になった主人公の精神について。
某異世界転移・転生モノ作品においては、人間からアンデッドになった事でその精神もアンデッドのそれに変異するという設定なのですが…。
翻って今作「自動販売機に生まれ変わった~」においての主人公の精神はどうなのでしょう、どういう設定なのでしょうか?
自販機の精神(ロボット、機械の様な精神?)になっているのでしょうか?作中の主人公の言動を見てるととてもそうは思えない…。主人公の精神は人間のままなのですね。
いやね、それで何が問題かというと…、生前(人間の頃)の記憶を持ったままの状態で自分自身の体を思う様に動かせない、自分の思うままに喋れない、眠れない(どんな時間であろうと人が来たら起こされる)…と人間のままの精神であれば心が壊れると思う訳なのですよね…(食欲は電気で賄っているのでOK?性欲はどうなんだろうね)。
「自販機に転生」という奇を衒った設定だけで上述した様なディテール部分が出来ていない事に気が付かない・気にならない・至らない・センスがないというのが残念なのですよね。。。(なろうクオリティと言ってしまえばそれまでですが)
あとはどうでも良い事ですが、タイトル内の「~俺は迷宮を彷徨う」について。
お前自身は動けねえじゃん…、彷徨ってねえじゃん…と。
なんか噂によると2期が決まっているらしいのですが、こんな奇を衒っただけの作品ではなくもっと他にアニメ化すべき作品ないの?
作品の評価としては、可もなく不可もなくとなります。
以上